Recent Search
    Create an account to secretly follow the author.
    Sign Up, Sign In

    百合菜

    遙かやアンジェで字書きをしています。
    ときどきスタマイ。
    キャラクター紹介ひとりめのキャラにはまりがち。

    こちらでは、完成した話のほか、書きかけの話、連載途中の話、供養の話、進捗なども掲載しております。
    少しでもお楽しみいただけると幸いです。

    ※カップリング・話ごとにタグをつけていますので、よろしければご利用ください

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😊
    POIPOI 72

    百合菜

    ☆quiet follow

    はるよんナイトに参加させていただいたときの作品です。

    風早ED(1回目)後をイメージしたSSです。
    ※暗いです
    ※千尋→風早要素がありますが、千尋が他の誰かと婚姻します

    ##はるよんナイト
    ##千尋ナイト
    ##風千

    あれから幾度季節は巡ったのだろう。
    桜が咲き乱れ、天に星々の川が駆け巡り、実りの豊かさに感謝し、そして寒さの中で春の訪れを待つ。
    目に映る景色は移り変わり、耳に聞こえる鳥たちのさえずりの音色は変化し、肌は温かさが暑さに、そして涼しさ、寒さに変わる。
    何度も繰り返された季節の移ろい。そして、それらを教えてくれたのは、風早。
    本来は季節とともに変わる表情を見ては些細なことで喜ぶけれど、今の私がそれらから感じ取ることはない。
    あの日から、風早が私の目の前を去ったあの日から、私の中の時間は止まったまま。

    「立派な王になってください」

    今でも耳に残る風早の声。
    切なげな響きの中に含まれている優しさ。
    それはきっと彼の願いと望みと、そして本音が入り交じった証拠。
    豊葦原の平和は私も願っていること。一方で思う。それは風早が傍にいてのことだと。風早がいないこの世界では王となることも、ううん、生きていることにすら意味は見出だすことはできない。
    だけど、それはあくまでも個人としての感情。王として生きていくには不要な、そして不必要な感情。

    「王、準備が整いました」

    私を呼びに来る采女の声。
    声が晴れ晴れとしているのは空の明るさも影響しているのだろうか。私には関係のないことだけど。
    今日、私は婚姻の儀を執り行う。中つ国の平穏と繁栄のために一度も会ったこともない男性ひとと。
    私を祝福するために参列した群衆の中に紛れている共に戦った仲間たち。当たり前だけど、その中に風早はいない。そのことをわかっていながら失望する自分がいることに苦笑する。何度も絶望し、これ以上、傷つくことはないと思っていたのに、それでも心の奥底でわずかな希望を抱いている自分がいることにあきれ果てる。
    人々に手を振りながら見えるのは彼を思わせる青い空。それを見てつい願ってしまう。
    たとえ現世うつしよで叶わなくても、別の時空であなたと巡りあえることを。
    だからそのときまではさよなら。私の愛しい人。
    そのとき、頬を風が掠めるのを感じた。それはまるで彼を、風早を思わせるような爽やかさと優しさに包まれているような気がした。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    💖💖👏💖💖💖💖💖
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    百合菜

    DOODLE地蔵の姿での任務を終えたほたるを待っていたのは、あきれ果てて自分を見つめる光秀の姿であった。
    しかし、それには意外な理由があり!?

    お糸さんや蘭丸も登場しつつ、ほたるちゃんが安土の危険から守るために奮闘するお話です。

    ※イベント直前に体調を崩したため、加筆修正の時間が取れず一部説明が欠ける箇所がございます。
    申し訳ございませんが脳内補完をお願いします🙏
    1.

    「まったく君って言う人は……」

    任務に出ていた私を待っていたのはあきれ果てた瞳で私を見つめる光秀さまの姿。
    私が手にしているのは抱えきれないほどの花に、饅頭や団子などの甘味に酒、さらにはよだれかけや頭巾の数々。

    「地蔵の姿になって山道で立つように、と命じたのは確かに私だけど、だからってここまでお供え物を持って帰るとは思わないじゃない」

    光秀さまのおっしゃることは一理ある。
    私が命じられたのは京から安土へとつながる山道を通るものの中で不審な人物がいないか見張ること。
    最近、安土では奇行に走る男女が増えてきている。
    見たものの話によれば何かを求めているようだが、言語が明瞭ではないため求めているものが何であるかわからず、また原因も特定できないとのことだった。
    6326

    百合菜

    MAIKING遙か4・風千
    「雲居の空」第3章

    風早ED後の話。
    豊葦原で平和に暮らす千尋と風早。
    姉の一ノ姫の婚姻が近づいており、自分も似たような幸せを求めるが、二ノ姫である以上、それは難しくて……

    アシュヴィンとの顔合わせも終わり、ふたりは中つ国へ帰ることに。
    道中、ふたりは寄り道をして蛍の光を鑑賞する。
    すると、風早が衝撃的な言葉を口にする……。
    「雲居の空」第3章~蛍3.

    「蛍…… 綺麗だね」

    常世の国から帰るころには夏の夜とはいえ、すっかり暗くなっていた。帰り道はずっと言葉を交わさないでいたが、宮殿が近づいたころ、あえて千尋は風早とふたりっきりになることにした。さすがにここまで来れば安全だろう、そう思って。

    短い命を輝かせるかのように光を放つ蛍が自分たちの周りを飛び交っている。明かりが灯ったり消えたりするのを見ながら、千尋はアシュヴィンとの会話を風早に話した。

    「そんなことを言ったのですか、アシュヴィンは」

    半分は穏やかな瞳で受け止めているが、半分は苦笑しているようだ。
    苦笑いの理由がわからず、千尋は風早の顔を見つめる。

    「『昔』、あなたが嫁いだとき、全然相手にしてもらえず、あなたはアシュヴィンに文句を言ったのですけどね」
    1381

    recommended works