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    somakusanao

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    おつかれ梵天九井くん×めんどうみのいいバイク屋のいぬぴ

    #ココイヌ
    cocoInu

    えっちなメイドさんのイヌピーじゃないといやだ! 日本最大反社組織「梵天」幹部の九井一と言えば、ヤクザも黙る冷血漢であるが。
     
    「やだやだーーー! イヌピーがえっちなメイドさんになってくれないどやだーーー!」
       
     家に帰れば非常に厄介な恋人であった。


     乾はリビングに大の字に転がって暴れている九井を見下ろした。このいかれっぷりはひさしぶりである。一億溶かしたか、それともマイキーが行方不明になったか、三途か灰谷兄弟がなにかやらかしたのか。いずれにせよ厄介なことがおこり、九井の疲労は限界値を越えたのだろう。
     可哀そうに九井はぐすんぐすんと泣きわめいている。大変だったのは分かるし、同情もする。こうなった九井が復活するには時間がかかる。はっきり言えば子供返りした九井は非常に面倒くさい。下手を打つと何日も愚図られる。腹をくくってメイドとやらになったほうが話は早いというのが乾の出した結論だった。

    「わかった。いまからドンキに行って、メイド服を買って来ればいいんだな?」
    「メイド服はある」
    「ある?」
    「オレの部屋の鍵付きクローゼットの中」

     なるほど、あそこか。前にも九井が「イヌピーの体操服ブルマが見られないと死ぬ」と言い出したことがあった。あのときもクローゼットのコレクションにドン引きしたものだ。メイド服はなかったように思ったが、コレクションが増えたのか。
     ちなみに体操服はまるで誂えたように乾ぴったりのサイズであったので、おそらく今回のメイド服もぴったりであろう。
     気が乘らないが乾がクローゼットを開けた。
     えげつのない衣装が並んでいるのを全力で無視して、メイド服らしきものを選び出す。くるぶし丈まであるクラシックタイプのワンピースタイプだった。黒龍の特攻服にちょっと似てる。ボタンが多かったので着替えにだいぶもたついたが、ようやくリビングに戻ると、いまだに九井は床に転がってすんすんと泣いていた。

    「えーと、ご、ご主人様? 起きてください」
    「えっちなおねえさんな感じで『ココ』って言ってくれなきゃやだ」
    「くそてめぇおぼえてろよ」
    「なにか言った?」
    「……ココ、こんなところで寝てたら体が痛くなるだろ。おっきできるか?」
    「……うん」
     
     正気の乾は鳥肌ものだが、一時間ほどリビングで転がっていた九井がすんなりと起きてくれたので、これが正解なのだろう。

    「ココ、つかれた? ベッドに行ってぎゅってする?」
    「うん。する」

     両手を広げる九井は仕草こそ子供っぽいが、身体は成人男性である。抱えて歩くにはしょうじき重いが、ここはガッツである。ベッドに辿り着くころにはふうふうと息が上がっていたが、リビングで大の字になって泣き喚いているよりはいい。
     九井をベッドに寝かせて、寄り添うように体を滑り込ませる。よしよしと頭を撫でた。

    「ココは仕事をがんばっていて、えらいぞ。世界で一番えらい」
    「あとは?」
    「かっこいい。やさしい。たよりになる」

     九井は乾の胸に顔をうずめる。こんなことでしかストレス発散できないとは、よっぽど仕事が辛いのだろう。

    「ココ、えっちなメイドさんっていうのがよくわかんなかったんだけど、とりあえずガーターベルトってやつをつけてみた。スカートをめくってやってもいいぞ」
    「おれだけ?」
    「うん。ココだけ」

     九井がやっと笑った。やれやれ。これで乾は一仕事終えたようなものだ。あとはまぁ、九井が復活するまでつきあってやればいいだけだ。
     
    「イヌピー、パンツはいてないじゃん! えっちじゃん!」

     おまえが元気になってくれてよかったよ。


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    mocha

    DONEお題「再会」です。
    梵天ココ×バイク屋イヌピー。

    ところで5/3スパコミ参加します。東4 か48bです。
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    再会とプロポーズ 九井一が逮捕されたことを聞いたのは、昔の仲間づてだった。
     長らく会っていなかった。龍宮寺堅とバイク屋を始めてからは、特に、そういった関係の人間と関わることもなくなっていた。ただ、九井の動向だけはどういうわけかときどき青宗の耳に入った。
     さすがにこまごまとした情報までは入ってこなかったが、ガサ入れが入ってしばらく身を隠しているらしいとか、派手な女を連れていたとか、そういう比較的どうでもいい近況はよく聞こえていた。
     だからどう、ということはない。周りが気を遣ってくれているのであろうことは分かっていたが、九井に会うつもりはなかった。
     子供の頃には、いつか大人になれば姉の面影も消えるだろうと思っていた自分の顔立ちだったが、まったくそんなことはなかった。二十も半ばを過ぎてすっかり大人になったというのに、髪を伸ばせば女のようにも見えるし、短くすれば赤音によく似た顔立ちがはっきりとわかる。そんな自分が九井の前に現れることは、古い傷をえぐることだ。わかっていたから、ずっと離れたままでいた。
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