明かり凛月が寝る時に電気を消すのは幼い頃からの習慣だった。眩しい太陽みたいでこわい、と昔はぐずったものだったから。
だから、いつもだったら、すぐにでも電気を消して寝床に入るところなのに。
今、凛月がそれを出来ないのは
目の前にいる先客のせい。
(兄者……俺のベッドで眠ってる……)
ちょっと、と怒り気味に言って布団から追い出したいところである。しかし、いつも無理やり起こされるのを嫌がってる身としては、道理に適わないかな、と思いつつそっと近くに寄った。
滅多に見れない、兄者の寝顔。普段は凛月が眠ったのを確認してから零は眠るし、お腹を空かして起きた凛月に朝食を出すために、零は凛月より早く起きる。しかも凛月のためにすべての電気を消すのだから、いくら吸血鬼で夜目が効くとはいえ、ここまではっきりとは見えない。
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