私に夢中になって 乱凪砂 この時間はいつもソファに座って一緒にテレビを観ている。凪砂くんは飽きたのか私の手に指を絡めたり、私の肩に頭を乗せてきたりする。
「くすぐったいよ〜」
「ふふ」
楽しそうに微笑んで私の言葉を無視して続ける。
「凪砂くん、テレビ見えないよ」
「……私よりテレビがいいの?」
彼が少しムッとする。
「違うよ。もうテレビ飽きちゃったの?」
「……今は君の気分」
抱きしめる彼に、私も何だか嬉しくて抱きしめ返す。しばらく幸せに浸ってると、彼が力を緩めて突然真剣な声をする。
「……ねえ。顔、上げて」
何も考えずに見上げたが、さっきとは打って変わって真剣な目をしている彼に心臓が激しく音を立てる。何か言葉を発しようとするがあっけなく遮られてしまう。彼の唇によって。思わず離れようとしても背中に腕をまわされてるため逃げられない。
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