初めてのネクタイ(うまく結べない…)
衣類に興味はない。
だが、指定された衣服であれば、それはマレウスに恥をかかせないためには必要なことであった。
シャツに、スラックスに、あと警棒と…靴下にローファーと身につけつつ残されたのはネクタイのみ。
入学式は式典服の着用でボタンを締める、フードを被るとそこまで複雑なものではなかったがこうも手先の器用さが必要となってくると表情を変えることなくシルバーは悩むしかなかった。
明日から始まる学園生活。
少しでも慣れようと思って手をかけやり始めたがなかなか上手く行かない。結び目が大きくなったり、裏地が表を向いてしまったりとぐちゃぐちゃだ。
「シルバーおるか?」
ドアをノックする音が聞こえた。聞き慣れたその声に嬉しく思いつつ、咳払いをし扉を開けた。
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