そんなの今更だよ 最初は多分、ただの憧れだった。今まで身近に、指針となるような大人の男性がいなかったから。早くに亡くした両親の代わりに妹を守ろうと、気を張っていた僕にとってあの時出会った彼は、まさに想い描いていた父親像そのものだった。
正しく厳しさと優しさが混在する、理想の父親。時には親友のようにふざけあいながら、時には師のように導いてくれる、最高の相棒。
彼に出会えたことはまさしく奇跡だった。
無事に事件は片付いて、妹以外の人々が戻ってきて、何だかんだで、僕はまだ彼の側に居られている。調査の仕事を手伝ったり、彼のだらしない生活の質を上げるために、世話を焼いたり。そんな風に過ごすうちに、自分の中で、今まで経験したことの無い感情に気づいてしまった。
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