えねこん
DONE星→月と鈴月が入り交じる話。その1。まさかの星谷凛君敗退で書き直した。
吸血シーンはエッチ。ハッキリ分かんだね。
スティグマの薫1 プロの対局における消耗は、長距離のマラソンに匹敵するという。脳は相手の手番中も、絶えず思考し、己の手番ともなるとそれはまるで積み上げられた本の山から、何冊も同時に読む様な負荷がかかる。
「は……ぁ…」
[[rb:月山元 > つきやまはじめ]]にとって、対局後の消耗は、文字通り命を削る脳の疲労と体の重さがついて回る物だった。いっそ蝙蝠にでも成れたら、この東京の夜空を飛んで帰れるだろうか、等と詮無いことを思いながら、この日も将棋会館を出た。
「あ……」
数歩進んでは、立ち眩みに足が止まる。
不老長命の吸血鬼が、脳の疲労だけでこんなにもボロボロになるなんて、一体誰が信じるだろう?
――血が欲しい。
4078「は……ぁ…」
[[rb:月山元 > つきやまはじめ]]にとって、対局後の消耗は、文字通り命を削る脳の疲労と体の重さがついて回る物だった。いっそ蝙蝠にでも成れたら、この東京の夜空を飛んで帰れるだろうか、等と詮無いことを思いながら、この日も将棋会館を出た。
「あ……」
数歩進んでは、立ち眩みに足が止まる。
不老長命の吸血鬼が、脳の疲労だけでこんなにもボロボロになるなんて、一体誰が信じるだろう?
――血が欲しい。
えねこん
PROGRESS「前 鈴木が楽しそうで何よりです」月山の一人称視点での話を書いたからには鈴木も書かねばという心。原作二話より捏造。まだスケベはない。
前 鈴木が楽しそうで何よりです それじゃあ今回のネタはこれで頼む。ああ、今日も高そうなネクタイだって? エルメスだ、そこまで高級でもない。お前はスーツはどこで仕立てている? なんだ、今度俺が贔屓にしている店を教えてやる。身体に吸い付くような背広を仕立てる腕利きのテーラーだ。
……うん? 何か良いことが有ったのかだって? そんなに顔に出ていたか。――いや、ありふれた話だ。随分ひさしぶりに、面白い奴と再会したんだよ。笑っていた? 俺が? そうか……そうかもしれないな。なにせ数少ない俺の、そう…同胞なんだ。いい気分になってきたな。奢るから付き合え。こういうのも仕事の内だろう?
お前は昼と夜どちらが好きだ? 俺は断然夜でな。昼と違ってあの焼け付くような太陽がない。臭くて五月蝿い車の数も減る。夜に高台に登ったことはあるか? 無い? ならば今度行ってみるといい。天気のいい晴れた夜にだ。冬はやや厳しいかもしれんが今ぐらいの季節なら丁度いい。ああ、話がそれたな。そう、俺は夜のほうが仕事をするにしても何にしても都合が良いんだが、偶に受けた仕事の都合で昼間に出掛けることもある。お前に売るネタを掴むよりよっぽど退屈で欠伸が出るような仕事だ。そこで奴を見かけてな、陳腐な言葉だが運命の再会というやつだ。傍で暫く見ていたが、随分と眼の前の試合に集中しているようだった。なんせ奴は俺に気付かなくてな。まったく。完全に無名の初参加者だったようなんだが、なかなか面白かった。俺は盤面のことは解らないが、奴の対戦相手の表情はわかりやすかった。ポーカーじゃああはならないな。なんの競技かって? ああ、将棋だよ。なんでも大きな大会の都の予選だったそうでな。ああ、知ってるのか、なら話は早いな。奴は優勝候補に勝ってしまった。はっ、お前のその面は良い。なんだグラスが空いているじゃないか。何を飲む? マスター、同じものを二つ。
1203……うん? 何か良いことが有ったのかだって? そんなに顔に出ていたか。――いや、ありふれた話だ。随分ひさしぶりに、面白い奴と再会したんだよ。笑っていた? 俺が? そうか……そうかもしれないな。なにせ数少ない俺の、そう…同胞なんだ。いい気分になってきたな。奢るから付き合え。こういうのも仕事の内だろう?
お前は昼と夜どちらが好きだ? 俺は断然夜でな。昼と違ってあの焼け付くような太陽がない。臭くて五月蝿い車の数も減る。夜に高台に登ったことはあるか? 無い? ならば今度行ってみるといい。天気のいい晴れた夜にだ。冬はやや厳しいかもしれんが今ぐらいの季節なら丁度いい。ああ、話がそれたな。そう、俺は夜のほうが仕事をするにしても何にしても都合が良いんだが、偶に受けた仕事の都合で昼間に出掛けることもある。お前に売るネタを掴むよりよっぽど退屈で欠伸が出るような仕事だ。そこで奴を見かけてな、陳腐な言葉だが運命の再会というやつだ。傍で暫く見ていたが、随分と眼の前の試合に集中しているようだった。なんせ奴は俺に気付かなくてな。まったく。完全に無名の初参加者だったようなんだが、なかなか面白かった。俺は盤面のことは解らないが、奴の対戦相手の表情はわかりやすかった。ポーカーじゃああはならないな。なんの競技かって? ああ、将棋だよ。なんでも大きな大会の都の予選だったそうでな。ああ、知ってるのか、なら話は早いな。奴は優勝候補に勝ってしまった。はっ、お前のその面は良い。なんだグラスが空いているじゃないか。何を飲む? マスター、同じものを二つ。