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    palco_WT

    @tsunapal

    ぱるこさんだよー
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    お題箱 https://odaibako.net/u/palco87

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    palco_WT

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    蔵内と王子(水王)

    #王子一彰
    princeIchiaki
    #蔵内和紀
    kazukiKurauchi

    王子と蔵内

     防衛任務の交代時間まであとに十分ほどだろうか。
     ちらりと見上げた時計は蔵内の予想した通りの時刻を指していた。六頴館高校では明日から定期考査ということもあって、早めに授業が終わった蔵内はその足で本部の作戦室で問題集に目を通していたところだった。さっきまでこの場にいた橘高は、王子隊と入れ替わりになる弓場隊の藤丸へ差し入れをしてくる、と言い置いて出て行ったばかりだった。程なく戻ってくるだろう。
     さて、羽矢さんが戻ってくるより先に王子と樫尾、どちらが来るかな、と蔵内が思っていると、扉が音もなく開いた。
    「早いね、クラウチ」
    「明日から試験だからね」
    「午前中であがり?」
    「ああ。家まで戻ってからこっちに来るのも無駄だから、そのままここで明日に備えさせてもらってた」
    「今更勉強しなくても全然楽勝だろう、きみなら」
    「そんなことはな……王子」
     少し声のトーンを落とした蔵内に、何? と荷物をロッカーに放り込んでいた王子は振り返る。
    「樫尾が来る前に換装しておけ」
    「別にいいけど……なんで?」
     蔵内は微苦笑して指先で、自分のうなじのあたりを叩いてみせた。
    「ああ、なるほど。中学生には目の毒だものね」
     王子は軽く肩をすくめて、トリガーを手にした。こんなことなら家を経由してくるんじゃなかった、学ランだったら見えなかったのにね、と笑みを浮かべながら。
    「それに、俺もつけたくなる」
    「別に構わないよ、クラウチなら」
    「そういうわけにはいかないだろう。水上に悪い」
    「そう? 一度や二度寝ただけでみずかみんぐのモノになるわけでもあるまいし」
     みずかみんぐが手に入れられないように、ぼくはぼく自身以外のなにものでもないさ、ともしかしたら水上が刻んだものではないかもしれない、情事の痕を誇るようにして微笑んでみせた。
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    palco_WT

    MAIKINGフィルター みんぐと王子と。
    新書メーカーでTwitterにあげたやつ。https://twitter.com/palco87/status/1337402360893587456
    災害や内乱などで壊れ、復興しかけた場所を、ずっと撮って回っているのだと彼は言った。それこそ世界各地を。
     もし行けるなら、近界だっけ、向こうの世界もフィルムに収めてみたいな、と子どもみたいな笑顔で男は笑った。
     壊れかけ、修復のまだただなかにある風景で、そこで生きていく人たちの姿を、一枚の銀塩に写し取る。三門市までやってきた男が、そのモデルに選んだうちのひとりは、意外なことに水上だった。


     風が吹き、春の予感をはらんだほのかな温もりをともなった風が、ばさばさと屋上に佇み、警戒区域を見下ろす水上のバッグワームをはためかせる。本来、トリオンではない物理法則の影響を受けないバッグワームが風に揺れるのは、それが換装体ではなく、生身に隊服をまとい、更にバッグワームを模したマントを羽織っているからだった。
    「なんで、彼なんですか」
    「色気かな」
    「色気?」
    「そう。一秒後には自分を害してしまいそうな危うさって言ったらいいのかな。不意に気まぐれで、線路やビルの屋上から飛び降りてしまいそうな」
    「確かに、ぼくたちの防衛任務《しごと》はとてもじゃないが安全というものではありませんが、彼はそこまで捨て 931

    水鳥の

    MOURNING初のイコプリSS。大半が十九歳。関西弁は空気で読んでください。 付き合ってからと言うもの、王子は事あるごとに生駒に好きを伝えたがる。
    「好きだよ、イコさん」
     時も場所関係なく伝えられる言葉に、生駒は不思議そうに尋ねたことがある。
    「なんや、王子、どないしたん?」
    「うーん、何でもないよ。ただ言いたいだけ」
    「それなら、ええ」
     にこにこといつもと変わらない笑顔を張り付けて、王子は生駒に言う。生駒は、本当にそうなら問題ないな、と頷いた。
     
    「で、今も続いてる、と」
     生駒から経緯を聞いていた弓場は、片眉を器用に持ち上げて嫌そうな表情をした。
    「そうや」
     生駒はいつもと変わらない表情で弓場の問いに答えた。
     日差しの気持ちよい午後、ボーダーのラウンジの一角に何故か十九歳組が集まり、何故か近況はどうなのかと言う事になり、何故か、王子と付き合っている生駒の悩み相談が開始された。
    「王子も可愛いところあるじゃないか」
     嵐山が、どこが悩みなんだ? と不思議そうに言う。
    「いや、何回も続くと生駒も鬱陶しいんじゃないのか?」
     嵐山の問いに柿崎が答える。
    「いや、そんなんないな」
     生駒は、当たり前だと言うように柿崎の言葉を否定した。
    「ないのかよ」
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