未来で待ってる話――夢を見た。
目の前には野原が広がり、川が流れている。
そこには少年が一人いて、きゅうりを片手に何かを探しているようだった。出会ったことがないはずなのにその少年には見覚えがあるような気がして、夢の中の暁人は少年に声をかける。
「名前、聞いてもいい?」
「 」
何故か、少年から発せられた言葉を認識することが出来ない。もう一度尋ねようとしたところで、夢から覚醒してしまった。夢から覚めた暁人の右手は天井に向けて伸ばされ、その瞳からは自然と涙が零れ落ちる。
「あれ……?」
あの夜を共にし、あの夜に別れた相棒の姿が頭を過ぎった。
夢で見た光景には見覚えがあった。あの夜、河童の気配を追いかけて井戸の中に入った時の、あの光景とそっくりだった。夕刻頃、井戸があった場所に向かったものの、立ち入り禁止の札と蓋がされていて入ることが出来ず夢で見た少年に会うことは出来なかった。
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