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    えねこん

    @minatong

    汚泥のスケベテキストメーカー。地獄とスケベを出力する。オタクと言えるほどオタクでもないし腐女子というほど腐女子に詳しくない。ただの変態。

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    えねこん

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    「前 鈴木が楽しそうで何よりです」
    月山の一人称視点での話を書いたからには鈴木も書かねばという心。原作二話より捏造。まだスケベはない。

    #バンオウ
    #盤王
    plateKing

    前 鈴木が楽しそうで何よりです それじゃあ今回のネタはこれで頼む。ああ、今日も高そうなネクタイだって? エルメスだ、そこまで高級でもない。お前はスーツはどこで仕立てている? なんだ、今度俺が贔屓にしている店を教えてやる。身体に吸い付くような背広を仕立てる腕利きのテーラーだ。
     ……うん? 何か良いことが有ったのかだって? そんなに顔に出ていたか。――いや、ありふれた話だ。随分ひさしぶりに、面白い奴と再会したんだよ。笑っていた? 俺が? そうか……そうかもしれないな。なにせ数少ない俺の、そう…同胞なんだ。いい気分になってきたな。奢るから付き合え。こういうのも仕事の内だろう?
     お前は昼と夜どちらが好きだ? 俺は断然夜でな。昼と違ってあの焼け付くような太陽がない。臭くて五月蝿い車の数も減る。夜に高台に登ったことはあるか? 無い? ならば今度行ってみるといい。天気のいい晴れた夜にだ。冬はやや厳しいかもしれんが今ぐらいの季節なら丁度いい。ああ、話がそれたな。そう、俺は夜のほうが仕事をするにしても何にしても都合が良いんだが、偶に受けた仕事の都合で昼間に出掛けることもある。お前に売るネタを掴むよりよっぽど退屈で欠伸が出るような仕事だ。そこで奴を見かけてな、陳腐な言葉だが運命の再会というやつだ。傍で暫く見ていたが、随分と眼の前の試合に集中しているようだった。なんせ奴は俺に気付かなくてな。まったく。完全に無名の初参加者だったようなんだが、なかなか面白かった。俺は盤面のことは解らないが、奴の対戦相手の表情はわかりやすかった。ポーカーじゃああはならないな。なんの競技かって? ああ、将棋だよ。なんでも大きな大会の都の予選だったそうでな。ああ、知ってるのか、なら話は早いな。奴は優勝候補に勝ってしまった。はっ、お前のその面は良い。なんだグラスが空いているじゃないか。何を飲む? マスター、同じものを二つ。
     休憩の時間になって俺も会場の外で記事のメモを書いていたんだがな、丁度廊下の反対側に奴がいて、直前に奴が負かした対戦相手と話していたんだ。ところで将棋のプレイヤーっていうのは負けた相手に教えを乞うようなプライドのない連中ばかりなのか? いや、それはいいんだが。俺が見ていたら奴が倒れたんだよ。マリオネットの糸を切ったら、こうなるだろうなって動きそのものでな。それで負けた方の男が慌てふためくものだから見かねて俺が割って入った。俺もそいつもあまり医療の世話にはなりたくないのは分かりきっていたからな。宗教? いやそんなんじゃないさ。宗教なんてものはむしろ苦手な類だ。とにかく病院に運ばれるのは奴も望んでないことだったからな。俺が救急車を呼んだことにして、もう一人には大会の関係者に奴が倒れてしまったことを伝えさせたんだ。結果は何だったっけな。まあ最後の試合には出られなかったが、奴も次の大会の出場権を手に入れたことは後から聞いたよ。
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    PROGRESS「前 鈴木が楽しそうで何よりです」
    月山の一人称視点での話を書いたからには鈴木も書かねばという心。原作二話より捏造。まだスケベはない。
    前 鈴木が楽しそうで何よりです それじゃあ今回のネタはこれで頼む。ああ、今日も高そうなネクタイだって? エルメスだ、そこまで高級でもない。お前はスーツはどこで仕立てている? なんだ、今度俺が贔屓にしている店を教えてやる。身体に吸い付くような背広を仕立てる腕利きのテーラーだ。
     ……うん? 何か良いことが有ったのかだって? そんなに顔に出ていたか。――いや、ありふれた話だ。随分ひさしぶりに、面白い奴と再会したんだよ。笑っていた? 俺が? そうか……そうかもしれないな。なにせ数少ない俺の、そう…同胞なんだ。いい気分になってきたな。奢るから付き合え。こういうのも仕事の内だろう?
     お前は昼と夜どちらが好きだ? 俺は断然夜でな。昼と違ってあの焼け付くような太陽がない。臭くて五月蝿い車の数も減る。夜に高台に登ったことはあるか? 無い? ならば今度行ってみるといい。天気のいい晴れた夜にだ。冬はやや厳しいかもしれんが今ぐらいの季節なら丁度いい。ああ、話がそれたな。そう、俺は夜のほうが仕事をするにしても何にしても都合が良いんだが、偶に受けた仕事の都合で昼間に出掛けることもある。お前に売るネタを掴むよりよっぽど退屈で欠伸が出るような仕事だ。そこで奴を見かけてな、陳腐な言葉だが運命の再会というやつだ。傍で暫く見ていたが、随分と眼の前の試合に集中しているようだった。なんせ奴は俺に気付かなくてな。まったく。完全に無名の初参加者だったようなんだが、なかなか面白かった。俺は盤面のことは解らないが、奴の対戦相手の表情はわかりやすかった。ポーカーじゃああはならないな。なんの競技かって? ああ、将棋だよ。なんでも大きな大会の都の予選だったそうでな。ああ、知ってるのか、なら話は早いな。奴は優勝候補に勝ってしまった。はっ、お前のその面は良い。なんだグラスが空いているじゃないか。何を飲む? マスター、同じものを二つ。
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