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    sayutaba18

    @sayutaba18
    ライハを愛してる女。

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    sayutaba18

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    初りつレオに挑戦!
    こたつでゴロゴロ。

    #りつレオ
    rheo

    「うぅ~寒い……寒過ぎる……この刺激で霊感も浮かぶかも! って思ったけど強風と共に音楽も消えていった……耳がちぎれそう! あ、ちぎれちゃったらくっつく? 耳がなくなっちゃったら耳なし芳一? とにかく世界の損失だ……」
    「なにぶつぶつ言ってるの『王さま』~? こっちにおいでよ」
    「あ、リッツおはよう! こんな所にいたのか。どうりで開いてると思った」
    「そうそう。ちょっとだけスタジオに寝に来たの。こたつあったかいよ~」
    「こたつで寝てたらセナとかスオ~に怒られるぞ~」
    「ふふ、でも今は真面目な人たちはいないから。ねぇ~『王さま』?」
     朝から珍しく登校したものの、学園内に降り積もる新鮮な雪をぎゅっぎゅと踏みしめて歩いていたら、その音が面白くて、ペンを取り出し、メモ帳に音符を並べていた。しかしものの五分もすると手はかじかんで動かなくなるし、おまけに風が強くて目も開けていられず、作曲どころじゃなくなったので、どうにかこうにか暖を取ろうとセナハウスへとたどり着いたのだった。
    「あったかい……身に染みる……」
     凛月の隣に座り、こたつへ手足を入れると、冷えきった末端にじんわりと暖かさを感じた。
    「でしょ~? 俺がちょうど良くいて良かったね~」
    「リッツがいなかったら凍死するかもしれなかったからなぁ。ありがとう。愛してるよ~!」
    「俺も『王さま』のこと、大好きだよ~。もっとこっちにおいでよ。あっためてあげるから」
     凛月はこたつから顔だけを出した状態でこちらを向いていたけれど、手をぬっと出して、おいでおいでという仕草をした。
    「いやでも、おれ、冷たいぞ? リッツせっかくあったまってるのに」
    「『王さま』に風邪引かれたらセッちゃんに怒られちゃうから。それに、俺は充分暖まって暑いくらいだし、ちょうど良いんだよ~」
    「そ、そう? じゃあお邪魔しまーす」
     レオが言うや否や、凛月が手を伸ばしてきて手を掴まれた。
    「『王さま』まだ指冷たいね」
    「そうだな。あんまり指先の感覚戻ってないし」
     ふにふに。指先を温めるように凛月がレオの手を揉んでいる。
    「ダメだよ~? たまには自分を甘やかしてあげてよねぇ」
    「わぁっと」
     そのまま手を引っ張られて、体制を崩したところに、こたつ布団の中へと引きずりこまれていた。気づけば凛月の胸に向かい合うようにすっぽりと収まっていて、ぎゅうぎゅうに抱き締められている。まるで抱き枕のようだ。瀬名もよく引きずりこまれてるし、意外と力が強いんだよな、こいつ。
    「『王さま』ひんやりしてて気持ちがいい~。このまま眠れそう。はい、『王さま』もぎゅ~」
    「ぎゃ、ぎゅ~」
     凛月に合わせて、自分も凛月の背中へ手を回す。凛月に視線を向けると、さっきまでも半分しか見えていなかった赤い瞳が、完全に隠れていった。このまま抱き枕としての役目を全うしても良い。暖かいし。一生このままでもいい……やっぱり嘘。
    「リッツ、身動き取れなくて苦しいぞ~!」
    「ああ、ごめんごめん」
     トントンと凛月の肩を叩くと少しだけ力を緩めてくれた。はぁ、と息を吐いて吸い込む。ちょうど凛月の首元に顔を押し付けられていたので、凛月の匂いを胸いっぱいに吸い込んでしまった。甘ったるくて、落ち着く凛月の匂い。
    「リッツ甘い匂いがする~」
    「さっき厨房でお菓子作ってたからね~。ちょっ、ふふ、くすぐったい~」
     ふふふ、と凛月が笑うので、調子に乗って首もとに顔を寄せて、フンフンと匂いを嗅いでいた。
    「はぁ~リッツがお菓子だったら、今すぐ食べてやるのに~」
    「あはは。食べてみる? 試食する~?」
    「わはは。どうやって食べるんだよ~!」
    「こうやって」
    「……っ! ん、」
     一瞬何が起こったかわからなかったけれど、どうやらぱくっと自分の唇が食べられていたのだと気がついた。なぜなら、唇を離した凛月が、赤い目を少しだけ細めて、怪しい笑みを浮かべながら舌をぺろりと出していたからだ。
    「おいしい?」
    「わかん、ない……」
    「じゃ、もう一回ね」
    「ん、……ン、っ、ぁ」
    「さっきチョコ食べてたから、甘いかも。わかった?」
    「ん、……」
     二回目のキスは、ご丁寧に舌まで入れられて、ちゅくちゅくと口内をまさぐられて離れていったのだけれど、正直凛月の唾液の味しかしなかった。そして、送り込まれた唾液を、ごくりと飲み込む。それは、毒のようで、ちょっとだけ甘かったかもしれない。
    「あはは。『王さま』顔真っ赤~。目もとろんってしてるし、かわいいね」
    「う、うるさいなぁ」
    「セッちゃんには内緒だよ?」
    「もぉ! 当たり前だろ~!」
     こんなこと、瀬名には言えない。言えるはずがない。
    「ねぇ、もっといけないことしてみる?」
     凛月が耳元で囁いて身体がビクつく。甘い声で、甘美な世界へと誘う、悪魔の囁きのようだ。
    「~~っだめ! しない! いくらリッツでもそれは駄目です! お母さん許しませんよ!」
    「お母さんって……もしかしてセッちゃん?」
    「セナぁ……? 確かに『あんた達こんなところで何やってるの!? ありえないんだけどぉ!?』って絶対説教されるよな」
    「あはは。想像できるねぇ」
     あははと二人で笑いあう。凛月といると、時間がゆったりと過ぎていくから好きだ。
    「それはそうと、さっき俺が作ってた本物の方のお菓子、試食する?」
    「するする! そういえば朝から何も食べてないや」
    「またそれセッちゃんに怒られるやつでしょ~。ご飯代わりになりそうなのは……チョコのカップケーキかなぁ。ちょっと待ってて」
     こたつから這い出て、のそのそと奥へ入っていく凛月。しばらくすると手には、カップケーキらしきものと、マグカップを持って帰ってきた。
    「相変わらず面白い見た目だなぁ。チョコのカップケーキって言われなかったら何かわからなかったぞ~」
    「味は保障するので、あとそれに見合う紅茶もどうぞ。暖まるよ~」
    「ありがとう~! 最高の朝ごはんだな!」
    「もう昼ごはんの時間かもだけどねぇ。何も食べないよりマシでしょ」
    「相変わらずンま~い! 甘さもちょうど良くて、紅茶の苦味に調和されていいな。身体も暖まるし霊感も沸いてきたぞ~! やっぱりリッツは最高だな!」
     パクパクと口へ放り込み、一瞬のうちにグロテスクな見た目のケーキを完食する。
    「それはどうも。じゃあ俺はまた放課後のレッスンまで一眠りするので……適当に起こしてねぇ~おやすみ」
    「おれも作曲してこのままレッスンに備えようかなぁ。セナとスオ~の驚く顔が楽しみだし。あっ、鼻歌が邪魔だったら違うところに行くけど?」
    「外は寒いんだから、ここにいておきなよ~。こたつは楽園だよ~。俺は『王さま』の鼻歌BGM、嫌いじゃないよ」
     まるで、ここから自分がいなくなることを、少し寂しがるような物言いだった。
    「そっか。じゃあここにいるな。おやすみリッツ」
     トントンと寝かしつけるようにゆっくりと背中を数回叩いてから凛月を見ると、とろんとした瞳がにこりと笑ってゆっくりと閉じられた。すぐにすやすやと寝息が聞こえてきたので、自分もノートを広げて「リッツのカップケーキがおいしかったなの歌」を書き記していく。
     誰にも邪魔されない、二人だけの秘密の暖かい空間。そこからドヤドヤと騒がしくなるまで、あと数時間。


    おしまい。
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    sayutaba18

    DONE初りつレオに挑戦!
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    「うぅ~寒い……寒過ぎる……この刺激で霊感も浮かぶかも! って思ったけど強風と共に音楽も消えていった……耳がちぎれそう! あ、ちぎれちゃったらくっつく? 耳がなくなっちゃったら耳なし芳一? とにかく世界の損失だ……」
    「なにぶつぶつ言ってるの『王さま』~? こっちにおいでよ」
    「あ、リッツおはよう! こんな所にいたのか。どうりで開いてると思った」
    「そうそう。ちょっとだけスタジオに寝に来たの。こたつあったかいよ~」
    「こたつで寝てたらセナとかスオ~に怒られるぞ~」
    「ふふ、でも今は真面目な人たちはいないから。ねぇ~『王さま』?」
     朝から珍しく登校したものの、学園内に降り積もる新鮮な雪をぎゅっぎゅと踏みしめて歩いていたら、その音が面白くて、ペンを取り出し、メモ帳に音符を並べていた。しかしものの五分もすると手はかじかんで動かなくなるし、おまけに風が強くて目も開けていられず、作曲どころじゃなくなったので、どうにかこうにか暖を取ろうとセナハウスへとたどり着いたのだった。
    「あったかい……身に染みる……」
     凛月の隣に座り、こたつへ手足を入れると、冷えきった末端にじんわりと暖かさを感じた。
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