Recent Search
    Create an account to bookmark works.
    Sign Up, Sign In

    palco_WT

    @tsunapal

    ぱるこさんだよー
    Pixiv https://www.pixiv.net/users/3373730/novels
    お題箱 https://odaibako.net/u/palco87

    ☆quiet follow Yell with Emoji 🎵 🍆 🍇 💘
    POIPOI 79

    palco_WT

    ☆quiet follow

    蔵内と王子(水王)

    #王子一彰
    princeIchiaki
    #蔵内和紀
    kazukiKurauchi

    王子と蔵内

     防衛任務の交代時間まであとに十分ほどだろうか。
     ちらりと見上げた時計は蔵内の予想した通りの時刻を指していた。六頴館高校では明日から定期考査ということもあって、早めに授業が終わった蔵内はその足で本部の作戦室で問題集に目を通していたところだった。さっきまでこの場にいた橘高は、王子隊と入れ替わりになる弓場隊の藤丸へ差し入れをしてくる、と言い置いて出て行ったばかりだった。程なく戻ってくるだろう。
     さて、羽矢さんが戻ってくるより先に王子と樫尾、どちらが来るかな、と蔵内が思っていると、扉が音もなく開いた。
    「早いね、クラウチ」
    「明日から試験だからね」
    「午前中であがり?」
    「ああ。家まで戻ってからこっちに来るのも無駄だから、そのままここで明日に備えさせてもらってた」
    「今更勉強しなくても全然楽勝だろう、きみなら」
    「そんなことはな……王子」
     少し声のトーンを落とした蔵内に、何? と荷物をロッカーに放り込んでいた王子は振り返る。
    「樫尾が来る前に換装しておけ」
    「別にいいけど……なんで?」
     蔵内は微苦笑して指先で、自分のうなじのあたりを叩いてみせた。
    「ああ、なるほど。中学生には目の毒だものね」
     王子は軽く肩をすくめて、トリガーを手にした。こんなことなら家を経由してくるんじゃなかった、学ランだったら見えなかったのにね、と笑みを浮かべながら。
    「それに、俺もつけたくなる」
    「別に構わないよ、クラウチなら」
    「そういうわけにはいかないだろう。水上に悪い」
    「そう? 一度や二度寝ただけでみずかみんぐのモノになるわけでもあるまいし」
     みずかみんぐが手に入れられないように、ぼくはぼく自身以外のなにものでもないさ、ともしかしたら水上が刻んだものではないかもしれない、情事の痕を誇るようにして微笑んでみせた。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    👏👏👏💕💕👏💖💖
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works

    palco_WT

    DONE幸福の条件

    https://twitter.com/palco87/status/1336247005849350144 で蔵っちが一番だったのでつい書いた~
    たまには三人で食事をしないかと、蔵内が王子と水上に打診されたのは一週間ほど前のことだった。
     同隊である王子はともかく、生駒隊の水上とは防衛任務等の兼ね合いもあったが、たまたま週末にスケジュールが空いていたのでその日に王子が予約したというレストランで落ち合った。
     そもそも、王子と水上がわざわざ顔を揃えて尋ねたあたりで、これは何かあるなと察しはしたが、デザートまでたどりついたあたりで「ぼくたち籍を入れようと思うんだ」と言われて、少しばかりは驚くのではないかと思ったけれど、予想していたよりすとんと蔵内の中では腑に落ちた、というのが正直なところだった。というか、むしろ王子みたいな人間がそういう世間のシステムの迎合しようとしていることのほうが、少々意外な気持ちではあった。
    「……おめでとう。幸せになれよ、っていうのは陳腐かな。おまえたちなら誰に言われなくても自力でどうにかするだろうから」
    「そうだね! さすがはクラウチだ、ぼくらをよく分かってる」
     おおきに、と告げる水上の口調がぶっきらぼうなのは照れ隠しだ。対照的に王子は背中に大輪の薔薇とヒマワリとカスミソウを背負っているような爛漫とした笑 1098

    recommended works

    palco_WT

    MAIKING折本にするつもりだったけど流し込んだらはみ出て笑うしかなかった……加減……分量の加減……狭い遠征艇での窮屈な環境と、門による跳躍が影響する三半規管だかトリオン臓器に由来する何かの器官に由来するもののせいなのかは分からないが、いわゆる空間識失調《バーディゴ》っていうのはこんなものなのかもしれない。
     シャバの空気を吸って半日以上経つのに、まだ本復しない体にハッパをかけながら、休暇明けには提出しないといけない仕事に手をつけては、もう無理と倒れ、いややらないといけないと起き上がり、しかし少し経ってはちょっと休むを繰り返していた冬島の携帯端末が着信に震えたのは、そろそろ空腹を胃袋が訴えかけた夕暮れ時だった。
    「おう、何だ、勇」
    「隊長、今からそっち行くけど、なんか買ってくもんあっか? どうせ、遠征から戻ってからぶっ倒れたままだろ」
     ありがてえ、とローテーブルを前に床にひっくり返って天井を見上げたまま、冬島は携帯端末に向かって矢継ぎ早に告げる。
    「弁当なんでも、あと甘い菓子パン何個か。ドーナツでもいい。それとチョコレート味の何か」
    「何かって何だよ。ケットーチ上がるぞ。カップ麺は?」
    「ハコでストックしてあるから大丈夫」
    「その分だと缶ビールもいらねえな。煙草《モク》は?」
    「そ 3454

    palco_WT

    PROGRESS冬コミ新刊の水王の、水上の過去の捏造設定こんな感じ。
    まあそれでも入会金十万円+月一万余出してくれるんだからありがてえよな……(ワが2013年設定だとたぶんんぐが小学生で奨励会にあがったとしてギリギリこの制度になってるはず。その前はまとめて払ってダメだったら返金されるシステム)
    実際、活躍してるプロ棋士のご両親、弁護士だったり両親ともに大学教授だったり老舗の板前だったりするもんね……
    「ん、これ、天然モンやで」
     黄昏を溶かしこんだような色合いの、ふさふさした髪の毛の先を引っ張りながら告げる。
     A5サイズのその雑誌の、カラーページには長机に並べられた将棋盤を前に、誇らしげに、或いは照れくさそうに賞状を掲げた小学生らしき年頃の少年少女が何人か映っていた。第〇〇回ブルースター杯小学生名人戦、とアオリの文字も晴れやかな特集の、最後の写真には丸めた賞状らしき紙とトロフィーを抱えた三白眼気味の、ひょろりと背の高い男の子と、優勝:みずかみさとしくん(大阪府代表/唐綿小学校・五年生)との注釈があった。
    「でも黒いやん、こん時」と生駒が指摘する。
     彼の言葉通り、もっさりとボリュームたっぷりの髪の毛は今のような赤毛ではなく、この国にあってはまずまずありがちな黒い色をしていた。
    1983