yu_3346_txt
DOODLEバレンタイン芭録。今年のバレンタインはセーラー服しか選択肢がないですね。セーラー服を脱がさないで 華武高校野球部の謎の伝統のひとつに、二月十四日に一年が女装をして部員にチョコレートを配る、というのがある。
配り終えた後もなんだかんだとイジられて部室でダラダラしている間に、イジることにも飽きた諸先輩方は帰ってしまい気がつけば残っているのは俺と録先輩だけになっていた。
別に録先輩は優しさで残っているわけではなく、部費の精算が終わらないだけだ。隣に座ってノートパソコンを覗き込むと、エクセルとマインスイーパーが開かれてるから真面目にやってるのかイマイチわからないけど。
それにしても部費から買って部員全員に配るのだからバレンタインの贈り物的な性質はほとんどないし、このイベントにはマジで一年に女装をさせるという意味しかないんじゃないかという気がする。
1006配り終えた後もなんだかんだとイジられて部室でダラダラしている間に、イジることにも飽きた諸先輩方は帰ってしまい気がつけば残っているのは俺と録先輩だけになっていた。
別に録先輩は優しさで残っているわけではなく、部費の精算が終わらないだけだ。隣に座ってノートパソコンを覗き込むと、エクセルとマインスイーパーが開かれてるから真面目にやってるのかイマイチわからないけど。
それにしても部費から買って部員全員に配るのだからバレンタインの贈り物的な性質はほとんどないし、このイベントにはマジで一年に女装をさせるという意味しかないんじゃないかという気がする。
yu_3346_txt
TRAINING芭録。「今日は帰りたくない」っていう録先輩。23歳×24歳の冬くらい。
「なんでまだいんの?」
シャワーを浴びてびしょびしょのまま寝室に戻ってきた芭唐にそう問われて、腹を立てる気力も体力もなく録は「あのさ」と掠れた声で答えた。
「この状態で帰れる気なわけないだろ」
なまなましく行為の痕跡が残ったままの身体を動かすのも億劫で、とても服を着れるような状態じゃない。非難するような声を芭唐は鼻で笑って、キッチンからとってきたらしいビールの缶のプルタブを開けた。
「こないだは俺が風呂入ってる間に帰ってたじゃん」
「だから先月は修論がヤバかったんだってば」
それにここまで酷くなかった、とは言わずにおく。代わりに、寝室で飲むなと咎めようかとも思ったけれどそれもやめておいた。この家の主は芭唐で、何か言う権利も必要も録は持ち合わせてはいない。
1252シャワーを浴びてびしょびしょのまま寝室に戻ってきた芭唐にそう問われて、腹を立てる気力も体力もなく録は「あのさ」と掠れた声で答えた。
「この状態で帰れる気なわけないだろ」
なまなましく行為の痕跡が残ったままの身体を動かすのも億劫で、とても服を着れるような状態じゃない。非難するような声を芭唐は鼻で笑って、キッチンからとってきたらしいビールの缶のプルタブを開けた。
「こないだは俺が風呂入ってる間に帰ってたじゃん」
「だから先月は修論がヤバかったんだってば」
それにここまで酷くなかった、とは言わずにおく。代わりに、寝室で飲むなと咎めようかとも思ったけれどそれもやめておいた。この家の主は芭唐で、何か言う権利も必要も録は持ち合わせてはいない。
yu_3346_txt
MOURNING芭録。好きって言ってもらって嬉しかったのでサルベージ。文庫版最終巻でた時にこの二人が好きだなあって書いたのでした。おかえりをあなたの声できく 夢も見ずに眠っていたら、肩を揺すられて起こされた。
泥のように重い身体を引きずって電車を降り、久しぶりの家路を歩いているとミヤが後ろをついてきて、何だよと訊くと「だって先輩フラフラで心配なんだもん」と笑われる。お前だって新幹線の中で寝ていたじゃないかと思ったけれど、口を開くのも億劫なので好きについて来させることにした。
ミヤと違って健全な高校球児なので大会中は毎日決められた時間に寝ていたし試合の疲労を翌日に持ち越すなんて有り得ないけれど、決勝戦を終えた昨日は気がつけば他の県の奴らも集まって夜通し騒ぎとおしてしまって、帰りの新幹線は何だか死屍累々という感じだった。のぞみで三時間、寝続けたのに今もまだ眠い。
1488泥のように重い身体を引きずって電車を降り、久しぶりの家路を歩いているとミヤが後ろをついてきて、何だよと訊くと「だって先輩フラフラで心配なんだもん」と笑われる。お前だって新幹線の中で寝ていたじゃないかと思ったけれど、口を開くのも億劫なので好きについて来させることにした。
ミヤと違って健全な高校球児なので大会中は毎日決められた時間に寝ていたし試合の疲労を翌日に持ち越すなんて有り得ないけれど、決勝戦を終えた昨日は気がつけば他の県の奴らも集まって夜通し騒ぎとおしてしまって、帰りの新幹線は何だか死屍累々という感じだった。のぞみで三時間、寝続けたのに今もまだ眠い。