好きな人の好きな人 生意気な奴だな、と思った。
まだ伸びるのかも知れないけれど、身長は特に恵まれているわけではないが、足が速くてボディバランスの良い奴だと思った。野球は中学の部活でやっていたと言うのだからまだ慣れていないはずの硬球にもすぐに慣れてどんどん適応していく。秋には二年を差し置いてレギュラーを掴み取っていた。きっと掴み取ったものは意地でも離さない根性もあると思う。
スタミナはないが、それはすぐに着いた。ここはそう言う環境が整えられている場所だ。それを選んでみんなここにいる。
意思の強そうな目が睨むように俺を見る。盗める技術は全部盗んでものにして、さらに上へと追い求める捕食者の目だ。
中間種の猫又、魂元通りにしなやかにトップスピードに至って塁間を駆け抜ける、その姿に惚れたと気付いた時にはもう、その隣には鈍臭いのにやたら目を引く狸がいた。
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