A_wa_K
DONE140文字SSのお題(https://shindanmaker.com/587150)様から。鎖骨に咲いた赤 人非る存在であれど、青き兄弟は人に近しい姿をしていた。殊に、弟は一層。
「貴方の口、俺は好きだけどちょっと勿体ない気持ちはある」
己を抱く兄の――人であれば"口元"と表現する部位で輝く三日月に触れ、青髪のナホビノは僅かに唇を尖らせる。
「どういう意味だ?」
「所有印、的な」
皆まで言わせないでよ、と拗ねた表情に切り替わった弟を暫し見つめた後、すっと月の神は己の人差し指で青髪のナホビノの鎖骨に触れた。
「目に見える証が欲しいのか?」
――私の腕の中に収まっているというのに。
疑問を含む、しかし、真っ直ぐな言葉。
「お前が望むならば、何かしら考えるが」
純粋な提案、翳りのない情愛。
頬を紅潮させるしかない弟神は、兄神の腕の中でただただ顔を覆うしか出来なかったのであった。
344「貴方の口、俺は好きだけどちょっと勿体ない気持ちはある」
己を抱く兄の――人であれば"口元"と表現する部位で輝く三日月に触れ、青髪のナホビノは僅かに唇を尖らせる。
「どういう意味だ?」
「所有印、的な」
皆まで言わせないでよ、と拗ねた表情に切り替わった弟を暫し見つめた後、すっと月の神は己の人差し指で青髪のナホビノの鎖骨に触れた。
「目に見える証が欲しいのか?」
――私の腕の中に収まっているというのに。
疑問を含む、しかし、真っ直ぐな言葉。
「お前が望むならば、何かしら考えるが」
純粋な提案、翳りのない情愛。
頬を紅潮させるしかない弟神は、兄神の腕の中でただただ顔を覆うしか出来なかったのであった。
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DONE140文字SSのお題(https://shindanmaker.com/587150)様から。躾はしっかりとお願いします"救出"し、担いできた弟を立たせつつツクヨミは隠さずに大きな溜息を吐き出した。
「どうしてお前はギリシャの主神に喧嘩を売り続けるのだ」
「売ってない。俺は買ってるだけだって」
「……」
「……怒らないでよ」
明らかに鋭くなった己を見る兄の双眸に慌てつつ、青髪のナホビノは口元に小さく笑みを浮かべた。
「躾が足りない貴方のせいもあると思うんだけど?」
ねぇ、と青髪のナホビノは輝く指先で月の神の三日月を撫でながら。
尚、これより幾ばく。
いずれの神魔も流れる青髪を目撃しなくなるのだが――彼の自業自得であるのであった。
259「どうしてお前はギリシャの主神に喧嘩を売り続けるのだ」
「売ってない。俺は買ってるだけだって」
「……」
「……怒らないでよ」
明らかに鋭くなった己を見る兄の双眸に慌てつつ、青髪のナホビノは口元に小さく笑みを浮かべた。
「躾が足りない貴方のせいもあると思うんだけど?」
ねぇ、と青髪のナホビノは輝く指先で月の神の三日月を撫でながら。
尚、これより幾ばく。
いずれの神魔も流れる青髪を目撃しなくなるのだが――彼の自業自得であるのであった。
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DONE中秋の名月のツナホ月が輝く場所 ツクヨミは青髪のナホビノの感情の機微に疎い面がある。
遅れて弟の不可解な行動の意味を知る事はあるが、それは兄にとっては"学び"であった。
『俺、教材じゃないんですけど』
お前から学ぶ事が多い、とツクヨミが吐露した際、青髪のナホビノはその金色の瞳を僅かに見開いてから頬を膨らませた。だが、彼の声は柔らかく、どこか嬉しそうな表情。
――心とは、難しい。
常々、ツクヨミはそう思っていた。
だが、"今日"は違う。彼にも、弟の心を読むことが出来るのであった。
ツクヨミに座るように強請り、彼の膝の上に身を投げ出した青髪のナホビノ。彼はツクヨミの長い髪を弄ったり、頻繁に彼の口元の三日月に触れる。ツクヨミが少しでも身じろぎをすれば、どこに体重を隠していたのかと驚くほどに精一杯体重をかけてくる。彼が、どこにも行かないようにと。
762遅れて弟の不可解な行動の意味を知る事はあるが、それは兄にとっては"学び"であった。
『俺、教材じゃないんですけど』
お前から学ぶ事が多い、とツクヨミが吐露した際、青髪のナホビノはその金色の瞳を僅かに見開いてから頬を膨らませた。だが、彼の声は柔らかく、どこか嬉しそうな表情。
――心とは、難しい。
常々、ツクヨミはそう思っていた。
だが、"今日"は違う。彼にも、弟の心を読むことが出来るのであった。
ツクヨミに座るように強請り、彼の膝の上に身を投げ出した青髪のナホビノ。彼はツクヨミの長い髪を弄ったり、頻繁に彼の口元の三日月に触れる。ツクヨミが少しでも身じろぎをすれば、どこに体重を隠していたのかと驚くほどに精一杯体重をかけてくる。彼が、どこにも行かないようにと。