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    もちこの本棚📖

    @zunnda_motico

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    現在GW:T(K暁とCPなしメイン、たまに暁K、)作品になります
    (アイコンはいかてんころもさん(@Ikaten_koromo)作です☺️ありがとうございます☺️)

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    12月のK暁デー、お題は「プレゼント」で書かせていただきました。
    同棲しているいつもの二人のおはなしです。

    #K暁

    その輝きは、手の中に「KK、クリスマスプレゼントは何がいい?」
    「煙草だな」
    「え? 最近そんなに吸わないのに?」
     こたつでぬくぬくと過ごしながら、暁人は数日後のクリスマスをどうするか考えていた。
     同棲を始めてからというものKKは日に日に煙草を吸う回数が減り、今では一日一回吸うか吸わないかぐらいになっている。ヘビースモーカーだったであろう彼からしたら、それはかなり意外なことであり、本人も控えるつもりはなかったと無意識だったようだ。
    「もっと他にさ、せっかくならちゃんと物として残るものとか……ない?」
     KKはしばらく考えて、すぐには思いつかなかったようで「思いついたら言うよ」と蜜柑を剥き始めた。
     
     結局、KKからのプレゼントの要望はないままクリスマスイブ当日を迎えてしまった。挙句、もう一度聞けば「プレゼントはオマエでいい」と返される始末である。
    「適当だなぁ……じゃあ明日までに本当に決まらなかったらそれにしちゃうよ?」
     わざとらしく頬を少し膨らませ、拗ねた表情をKKに向けつつも暁人はキッチンへと向かう。外食も考えたが、せっかくのクリスマスだからと暁人が豪華なディナーを作ってみたいと提案して家でゆっくり楽しむことにした。
     具がたっぷりのグラタンに、鶏肉のオーブン焼き、クリスマスケーキも手作りで前日からしっかり準備し、仕上げに取り掛かる。
     KKはその様子を眺めながら、ソファに座って本を読んでいた。暁人が一生懸命に料理する姿と、美味しそうな匂いが漂ってくるため読書には集中していない様子で、そのうち「なにか、手伝うか?」と声をかけてきたぐらいである。暁人は嬉しそうにケーキの飾りつけを頼むことにした。
     
    「じゃあ……メリークリスマス!」
     シャンパンをあけてグラスに注ぎ、乾杯をする。テーブルには暁人が丹精込めて作ったご馳走が並んでいる。
    「これ美味いな」
    「でしょ? 昨日の夜から漬け込んでおいたんだ」
     もちろん、このご馳走の大半は暁人の胃袋に収まるのだが、KKは美味しそうに食べる暁人の姿を眺めながら少しずつ料理を食すぐらいでちょうど良かった。
    「そんなにじっと見られると食べにくいよ」
    「わりぃわりぃ、ついな」
     料理を平らげたあとはお楽しみのケーキである。少し歪な飾りつけのケーキを一切れ分けてそれをKKに渡し、残りは暁人の前に置いた。
    「菓子も作れるなら、今度は塩大福でも作ってくれよ」
    「和菓子かぁ、上手くできるかわからないけれど…挑戦してみてもいいかもね」
     ケーキもあっという間に平らげ、二人で残りのシャンパンを飲み進めていく。ふと、KKがほろ酔いの状態で口を開いた。
    「暁人ぉ」
    「うん?」
    「明日、指輪買いに行くぞ」
    「うん…………ん?」
     思わず、暁人がガタッと椅子から立ち上がった。
    「今、指輪って言った?」
    「言った」
    「…………酔った勢いじゃないよね?」
    「当たり前だろうが、前々から言おうと思ってたんだよ」
     KKとお揃いのものならいくつかある、この前はおふざけ半分でペアルックTシャツを買うぐらい、互いにお揃いのものには抵抗がなかった。
     それが、指輪……ましてやペアリングとなれば話は別だ。つい、暁人が緊張した表情でKKを見つめる。
    「この歳になるとな、欲しいものはなんだって言われてもすぐに思いつかなくてよ……よくよく考えて、オマエが嫌じゃなければ買おうかと考えてたんだよ」
    「……嫌じゃない、むしろ…………嬉しい……!」
    「じゃあ、決まりだな……っておい、泣くことないだろ」
     嬉しさで溢れた涙は、少し骨ばった優しい手で拭われた。
     
     翌朝、暁人の枕元にはクリスマス限定塩神詰め合わせの箱が置かれていたのだが、KKに聞いても
    「オレは知らないぞー」とわざとらしい返答が返ってきて、暁人はそんなKKをそっと抱きしめた。
     宣言通り指輪を買いに行き、平日で人が少ない緑道を歩きながら帰路につく。
    「あの塩神詰め合わせ、ネットだとすぐに売り切れてたのによく買えたね?」
    「そりゃあ、随分前から狙ってたからな。そういうのが得意な奴に頼んだんだよ」
     それが誰のことを指しているか、暁人はすぐにわかったのだがあえて聞かないでおいた。
    「僕が喜ぶかと思って買ってくれたんだ? ありがとうKK」
    「一気に食いすぎんなよ? 塩分過多で病気になるんだからな」
    「はーい」
     微笑みながら、暁人はキラリと光る指輪をはめた手をそっと空に翳す。思わず口角が上がった。
    「……指輪で思い出したんだがな」
    「なに?」
    「遺骨や遺灰を加工してダイヤモンドに出来るんだとよ」
    「マジで?」
     寒空の下、キラリと光る二つの指輪の輝きはとても眩しかった。
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    DONE過去に幽霊けけシリーズの短編で書いたものを加筆修正しました。お題は「傘」をお借りしています。

    幽霊けけシリーズってなぁに?という方は本編後の暁人くんの元に幽霊として帰ってきたKKが再び一心同体状態で生活を共にしている、という設定が前提にあるおはなし、と解釈していただければ…!
    (過去作を読んでいただけると尚のこと嬉しいです………!)
    幽霊の相棒と、傘と ――スマートフォンのアラーム音が鳴る。
     うーん、と軽く唸りながら暁人がスマホに手を伸ばし、画面も見ずにアラーム解除をタップした。まだ眠り足りない暁人が再び眠りにつこうとすると、突然金縛りにあったように体が動かなくなり、目がバチッと開かれ閉じることが出来なくなる。ずしり、と体の上に何かの重さを感じ、恐る恐るソレの正体を確認…することはなく
    「けぇけぇ……金縛りで起こすのやめてくれる…?」
     寝起きの少し掠れた声で暁人が困った顔をした。
    『こうでもしないと起きないだろ、オマエ』
     金縛りを起こしたのは幽霊の相棒である、KKの仕業だった。霊体姿で暁人の上に胡座をかいて座っている。
    「大丈夫だよ……二度寝したって間に合うようにアラームセットしてるんだから……」
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    DONE2024年2月25日
    K暁オンリーイベント、開催おめでとうございます🥳
    K暁デーネットプリント企画、お題「バレンタインデー」で書かせていただきました。
    同棲軸の二人のはなしです🍚
    ※既にお知らせしていますが、本部様のネップリアンソロに申請させていただいた予約番号は不備があったためすでに削除しています。白黒版、修正したカラー版を登録し直したので、詳細はTwitter(X)をご覧下さい!
    ビターな思い出を塗り替えて「KK、いつもありがとう」
     お皿の上にちょこんと乗せられたそれは、どうやらチョコレートケーキのようだ。
    「あ?……昨日作っていたのは、それだったのか」
     昨日の夕方頃、帰宅すると部屋中チョコレートの甘い香りで包まれていて、その残り香が甘ったるくてつい顔を顰めてしまった。その香りの正体が、これだというわけだ。
    「甘さ控えめにしたからさ、KKでも食べられると思うよ」
     食べてみて苦手なら残してもいいからさ、と暁人は皿をずずいっとオレの前に差し出してくる。残してもいいと言うが、せっかく作ってくれたものを食べないわけにもいかない。とりあえず一口、と控えめにスプーンですくって口へと運ぶ。
    「…………美味いな、これ」
    1959

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    リキュール

    DONE日本ゲーム大賞優秀賞おめでとうございます!(遅刻)
    おめでたいと祝われるK暁です。本編後KK生存if、『黒猫』より少し前。
    愛したくて仕方がないが我慢していたKK×子供扱いされたくない暁人のお話。
    吉事あれば腹の内を晒せ「(おや、ちょうどいいところに)」

    ふわりと浮かぶ猫又が調査帰りの僕たちの元にやってきて尻尾を揺らした。暗い路地裏、夜も遅いこともあって人通りはないため、周囲を気にせずに堂々と触れる。耳元を撫でると、顔を擦り寄せうっとりとした表情でにゃぁんと鳴いた。これを人がいるところでやると虚無を撫でるヤバい人になってしまうので注意しなくてはならない。あれは結構恥ずかしい。

    あの夜が明け、消えていた人たちが帰ってきた。街の活気が戻り再び多くの人が行き交う渋谷になってからというもの、気がついた時には既に猫又たちはコンビニや屋台から姿を消していた。まあ人間がいなくなりこれ幸いと店を乗っ取っていただけなので、人が帰ってきてしまえば返さざるを得ず仕方がないと言えばそれまでで。だからもう会うことは無いのかと寂しく思っていたら、人気のない夜道や路地裏でひょこっと顔を出すようになったのだ。驚いたが、またあの可愛らしい鼻歌が聞けると思うと自然と顔が緩んでしまう。彼らはいつも見つけられるわけではない。気紛れに現れて、たまに撫でさせてくれて、掘り出し物を売買する。この気分屋な感じ、猫はいつだって可愛いのだ。
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    らいか⛩

    DONE25日はK暁デーのお題「犬or猫」です

    素敵なお題ありがとうございました!
    とても楽しかったです
    「お、いたいた、俺の話聞いてくれるか?」

    煙草を吸いながら隣に来た中年男は自分に目もくれず話し始めた。
    聞いてくれるか?と言っているが実際返事を聞く前に語り始めているのを見ると聞かないという選択肢はないようで男をジッと見つめる。

    「俺の恋人兼相棒がそこにいるんだが、あいつはやたらと犬や猫に好かれやがる。あの日も…おっと、あの日って言ってもわからんだろうが、簡単に言えば命懸けの共同作業をしたんだよ。で、あの日もあいつは犬を見たらドッグフードを与え猫を見たら撫でたり声をかけたりと俺が引くぐらいさ。つまり恋人さまは根が優しくてなぁ…そこにマレビトも妖怪も寄っちまう程で俺ぁ心配でたまんねぇ。今もマレビトに怯えて逃げてた犬やら猫がマレビトを祓ったお陰なのか戻って来て恋人さまを奪いやがる。正直面白くねぇな。あいつの良さと言えば聞こえはいいが、俺だって…あ、いや、なんでもねぇ。……話を戻すが、俺は犬や猫に好かれねぇ質でな、こっちには来やがらねぇ。俺にとっちゃ良いことだがな。おい、今苦手なんだろとか思っただろ?苦手じゃねぇよ、あいつらが俺を苦手なんだ。そんなに好きなら自分家で飼えばいいだろって言ってみたがたまに触るから良いんだとよ。本当に人並みの好きなのか?まぁ、そこはいい。別に議論するつもりもねぇしな。っと、俺は餌なんて持ってねぇよあっちいけ」
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