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    もちこの本棚📖

    @zunnda_motico

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    現在GW:T(K暁とCPなしメイン、たまに暁K、)作品になります
    (アイコンはいかてんころもさん(@Ikaten_koromo)作です☺️ありがとうございます☺️)

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    2024年2月25日
    K暁オンリーイベント、開催おめでとうございます🥳
    K暁デーネットプリント企画、お題「バレンタインデー」で書かせていただきました。
    同棲軸の二人のはなしです🍚
    ※既にお知らせしていますが、本部様のネップリアンソロに申請させていただいた予約番号は不備があったためすでに削除しています。白黒版、修正したカラー版を登録し直したので、詳細はTwitter(X)をご覧下さい!

    #K暁

    ビターな思い出を塗り替えて「KK、いつもありがとう」
     お皿の上にちょこんと乗せられたそれは、どうやらチョコレートケーキのようだ。
    「あ?……昨日作っていたのは、それだったのか」
     昨日の夕方頃、帰宅すると部屋中チョコレートの甘い香りで包まれていて、その残り香が甘ったるくてつい顔を顰めてしまった。その香りの正体が、これだというわけだ。
    「甘さ控えめにしたからさ、KKでも食べられると思うよ」
     食べてみて苦手なら残してもいいからさ、と暁人は皿をずずいっとオレの前に差し出してくる。残してもいいと言うが、せっかく作ってくれたものを食べないわけにもいかない。とりあえず一口、と控えめにスプーンですくって口へと運ぶ。
    「…………美味いな、これ」
     甘いものは苦手だが、これはいける。中に入っているクリーム状のチョコレートがそれほど甘くなく、昨日の甘ったるい香りとは違って胃がもたれるような感じもなかった。どんどんとスプーンが進み、いつの間にか完食していた。
    「え、もしかして全部食べてくれたの……?嬉しいなぁ」
     口直しのコーヒーを持ってきた暁人が、空になった皿を見て嬉しそうに微笑んだ。
    「てっきり、一口だけで良いって言われるかと思って小さめに作ったんだけどな」
    「いや、サイズも丁度いい。味も、思っていたほど甘くないし食べやすかった」
    「ほんと?この前自分用に作ったら結構甘く仕上がったから、KK用にビターチョコレート多めにして作ったんだけど……気に入ってもらえて、よかった」
    「料理も作れて菓子も作れるなんて、器用だねぇ暁人くんは」
     ここで暁人が、疑問符を浮かべた表情をオレに向けてきた。
    「……ん?もしかしてKK……今日何の日だか、わかってない?」
    「あ?」
     何の日だって?何かの記念日か?まずい、記念日だとしたらまた忘れてたのかと呆れられるに違いない。つい目が泳いでしまったのか、それを見た暁人が笑いだした。
    「今日はバレンタインデーだよ、さすがにKKも知ってるだろ?」
    「バレンタインデーだぁ?……あぁ、そうか、そうだったな」
     つい、昔の記憶が蘇ってきて、先程食べたチョコレートよりも苦い思い出が脳裏に過ぎる。まだ家庭を持っていた頃、妻が毎年用意してくれるのにも関わらず、甘いものは得意じゃないと気持ちだけ受け取ったり、付き合っていた頃はそれなりにお返しをしていたものの、結婚してからはろくにお返しすらしていなかった気がする。我ながら最低な旦那だったと、今更反省しても遅いのだが。
    「女性から、男性にチョコレートを贈る日だって言うけど……今の時代、性別は関係ないしさ。それに、ほら。いつもお世話になってますって意味で渡してもいいんじゃないかなぁって」
    「それは……そうだな」
    「だから、僕が美味しいと思ったものをKKにも食べてもらいたくて、つい張り切っちゃったんだ……ごめん」
     バレンタインデーの話をした時にオレが渋い顔をしたことに気がついたのか、暁人が申し訳なさそうな表情になる。気を遣わせてしまったようだ。
    「……美味かった、また来年も作ってくれよ」
    「……ほんと?じゃあ……来年は、ガトーショコラを作って、二人で食べたい」
    「甘さ控えめなら、オレだってちゃんと食うさ」
    「ふふ、任せてよ。KKの好みの味はもうバッチリだからさ」
     オレにとっては苦い思い出ばかりのバレンタインデーも、暁人のおかげでこうも甘いものになるとは思わなかった。幸せ者だ、と改めて感じる。
    「KKのことだからさ、もしかしてバレンタインデーは良い思い出がなかったんじゃないかなぁって」
    「ザンネンながら、大当たりだよ」
    「でも、学生時代はモテてたんじゃない?」
    「昭和の時代に、堂々とチョコレートを持ってくる女子はいなかったぜ」
    「でも、もらったこと……あるだろ?」
    「……………………」
    「ほら、やっぱり!……変なものが入ったチョコレートとか、もらわなかった?」
    「あ?変なモン……?」
    「ほら、その人の身体の一部とか……」
     突然おっかないことを暁人が言い出すものだからつい身を乗り出してしまう。
    「暁人……その話、詳しく聞かせてもらおうか?」
    「えッ……いやいや!中学生の頃の話だし、そこまで覚えて……!」
    「いいから、ほら、事情聴取だ!」
    「ちょ、ちょっとKKッ!」
     勘弁してくれよ、と逃げる暁人を追いかけて問い詰める。どうやら、コイツにとってもあまり良い思い出は無かったようだ、それならば
    「オマエがしてくれたように、オレがイイ思い出に上書きしても構わないよなぁ……?」
    「ちょっと待ってKK、目が怖いんだけど……!」
    「口を滑らせたオマエの負けだよ、観念しろ」

     来月のちゃんとしたお返しの前に、とびきり甘い『恋人の日』を贈ってやるよ。
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    💖💖💖💖💖😍😍😍😍😍💞💞💞💞💞
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    もちこの本棚📖

    DONE過去に幽霊けけシリーズの短編で書いたものを加筆修正しました。お題は「傘」をお借りしています。

    幽霊けけシリーズってなぁに?という方は本編後の暁人くんの元に幽霊として帰ってきたKKが再び一心同体状態で生活を共にしている、という設定が前提にあるおはなし、と解釈していただければ…!
    (過去作を読んでいただけると尚のこと嬉しいです………!)
    幽霊の相棒と、傘と ――スマートフォンのアラーム音が鳴る。
     うーん、と軽く唸りながら暁人がスマホに手を伸ばし、画面も見ずにアラーム解除をタップした。まだ眠り足りない暁人が再び眠りにつこうとすると、突然金縛りにあったように体が動かなくなり、目がバチッと開かれ閉じることが出来なくなる。ずしり、と体の上に何かの重さを感じ、恐る恐るソレの正体を確認…することはなく
    「けぇけぇ……金縛りで起こすのやめてくれる…?」
     寝起きの少し掠れた声で暁人が困った顔をした。
    『こうでもしないと起きないだろ、オマエ』
     金縛りを起こしたのは幽霊の相棒である、KKの仕業だった。霊体姿で暁人の上に胡座をかいて座っている。
    「大丈夫だよ……二度寝したって間に合うようにアラームセットしてるんだから……」
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    DONE2024年2月25日
    K暁オンリーイベント、開催おめでとうございます🥳
    K暁デーネットプリント企画、お題「バレンタインデー」で書かせていただきました。
    同棲軸の二人のはなしです🍚
    ※既にお知らせしていますが、本部様のネップリアンソロに申請させていただいた予約番号は不備があったためすでに削除しています。白黒版、修正したカラー版を登録し直したので、詳細はTwitter(X)をご覧下さい!
    ビターな思い出を塗り替えて「KK、いつもありがとう」
     お皿の上にちょこんと乗せられたそれは、どうやらチョコレートケーキのようだ。
    「あ?……昨日作っていたのは、それだったのか」
     昨日の夕方頃、帰宅すると部屋中チョコレートの甘い香りで包まれていて、その残り香が甘ったるくてつい顔を顰めてしまった。その香りの正体が、これだというわけだ。
    「甘さ控えめにしたからさ、KKでも食べられると思うよ」
     食べてみて苦手なら残してもいいからさ、と暁人は皿をずずいっとオレの前に差し出してくる。残してもいいと言うが、せっかく作ってくれたものを食べないわけにもいかない。とりあえず一口、と控えめにスプーンですくって口へと運ぶ。
    「…………美味いな、これ」
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    DOODLE #毎月25日はK暁デー 
    お題【初デート】
    参加させて頂きました。宜しくお願いします。お題が可愛すぎて悩みました…
     渋谷駅前、かの有名な交差点は深夜になっても人も車も途切れることはない。煌々と輝くモニター画面には雑多な情報が流され続け、色鮮やかなLEDに彩られた看板は星の光をかき消すように輝いている。夜の闇さえ寄せ付けない光の奔流は、月の存在までも薄く儚いものに変えてしまったようだ。
     信号が青に変わると一斉に人の流れが動き始め、それぞれの進行方向へと、人々が双方向に入り交じりながら滔々と流れていく。その人混みから少し離れて道路を眺めていた青年が、隣に立つ男に話しかけた。
    「ここだったよね、KK」
    「ああ、そうだったな」
    あの夜、二人が『運命的』に出会った場所がここだった。

     
    「ねぇ、夜の散歩に行かない?」
    暁人がそう声をかけてきた。正直なところ面倒だな、とKKは思った。もう飯も食って風呂もはいって、後は寝るだけ、という状態だ。出来ることならこのまま暁人を寝室まで引っ張って行って、さっさと押し倒したいところだが。まるで飼い主に散歩をねだる犬のような目で見つめられては、異を唱えることなど出来ようはずがない。甘いな、俺も。そう思いながら答える。
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