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    狭山くん

    @sunny_sayama

    腐海出身一次創作国雑食県現代日常郡死ネタ村カタルシス地区在住で年下攻の星に生まれたタイプの人間。だいたい何でも美味しく食べる文字書きです。

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    狭山くん

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    2022-07-22/四六時中一緒にいるからメッセージのやり取りが新鮮なのっていいよね。SETIの話書きたかったけど上手くいかなかった結果。

    ##空閑汐BL
    ##静かな海
    ##デイリー
    #文披31題
    wenPhi31Questions
    #BL

    文披31題・夏の空閑汐♂祭:Day22 大学部に併設された図書館にひっそりと存在する閲覧室。自習室とは違い1人掛けのソファと申し訳程度のようなテーブルが並べられたその部屋は、いつ来ても人影も疎で穴場のような場所だった。
     汐見以外の誰も居ないその部屋を独り占めしながら、手元にあるタブレットをするりと撫でる。そこに表示されているのは一世紀半前、まだ人類が地球の周りを回る事しかしていなかった時代のエッセイを電子化したもので。オールドシャトル計画に参加した日本人の配偶者が記した軽快な筆致のエッセイは、とうの昔に紙の本としては絶版になっていて――古典ライブラリとして無料公開されている中から汐見が見つけ出したものだった。
     自身の携帯端末にダウンロードしても良いのだが、シンプルなものを好む汐見の持つ端末は画面も小さいもので。メールのやり取り程度であれば苦ではない程度の大きさではあるが、長文を読むのであればタブレットの方が読みやすい。
     久々に一人で過ごす昼下がりの時間に終わりを告げるのは、汐見の端末が鳴らす低いバイブレーションだった。
    『終わったよ、今どこ?』
     小さな画面に表示されるのは、空閑からのメッセージ。久々に使われるメッセージアプリを操作しながら、現在地を返信してやる。
    『大学部図書館閲覧室』
    『閲覧室? 館内でいいの?』
    『いい、図書館前で待ち合わせるぞ』
    『わかった!』
     大学部の図書館には来たことがなかったのだろう空閑からのメッセージに、場所を教える事を面倒臭がった汐見は図書館前での待ち合わせを指定して。タブレットの電源を落としボディバッグへと収めた汐見は深く座り込んでいた一人掛けのソファから腰を上げたのだ。
    「アマネ! お待たせ!」
    「おう。ていうかヒロミ、卒業したのにまだ寮長会議出てるのな」
    「俺の時も思ったけど、寮長はパイロットコースから選ばない方がいいと思うんだよね……」
     アスリートもかくやといったフォームで汐見の前へ姿を現した空閑は、最後の一歩を跳ねるように地面を蹴って汐見の目の前にピタリと着地する。息ひとつ乱れない空閑を横目に肩を竦めた汐見の言葉に、空閑はため息混じりで言葉を溢す。
    「あぁ、今年の寮長は東間だったか。今頃カリフォルニアの青い空を飛んでるだろうな」
    「時差考えたら夜中でしょ。まぁそういう訳で、「前寮長が居るから任せちゃえ」って話にいつの間にかなってたんだよねぇ」
    「自治権が強いのも考えもんだな」
    「ほんとそれ」
     ほとほと疲れたと言うようにただでさえ長身の体をぐいと伸ばした空閑は、隣を歩く汐見へと視線を向け流のだ。
    「お昼済ませた? まだなら宇宙港行こ、バイク二台借りといてあるんだ」
    「お、良いじゃん。そうと決まればさっさと行こうぜ」
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    狭山くん

    TRAINING2022-07-01/文披31題夏の空閑汐♂祭始まるよ!!!!!そう言えば学祭の話って書いてなかったな〜って思ったので初夏は学祭の季節だろ!?と空閑汐♂には踊って頂きました。学祭で踊るタイプの男性アイドルユニット、うっかり某SとAを思い浮かべてしまった。地元じゃ負け知らずだぜ、アミーゴ。
    文披31題・夏の空閑汐♂祭:Day01 太陽は山の奥へと隠れ、空は紺青と朱による美しいグラデーションを見せていた。校舎の屋上から遠くに揺れる海原を見つめていた汐見は、屋上に巡らされた柵に凭れて大きなため息を一つ吐き出す。
    「おつかれ」
    「お前もな」
     からからと笑いながら疲れを滲ませた息を吐き出す汐見へと労いの言葉を掛けた空閑に、汐見は小さく笑い言葉を返す。卒業証書を受け取ってから数ヶ月、季節は夏へと差し掛かる頃で。互いに高校指定のジャージを纏う彼らは、次の進学先への渡航までの間をこの場所で過ごす事を決めていた。
     実家に帰るよりも、渡航までの約半年をこの場所で知識を深めた方が有意義だという結論に達したのは何も彼らだけではない。彼らよりも前に卒業していった先達であったり、同学年で本校への進学を決めている者の一部も同じような選択をしており――学校もまた、それを受け入れる体制が整えられていた。
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    kumo72783924

    PROGRESS魁のパート。ビール飲んでる。
    流心〜ドイツ編〜魁1
     十一月のドイツは想像以上に寒く、訝しがりながら持ってきたダウンが大活躍だった。見るもの全てが痛いほど新鮮に映る中、隣で穏やかに微笑む恋人が旅の緊張を解してくれる。距離も時差も超えて、こうして二人並んで歩くだけでも、思い切ってここまで来て良かったと思うには十分だった。
     ターミナル駅からほど近いその店は、入口の様子からは想像出来ないほどに中は広く、何人もの客が酒とおしゃべりに興じていた。柱や梁は艶のあるダークブラウンで、木製のテーブルや椅子が落ち着いた雰囲気を醸し出している。ぐるりと店内を見渡したときに目を引くのは、なんと言っても大きなビール樽だろう。その樽から直接ビールが注がれたグラスをびっしりと乗せて、店員がお盆を手に店内を動き回っている。その様子に目を奪われていると、店員の一人から“ハロー”と声をかけられた。こちらもひとまず“ハロー”と返すと、何か質問を投げかけられたようだったが、生憎俺は返す言葉を持ち合わせていない。助けを求める間もなく楓吾が最初の注文を済ませ、席に着くなりビールが二つ運ばれてくると、ドイツに来て初めての食事が始まろうとしていた。ふと向かいに目をやれば、赤銅色に染まるグラスの向こうで楓吾が再び店員と何やら話している。ガヤガヤと騒がしい店内で異国の言葉を話す恋人は、まるで別人のようだ。ひょっとして、話す言語によって人格も多少は変わるのだろうか。俺の知らない楓吾の一面があるのだろうか……そんなことを考えながら二人のやり取りをぼんやり眺めていると、楓吾がこちらに向き直って言った。
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