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    sgm

    @sgm_md
    相模。思いついたネタ書き散らかし。
    ネタバレに配慮はしてません。
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    sgm

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    アニ祖師7話の心の目で読み取った行間埋め曦澄。
    魏無羨の抹額ハプニングのアフターフォローしに兄上のとこに謝りに行く江澄。

    #魔道祖師
    GrandmasterOfDemonicCultivation
    #曦澄

     一位で雲夢江氏と呼ばれた時、少しでも期待した自分が恥ずかしい。藍忘機との諍いの後、藍忘機の態度が魏無羨も気になっていたのか、調子を崩していたようだったから、もしかしたら自分かもしれない、と思ったのだ。
     結果は一位は魏無羨で、自分は二位でもなく、三位でもなく、四位ですらない。途中で棄権した藍忘機にすら自分は勝てなかったのだ。温晁は途中で退場したから、残りの五大世家の公子の中で、上位に名前を呼ばれなかったのは自分だけだ。江澄は拳を強く握った。
     魏無羨が一位なのだから、雲夢江氏としての面目は十分に取れている。それは素直に喜ぶべきことだろう。雲夢江氏として誇らしいことだと。実際に喜ばしいと思う。雲夢江氏が一位だと聞いた時、自分ではなかったけれど、誇らしかった。ただ、そのあと、上位に自分の名前が呼ばれなかったことが悔しくて仕方がない。
     後ろではしゃぐ魏無羨と師弟たちの声を聞きながら江澄は溜め息をこぼした。まだ、修練が足りないということか。止まっている的を射るだけではだめだ。動いている的を確実に当てることができるようにならなければ、魏無羨に並べない。
     生まれ持った才能の差があるのだから仕方ない。そう思って諦めて投げ出してしまえれば楽なことは分かっている。だが、諦めるわけにはいかなかった。母のためにも。父に認められるためにも。
     母が、魏無羨のほうが自分よりも能力が高いことに対して、母親の能力の違いだと父に言ったことを江澄は聞いたことがあった。
     魏無羨の両親のことを江澄は覚えていないが、魏無羨の母は、優秀な仙師だったらしい。母である虞紫鴛も紫電を自分の手足の用に使いこなせるのだから、十二分に優秀な仙師なのに、その母よりも優秀だったという。母親の能力の違いが、子である自分たちの能力に差をつけたなどとは思いたくない。思わせたくもない。だが、実際に差がある。その差は、修練と努力で埋めればいいだけだ。今までだって、そうしてきた。魏無羨が一でできることを、三やらなければ並べないのであれば、自分は三やればいい。
     ゆっくりと呼吸をすると、悔しさは消えないが少しだけ心が落ち着いた。そのまま他家の様子を眺めて更に、気を紛らわせていると、姑蘇藍氏が視界に入る。藍曦臣が藍忘機をなだめているのが見えた。
     江澄は横目で魏無羨と師弟たちを見てから、もう一度藍氏双璧に視線を戻した。
     次代の江宗主になる身としては、隣である姑蘇藍氏の次期宗主とその弟とは良い関係を築いておきたい。失礼をした本人に謝らせたところで、火に油を注ぐようなものだろう。藍忘機に直接自分が謝ったところで、藍忘機の怒りが収まるとは到底思えないが、藍曦臣に一言、自分から謝っておくことは無駄にはならないだろうと思われた。魏無羨の尻ぬぐいをするのは自分の役目だ。それに、一年間姑蘇藍氏の座学を受けて、藍曦臣とは知己とまではいかなくとも、顔見知り程度の関係ではある。藍忘機がどこかへと歩き、藍曦臣が一人になったのを確認すると、江澄は藍曦臣に向かって歩き出した。
    「澤蕪君」
    「おや、これは江公子。お疲れさまでした」
     声を掛け、拱手をすると、同じように拱手で返される。
    「お疲れさまでした。お久しぶりです」
    「姑蘇での座学以来ですね。元気にしていますか?」
    「はい」
     穏やかな笑みを向けられると、つられてこちらも笑みを浮かべそうになるが、世間話をしに来たのではない、と胸中で自分を戒める。
     遠のく藍忘機の背中を横目で見ながら、江澄は軽く藍曦臣に頭を下げた。
    「あ、とその。すみません。魏無羨が弟君に失礼を。改めてお詫びに来ました。本人を連れてきても逆に弟君を怒らせるかと思って。俺が、代わりに」
    「あぁ、まぁ、姑蘇の人間以外はあまりこの抹額のことは知らないだろうからね。忘機には私からもあまり魏公子を責めないようには言っておくよ。ただ今後は決して悪戯しないように伝えておいてもらえるかな。私たちにとっては抹額はとても大切なものだから、と」
     苦笑をしつつも、どこか責めるような色が目に浮かんでいた。藍氏にとって抹額は命だと聞いたことがあるが、比喩でも、大げさに言っているわけではないのだと改めて知る。
    「はい。本当に、申し訳ありませんでした」
     江澄が深々と頭を下げようとすると、途中で止められた。
    「君が忘機の抹額を取ったわけではないんですから、そこまで頭を下げる必要はないよ。むしろ、わざわざありがとう」
     いえ、と小さく頭を振る。要件は済んでしまった。挨拶をして、戻ろうかと考えていると、藍曦臣が言葉をつづける。
    「魏公子の弓の腕は見事だね。一位を取られてしまった。江宗主も喜ばれていることだろうね」
    「はい、そうですね」
     顔には笑みを浮かべながら、ぎり、と胸が痛む。江澄は拳を強く握りしめる。
     父も、喜んでいるだろう。
     雲夢江氏の師弟が清談会の弓術大会で一位を取ったのだから。宗主の日頃の指導の賜物だ。他の世家にも雲夢江氏はよい師弟がいると知らしめることができる。
     帰りの舟の中で、父はきっと魏無羨と、自分と、師弟二人の労をねぎらってくれることだろう。一位を取った魏無羨はもちろん、上位に入れなかった自分も、師弟二人も平等に。
     雲夢に戻れば、姉が結果を聞いて、「二人とも凄いわ」と言ってくれるだろう。凄いのは魏無羨だけなのに。
     母も、江氏が一位を取ったことは当然、と言いつつも喜ぶことだろう。ただし、その一位を取ったのが息子でないことに、落胆するだろうが。
    「江公子?」
     怪訝な表情を浮かべて、藍曦臣が江澄を呼ぶ。笑えていないのだろうか。口角はきちんと上げているはずなのに。江澄は目を伏せた。
    「それを、言うなら貴方だって二位に。途中で棄権したにも関わらず、藍忘機は四位じゃないですか。公子が二人も上位に入っているのは、藍氏だけでお見事だ」
     俺は、四位にも入れませんでした、と口に出しそうになるのを堪える。そんなみっともないことを、目の前の人に言ったところで何になる。
     これ以上は、話をしたくない。江澄は礼を欠くのも承知で、目を伏せたまま拱手をする。
    「それでは、俺は、これで。失礼します」
     藍曦臣の返しも待たずに、踵を返そうとしたが、手首をつかまれ止められる。
    「え?」
     手首を掴んでいる自分自身の手を藍曦臣が不思議そうに見てから、慌てたように江澄の手首を離した。
    「あ……。すみません。その、遠目から見ていましたが、江公子。貴方の弓もお見事でしたよ。一体ずつ確実に狙っていた。よく修練されているのが見ていてわかりました」
     素直に喜ぶべきことなのだろう。だが、気を遣われたのだと、江澄は俯き、唇をかみしめた。修練したところで、魏無羨にも、棄権をした藍忘機にも敵わないのだ。
    「気遣いは、無用です」
     押し殺したような声が出た。魏無羨の無礼を謝りに来たはずなのに、自分が澤蕪君に無礼を働いてどうする、と胸中で自身に言い聞かせていると、無意識に爪の痕が付くほど握りしめていた手を両手で包み込まれた。突然のことに驚き、江澄は顔を上げると、穏やかに笑う藍曦臣と目があう。藍曦臣は小さく頭を振った。
    「気遣いなどではありません。本心ですよ。闇雲に矢を放ち、外して退場する者、他者の獲物を横から狙おうとする者、他者が狙っているのに気が付かずに矢を放ち結局外して退場する者も多い中、貴方は場をよく見て狙っていました。それに、自分が狙いにくいところにいた亡霊は、江氏の他の師弟に狙わせたりしていました。個人での数では確かに魏公子や私、忘機が上かもしれませんが、家で見たら江氏が多いでしょう。それは貴方の働きによるものだと私は思います」
     藍曦臣の言葉に、江澄は自分の身体から力が抜けていくのが分かった。こんな風に、自分の動き方を褒められたのは初めてだった。江氏の紋の黒花火を上げないために確実に狙って行ったし、合流した師弟に譲ったりもした。それを見られていたのか。
    「え、え、と。その……。ありがとう、ございます」
     耳がなんだか熱い。江澄は視線をさまよわせた後、頭を下げた。そっと藍曦臣に包まれていた手が解放される。
     魏無羨が呼んでいる声が聞こえ、江澄は慌てて顔を上げ、再び拱手をした。笑みとともに拱手が返される。
    「すみません、呼んでいるんで、失礼します」
    「えぇ。また。次の機会に」
     藍曦臣に背を向け、手を振っている魏無羨と師弟たちのもとへ戻りながら、江澄は藍曦臣の言葉を思い出して、口角を小さく上げる。胸の奥底にあった悔しさが少し薄れた気がした。
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    sgm

    DONE去年の交流会でP4P予定してるよーなんて言ってて全然終わってなかったなれそめ曦澄。
    Pixivにも上げてる前半部分です。
    後半は此方:https://poipiku.com/1863633/6085288.html
    読みにくければシブでもどうぞ。
    https://www.pixiv.net/novel/series/7892519
    追憶相相 前編

    「何をぼんやりしていたんだ!」
     じくじくと痛む左腕を抑えながら藍曦臣はまるで他人事かのように自分の胸倉を掴む男の顔を見つめた。
     眉間に深く皺を刻み、元来杏仁型をしているはずの瞳が鋭く尖り藍曦臣をきつく睨みつけてくる。毛を逆立てて怒る様がまるで猫のようだと思ってしまった。
     怒気を隠しもせずあからさまに自分を睨みつけてくる人間は今までにいただろうかと頭の片隅で考える。あの日、あの時、あの場所で、自らの手で命を奪った金光瑶でさえこんなにも怒りをぶつけてくることはなかった。
     胸倉を掴んでいる右手の人差し指にはめられた紫色の指輪が持ち主の怒気に呼応するかのようにパチパチと小さな閃光を走らせる。美しい光に思わず目を奪われていると、舌打ちの音とともに胸倉を乱暴に解放された。勢いに従い二歩ほど下がり、よろよろとそのまま後ろにあった牀榻に腰掛ける。今にも崩れそうな古びた牀榻はギシリと大きな悲鳴を上げた。
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    sgm

    DONE江澄誕としてTwitterに上げていた江澄誕生日おめでとう話
    江澄誕 2021 藍曦臣が蓮花塢の岬に降り立つと蓮花塢周辺は祭りかのように賑わっていた。
     常日頃から活気に溢れ賑やかな場所ではあるのだが、至るところに店が出され山査子飴に飴細工。湯気を出す饅頭に甘豆羹。藍曦臣が食べたことのない物を売っている店もある。一体何の祝い事なのだろうか。今日訪ねると連絡を入れた時、江澄からは特に何も言われていない。忙しくないと良いのだけれどと思いながら周囲の景色を楽しみつつゆっくりと蓮花塢へと歩みを進めた。
     商人の一団が江氏への売り込みのためにか荷台に荷を積んだ馬車を曳いて大門を通っていくのが目に見えた。商人以外にも住民たちだろうか。何やら荷物を手に抱えて大門を通っていく。さらに藍曦臣の横を両手に花や果物を抱えた子どもたちと野菜が入った籠を口に銜えた犬が通りすぎて、やはり大門へと吸い込まれていった。きゃっきゃと随分楽しげな様子だ。駆けていく子どもたちの背を見送りながら彼らに続いてゆっくりと藍曦臣も大門を通った。大門の先、修練場には長蛇の列が出来ていた。先ほどの子どもたちもその列の最後尾に並んでいる。皆が皆、手に何かを抱えていた。列の先には江澄の姿が見える。江澄に手にしていたものを渡し一言二言会話をしてその場を立ち去るようだった。江澄は受け取った物を後ろに控えた門弟に渡し、門弟の隣に立っている主管は何やら帳簿を付けていた。
    5198

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    PROGRESS恋綴3-5(旧続々長編曦澄)
    月はまだ出ない夜
     一度、二度、三度と、触れ合うたびに口付けは深くなった。
     江澄は藍曦臣の衣の背を握りしめた。
     差し込まれた舌に、自分の舌をからませる。
     いつも翻弄されてばかりだが、今日はそれでは足りない。自然に体が動いていた。
     藍曦臣の腕に力がこもる。
     口を吸いあいながら、江澄は押されるままに後退った。
     とん、と背中に壁が触れた。そういえばここは戸口であった。
    「んんっ」
     気を削ぐな、とでも言うように舌を吸われた。
     全身で壁に押し付けられて動けない。
    「ら、藍渙」
    「江澄、あなたに触れたい」
     藍曦臣は返事を待たずに江澄の耳に唇をつけた。耳殻の溝にそって舌が這う。
     江澄が身をすくませても、衣を引っ張っても、彼はやめようとはしない。
     そのうちに舌は首筋を下りて、鎖骨に至る。
     江澄は「待ってくれ」の一言が言えずに歯を食いしばった。
     止めれば止まってくれるだろう。しかし、二度目だ。落胆させるに決まっている。しかし、止めなければ胸を開かれる。そうしたら傷が明らかになる。
     選べなかった。どちらにしても悪い結果にしかならない。
     ところが、藍曦臣は喉元に顔をうめたまま、そこで止まった。
    1437

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    PROGRESS長編曦澄17
    兄上、頑丈(いったん終わり)
     江澄は目を剥いた。
     視線の先には牀榻に身を起こす、藍曦臣がいた。彼は背中を強打し、一昼夜寝たきりだったのに。
    「何をしている!」
     江澄は鋭い声を飛ばした。ずかずかと房室に入り、傍の小円卓に水差しを置いた。
    「晩吟……」
    「あなたは怪我人なんだぞ、勝手に動くな」
     かくいう江澄もまだ左手を吊ったままだ。負傷した者は他にもいたが、大怪我を負ったのは藍曦臣と江澄だけである。
     魏無羨と藍忘機は、二人を宿の二階から動かさないことを決めた。各世家の総意でもある。
     今も、江澄がただ水を取りに行っただけで、早く戻れと追い立てられた。
    「とりあえず、水を」
     藍曦臣の手が江澄の腕をつかんだ。なにごとかと振り返ると、藍曦臣は涙を浮かべていた。
    「ど、どうした」
    「怪我はありませんでしたか」
    「見ての通りだ。もう左腕も痛みはない」
     江澄は呆れた。どう見ても藍曦臣のほうがひどい怪我だというのに、真っ先に尋ねることがそれか。
    「よかった、あなたをお守りできて」
     藍曦臣は目を細めた。その拍子に目尻から涙が流れ落ちる。
     江澄は眉間にしわを寄せた。
    「おかげさまで、俺は無事だったが。しかし、あなたがそ 1337

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    PROGRESS恋綴3-2(旧続々長編曦澄)
    転んでもただでは起きない兄上
     その日は各々の牀榻で休んだ。
     締め切った帳子の向こう、衝立のさらに向こう側で藍曦臣は眠っている。
     暗闇の中で江澄は何度も寝返りを打った。
     いつかの夜も、藍曦臣が隣にいてくれればいいのに、と思った。せっかく同じ部屋に泊まっているのに、今晩も同じことを思う。
     けれど彼を拒否した身で、一緒に寝てくれと願うことはできなかった。
     もう、一時は経っただろうか。
     藍曦臣は眠っただろうか。
     江澄はそろりと帳子を引いた。
    「藍渙」
     小声で呼ぶが返事はない。この分なら大丈夫そうだ。
     牀榻を抜け出して、衝立を越え、藍曦臣の休んでいる牀榻の前に立つ。さすがに帳子を開けることはできずに、その場に座り込む。
     行儀は悪いが誰かが見ているわけではない。
     牀榻の支柱に頭を預けて耳をすませば、藍曦臣の気配を感じ取れた。
     明日別れれば、清談会が終わるまで会うことは叶わないだろう。藍宗主は多忙を極めるだろうし、そこまでとはいかずとも江宗主としての自分も、常よりは忙しくなる。
     江澄は己の肩を両手で抱きしめた。
     夏の夜だ。寒いわけではない。
     藍渙、と声を出さずに呼ぶ。抱きしめられた感触を思い出す。 3050

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