きらきらひかるあなたのこえある日突然声に色がついて見えるようになった。調べてみるときちんと研究されている症状らしい。驚いたものの、暮らしに差し支えはないので少し様子をみようと思った。
事務所では沢山の色が視界を飛び交った。皆の声はそれぞれ綺麗な色をしていで、その色味は本人にとても良く似合うものだった。
「師匠!」
その声に振り向くと視界がきらきらと綺麗に彩られる。眩しくて思わず目を細めてしまうのに、触れると壊れてしまいそうな儚さだ。
「師匠?どうかしたんスか?」
「いや…サングラスが欲しいなと思って」
室内なのに?と首を傾げる彼が紡ぐ言葉の色はとても落ちついている。
自分を呼ぶ時だけなのだ。世界が鮮やかに彩られるのは。
(これは、なんだろうな?)
本当はとっくに気が付いている気持ちに無視をして、彩りに伸ばした手が触れないように握りしめた。
ある日突然声に色がついて見えるようになった。調べてみるときちんと研究されている症状らしい。驚いたものの、暮らしに差し支えはないので少し様子をみようと思った。
おやっさんの渋いけれど深みのある色。常連さんの真っ直ぐで明るい色。あの二人は少し乱暴に言葉を交わしている時が、火花のようにバチバチと光って一番華やかな色だった。
「道流」
その声に振り向くと柔らかくて温かい色が自分を優しく包んだ。声にあるはずのない温度さえ感じられる様なとても優しい色だ。
「道流?どうかした?」
「いえ、温かいなと思って」
暖かいかな?と首を傾げる彼が紡ぐ言葉の色は全く違う色をしている。
自分を呼ぶ時だけなのだ。世界が温かく彩られるのは。
(これは、なんだろうか?)
本当はとっくに気が付いている気持ちと向き合って、温かさに伸ばした手が触れるとまた一つ世界が優しく彩られた。