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    redtomato_pizza

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    カナヤマナミ様主催(@AZYDantholo0515)のアズイドアンソロ『晴休』に寄稿させて頂いた作品のweb再録で御座います。

    再録の機会を逃していた為、Webオンリーの機会に公開致します!


    人生で初めて参加したアンソロで、右も左も分からない状態で助けて頂き主催様方には本当にお世話になりました……。
    そして、本をお手に取って頂いた皆様も本当にありがとうございました!

    #アズイド
    id

    ひなたぼっこ【再録】「何をしているのですか、フロイド。」
     ある晴れた日の昼休み。フロイドは中庭の芝生の上で寝っ転がっていると、ジェイドが声をかけてきた。
    「あ、ジェイドだ。えーとね、『ひなたぼっこ』ってヤツ。こうやって、お日様に当たって温まるコトなんだって。カニちゃんに教えてもらった。」
    「ほう、興味深い。僕もご一緒によろしいですか?」
    「どうぞ〜。気持ちイイよ〜?」
    「お隣失礼します。」
     そう言いながらジェイドがフロイドの隣に仰向けで寝転がった。すると麗らかな日差しが、ジェイドをぽかぽかと包み込む。
    「なるほど、これはとても心地がいい。」「でしょお♡」
    二人が楽しそうにそんな会話をしていた丁度その時、アズールが二人の前を通りかかり、声をかけてくる。
    「……お前たち、芝生の上で何をやっているのですか?」
    「「ひなたぼっこ!」です!」
    「なんですか、それは?」
    「こうやって太陽を浴びて身体を温める行為だそうです。アズールもご一緒にいかがですか?」
    「僕はこの後寮長会議があるのでご遠慮しま……゛わッッ⁉」
     誘いを断ろうとしたアズールであったが、言葉の途中で腕を引かれ、強引に芝生の上に寝かされた。かと思えば、二匹のウツボは両脇の下に潜り混み、ガッシリ腰に腕を巻かれて二人の間に川の字に並ぶように固定されてしまった。
    「オイ、離せ。僕は忙しいんだ。」
    双子を振り解こうともがくが、腰に回された腕はビクともしない。
    「まあまあ、そうおっしゃらず。ご覧ください、アズール。」
    ジェイドは暴れるアズールをたしなめながら、空を指さす。つられてアズールがその方向に目を向けると、キラリと輝きを放つ陽の光が目に入った。それは、まるで自身の大好きな宝石のようであり、アズールは思わず見とれてしまう。
    「アズール、この煌めく光も、暖かな景色も、全部陸に来たからこそ味わえたものですよ。」
    「『ひなたぼっこ』とかいう気持ちい~遊びも陸に来たから知れたんだよねえ。折角天気いい日なんだから楽しもうよ〜。」
    「そうですよ。僕達を陸まで連れてきてくださったのは他でもない……アズール、あなた自身なのですから。」
    「そーそー。だからね、お日様がよく見える晴れの日はいつも、『陸に連れてきてくれてありがとぉ、アズール』って思うんだ。」
    いつになく素直にニコニコとする双子に、アズールは不審そうな顔を向ける。
    「……嫌に素直ですね。何を企んでるんですか。」
    「えー、だからぁ、オレ達と一緒にぃ」「ひなたぼっこしましょう!」
    そう言って二人は同時にアズールを見上げて艶めかしく笑った。
    「ッ‼」
     そんな二人の様子は、昨晩の自身のベッドの上での光景を想起させられてアズールは思わず赤くなってしまう。自身の上に乗って、上目遣いでおねだりしてくるような『ある光景』を。まだ、あの時の息遣いの感覚が耳元で残っている気がする。
    「っ~~~~~!!!」
    ダメだダメだダメだ。何を考えているんだ、僕は。この後寮長会議だというのに。
    アズールはその記憶を払拭するように顔を横に振ると、それを隠すかのように早口でまくし立てる。
    「仕方ないですね!少しだけならお付き合い致しますよ!」
     アズールは抵抗を諦めて、そのまま芝生の上でひなたぼっことやらを楽しむ事とした。すると、二人は嬉しそうに自身に回した腕に力を込め、身体をぎゅっと寄せた。
    「やった~~!」「ふふ。嬉しいです。」
    確かに……、これは実に気持ちのいいものだ。たまにはこうやって過ごすのも悪くない。
    ——三人で陸に来て良かったな。
    陽の光と二人の体温の温かさに身を任せながら、アズールは目を瞑ったのであった。

    ちなみにこの後アズールはうたた寝をしてしまい、寮長会議に遅れかけたため、ジェイドとフロイドはしこたま怒られたそうな。



    END
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