住めば都
DONEあくねこ、ルカス夢。いつもドキドキさせられて悔しい主様が、意趣返しのつもりで「ルカスは冗談ばっかり」と返したら、実は全部本気の本心だったと暴露される話。
交渉係を務めて長い男が、自分の思いに振り回されて本音を隠せず、苦し紛れに冗談だよって見え見えの誤魔化し方しかできないのめちゃくちゃ萌えるなと思うなどしました
いっそ全部、冗談にしてしまえたら 目の覚めるような美人ではない。愛嬌があるわけでも、聴衆を沸かせる話術を持つわけでもない。
至って普通。どこにでもいそうな、地味で目立たないタイプ。――それが私だ。
おおよそ三十年かけて築き上げた自己認識は、異世界で出会ったイケメン執事たちに「主様」と呼ばれ大切にされたところで、簡単に揺らぐようなものではない。
「フフ、主様といられる時間は、本当に幸せです♪ この時間が、永遠に続けばいいのになあ……」
「はいはい。全く……ルカスったら、冗談ばっかり言うんだから」
上機嫌に微笑む担当執事を、私は半眼で睨みつけた。
ルカスとアモンは、口説くようなセリフをよく言ってくる。恋愛経験の少ない私はそのたび顔を赤くしてドギマギしてしまうのだが、彼らの思惑どおりに翻弄されるのを、最近は悔しいと感じるようになっていた。
1884至って普通。どこにでもいそうな、地味で目立たないタイプ。――それが私だ。
おおよそ三十年かけて築き上げた自己認識は、異世界で出会ったイケメン執事たちに「主様」と呼ばれ大切にされたところで、簡単に揺らぐようなものではない。
「フフ、主様といられる時間は、本当に幸せです♪ この時間が、永遠に続けばいいのになあ……」
「はいはい。全く……ルカスったら、冗談ばっかり言うんだから」
上機嫌に微笑む担当執事を、私は半眼で睨みつけた。
ルカスとアモンは、口説くようなセリフをよく言ってくる。恋愛経験の少ない私はそのたび顔を赤くしてドギマギしてしまうのだが、彼らの思惑どおりに翻弄されるのを、最近は悔しいと感じるようになっていた。
住めば都
DONEあくねこ、ルカス夢。善意が裏目に出たというか、藪をつついて蛇を出したというか、そういう話。もう逃げられない。
雉も鳴かずば撃たれまい「私にできることがあれば、なんでも言ってください」
片手を胸に当て、担当執事のルカスが言った。それは、女が不思議な縁で彼ら悪魔執事たちの主人となってから、何度も聞いた言葉だった。
出会ったころは、単なる社交辞令だと聞き流していた。しかし、いくつもの困難をともに乗り越えた今では、彼らが偽らざる真心からそう言っていることを女は知っている。だからこそ心配で、彼女は初めて、その台詞を聞くたびに思っていたことをぶつけてみることにした。
「ずっと、思っていたんだけどさ。そんなに簡単に"なんでも"って、言わないほうがいいんじゃない?」
「おや、どうしてですか?」
ルカスは金色の瞳を瞬かせた。聡い彼のことだから、女が言いたいことは理解しているだろうに。彼女はちょっとムッとして語気を強めた。
1634片手を胸に当て、担当執事のルカスが言った。それは、女が不思議な縁で彼ら悪魔執事たちの主人となってから、何度も聞いた言葉だった。
出会ったころは、単なる社交辞令だと聞き流していた。しかし、いくつもの困難をともに乗り越えた今では、彼らが偽らざる真心からそう言っていることを女は知っている。だからこそ心配で、彼女は初めて、その台詞を聞くたびに思っていたことをぶつけてみることにした。
「ずっと、思っていたんだけどさ。そんなに簡単に"なんでも"って、言わないほうがいいんじゃない?」
「おや、どうしてですか?」
ルカスは金色の瞳を瞬かせた。聡い彼のことだから、女が言いたいことは理解しているだろうに。彼女はちょっとムッとして語気を強めた。