リリ小屋
DOODLEラリーパロ蔵王愛と狂気のタイムトライアル人のいない道を跳ねるように、滑るように車体が駆け抜けてゆく。
悪路をサスペンションが吸収してゆく。
明かりのない道を、ヘッドライトが頼りなく少しだけ照らし出す。
エンジンの唸りが、静かな夜の林道に荒々しく響く。
ラリーという競技は、国内では多く、夜中に人の住んでいないような道を使って走る。
街灯なんて当然ない。
曲がりくねった道、知らない道を走ってタイムを競う。
視界なんて当然、無い。ガードレールすらない道もある。
一歩間違えれば崖から車は転落してしまうだろう。
そんな道を、まるで狂気のようなスピードでドライバーはアクセルを踏む。
ただ、隣にいる己のコドライバーだけを信じて。
何メートル進み、どちらにどう曲がるのか。
3631悪路をサスペンションが吸収してゆく。
明かりのない道を、ヘッドライトが頼りなく少しだけ照らし出す。
エンジンの唸りが、静かな夜の林道に荒々しく響く。
ラリーという競技は、国内では多く、夜中に人の住んでいないような道を使って走る。
街灯なんて当然ない。
曲がりくねった道、知らない道を走ってタイムを競う。
視界なんて当然、無い。ガードレールすらない道もある。
一歩間違えれば崖から車は転落してしまうだろう。
そんな道を、まるで狂気のようなスピードでドライバーはアクセルを踏む。
ただ、隣にいる己のコドライバーだけを信じて。
何メートル進み、どちらにどう曲がるのか。
palco_WT
MEMO蔵内と王子(水王)王子と蔵内
防衛任務の交代時間まであとに十分ほどだろうか。
ちらりと見上げた時計は蔵内の予想した通りの時刻を指していた。六頴館高校では明日から定期考査ということもあって、早めに授業が終わった蔵内はその足で本部の作戦室で問題集に目を通していたところだった。さっきまでこの場にいた橘高は、王子隊と入れ替わりになる弓場隊の藤丸へ差し入れをしてくる、と言い置いて出て行ったばかりだった。程なく戻ってくるだろう。
さて、羽矢さんが戻ってくるより先に王子と樫尾、どちらが来るかな、と蔵内が思っていると、扉が音もなく開いた。
「早いね、クラウチ」
「明日から試験だからね」
「午前中であがり?」
「ああ。家まで戻ってからこっちに来るのも無駄だから、そのままここで明日に備えさせてもらってた」
767防衛任務の交代時間まであとに十分ほどだろうか。
ちらりと見上げた時計は蔵内の予想した通りの時刻を指していた。六頴館高校では明日から定期考査ということもあって、早めに授業が終わった蔵内はその足で本部の作戦室で問題集に目を通していたところだった。さっきまでこの場にいた橘高は、王子隊と入れ替わりになる弓場隊の藤丸へ差し入れをしてくる、と言い置いて出て行ったばかりだった。程なく戻ってくるだろう。
さて、羽矢さんが戻ってくるより先に王子と樫尾、どちらが来るかな、と蔵内が思っていると、扉が音もなく開いた。
「早いね、クラウチ」
「明日から試験だからね」
「午前中であがり?」
「ああ。家まで戻ってからこっちに来るのも無駄だから、そのままここで明日に備えさせてもらってた」
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DONE幸福の条件https://twitter.com/palco87/status/1336247005849350144 で蔵っちが一番だったのでつい書いた~たまには三人で食事をしないかと、蔵内が王子と水上に打診されたのは一週間ほど前のことだった。
同隊である王子はともかく、生駒隊の水上とは防衛任務等の兼ね合いもあったが、たまたま週末にスケジュールが空いていたのでその日に王子が予約したというレストランで落ち合った。
そもそも、王子と水上がわざわざ顔を揃えて尋ねたあたりで、これは何かあるなと察しはしたが、デザートまでたどりついたあたりで「ぼくたち籍を入れようと思うんだ」と言われて、少しばかりは驚くのではないかと思ったけれど、予想していたよりすとんと蔵内の中では腑に落ちた、というのが正直なところだった。というか、むしろ王子みたいな人間がそういう世間のシステムの迎合しようとしていることのほうが、少々意外な気持ちではあった。
「……おめでとう。幸せになれよ、っていうのは陳腐かな。おまえたちなら誰に言われなくても自力でどうにかするだろうから」
「そうだね! さすがはクラウチだ、ぼくらをよく分かってる」
おおきに、と告げる水上の口調がぶっきらぼうなのは照れ隠しだ。対照的に王子は背中に大輪の薔薇とヒマワリとカスミソウを背負っているような爛漫とした笑 1098