躾はしっかりとお願いします"救出"し、担いできた弟を立たせつつツクヨミは隠さずに大きな溜息を吐き出した。
「どうしてお前はギリシャの主神に喧嘩を売り続けるのだ」
「売ってない。俺は買ってるだけだって」
「……」
「……怒らないでよ」
明らかに鋭くなった己を見る兄の双眸に慌てつつ、青髪のナホビノは口元に小さく笑みを浮かべた。
「躾が足りない貴方のせいもあると思うんだけど?」
ねぇ、と青髪のナホビノは輝く指先で月の神の三日月を撫でながら。
尚、これより幾ばく。
いずれの神魔も流れる青髪を目撃しなくなるのだが――彼の自業自得であるのであった。