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    saikiao

    @saikiao

    ごたと申します。とっくに成人済なお腐りモノです。
    絵文かきです。
    松、MDZS、鏡音などなど
    ジャンル問わず色々ハマっておりますので、ご注意下さい。

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    saikiao

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    林檎ちゃん視点の忘羨SSになります。

    #忘羨
    WangXian

    旅の伴黒い驢馬が歩いている。
    黒い男を背に乗せて
    白い男を伴って

    大きな荷物も見当たらず
    楽し気に笑いあう二人を連れて
    黒い驢馬はゆったりと道を歩いていた。

    背に乗る男は魏嬰と言い
    歩く男は藍湛といった。

    背に乗る男が話を振り、
    歩く男がそれに答えた。

    驢馬はそれをまたかと感じながら
    自分の背の上で前に後ろに勝手に動く男を振り落とさない様に
    ゆっくりと道を歩いて行った。

    「お、藍湛!もうすぐ街だ!飯にしような!」
    「うん。」
    「うまい飯屋があると良いな!」
    「あと酒も。」
    「さっすが藍湛!よく分かってるな!酒も絶対だ!」

    驢馬は上に乗る男が左右に体をゆすりながら轍で腹を叩くのがすごく不満だった。
    走れと合図を送るくせに、いざ走ると叫びだすからだ。
    この男は驢馬にとって常識が全くない男で迷惑だった。
    重心が揺れて歩きづらいことこの上ない。
    だが優秀な驢馬であるこの驢馬はそれで倒れたりすることはない。

    驢馬はそれに文句を言いつつも変わらぬ歩調で歩いていた。
    だがこのままではこの男はいつまでも常識のないままだろう。
    上に乗るならまっすぐのること
    腹を叩くのは走る合図であること
    他にもいろいろなことをこの男は知らなかった
    群れからはぐれた男は教えてもらえなかった
    だからこそ先輩である己が教えてやらねばなるまい
    驢馬は相棒であるこの男の為にそう決意した。

    驢馬は隣を歩く男に目をやり、上の男に注視しているのを確かめた。
    手綱を握る男は体格もよく、この驢馬さえも軽々と抱えられる男だった。

    トン

    再び轍が打たれる。

    驢馬はぐっと頭を落としてぐっと駆け出した。

    「うぉっ!り、林檎ちゃん⁈」

    手綱が引かれるも気にせずカッカッと2歩だけ地を蹴れば、
    途端に男は体制を崩して横に落ちそうになった。
    伴っていた男がすぐに男を抱えあげるのを、
    それでいいのだと驢馬は振り向き見ていた。

    仲の良い番な男たちはそのまま歩き出した。
    互いに強く抱きしめあって離れずに歩いていく2人。


    驢馬はそんな2人を見て嬉しそうに鳴き声を上げた。

    あぁ、あの子の番は本当に強い男だ。
    親に捨てられ、群れから追い出され、傷の絶えなかった男が
    すぐに朽ちてしまいそうだったあの子供が

    ようやく群れを得た
    ようやく番を得た

    あの子供はもういないけれど
    この男にこの番の男が付いているならきっともう大丈夫なのだろう
    あの時泣いていた
    死にそうな子供はもういないのだ
    風の中に少しだけ
    あの子供と同じ匂いを感じながら
    驢馬は少し小さな音でひとなきした。


    黒い驢馬が歩いていく
    黒い男を抱え上げた
    白い男を伴って

    大きな荷物も見当たらず
    幸福そうに笑いあう二人を見ながら
    黒い驢馬はゆったりと道を歩いていく

    黒い驢馬は林檎といい、
    2人の男と旅をしていた。

    抱えられた男が話を振り、
    抱える男が短く答えた。

    驢馬はそれをまたかと感じながら
    次の宿場町を目指して
    ゆっくりと道を歩いて行った。


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    🌸忘羨二次創作垢🌸

    MOURNING含光君は他人にも自分にも厳しい。そんな含光君にも笑いのツボが存在した。 今日も修行に励む二人の弟子は雑談をしていた。含光君は笑ったことがあるのかと。ぜったいないだろうと言い合っていたら、含光君の道侶、魏無羨が割り込んできた――――――。
    藍忘機の笑うツボ今日は外で琴を練習する日だ。空に向かって衝撃波を連打する。数回打つだけで藍思追と藍景儀はヘトヘトになってしまった。休憩の合間に、二人は藍啓仁の目を盗んで雑談をしていた。

    含光君が笑うところなんて見た事ない。そんな話を二人の弟子達が話すものだから、なんとなくついてきていた魏無羨も間に割り込んで言った。

    「藍湛はけっこう笑うぞ」
    「嘘だ。いつも厳しいお顔をされているじゃないですか」

    藍景儀の反論に魏無羨は「じゃあ見てろよ」と言って、琴を弾いている藍忘機に駈け寄った。

    「藍湛、藍湛、こっち向いて」

    琴に手を置き、音を止めた藍忘機は静かに魏無羨の方を向く。

    「なんだ?」

    魏無羨がにぱっと笑って言った。魏無羨が来てからというもの、藍忘機の表情は幾分か優しくなっていることに弟子達は気づいていた。しかしそれはほほ笑みからは程遠いものだ。ぜったいに藍忘機を笑わせる事などできはしない。わかりきってはいたが、目を離せずに弟子達は魏無羨を見守る。
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