あなたがここにいる『魏嬰、なぜ君が死ななければいけなかったのだ…』
背中の痛みよりも、胸の痛みがこたえた。冷泉でどれだけつかろうとも、癒える事はない。
兄が「時がたてば忘れ行くだろう」と言いに来てくれた事がある。
されど、その日は来なかった。
師弟が大きくなっていく様を感じ取るたび、時間の経過を感じる。
かつて子供だった彼がはしゃいでいた姑蘇の山道を歩いては魏無羨の笑い声を思い出す。なぜ一緒に遊びに出かけなかったのだろうと後悔しても、もう遅い。
彼はあんなにも自分を気にかけてくれていたのに。愛しさは増すばかりだった。会いたくて、愛しくて、つらかった。
「――――――ッ」
藍忘機は息を少しみだしつつ目を開けた。
体にずしりとした重みを感じる。魏無羨だ。むにゃむにゃと自分の髪の毛を口に入れて何か言っている。力加減を忘れてつい、強く抱きしめてしまった。
702