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    アサツキ

    絵を描いたり文字を描いたりゲームしたり凹んだり。
    基本しょうもないらくがきしか置きません。
    創作のキャラ一覧:https://www.uchinokomato.me/user/list/11166
    ついった:@runa1134

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    POIPOI 91

    アサツキ

    PAST去年のNovelber 雨予報(11/2手紙)(2020/10/26)今日の天気は晴れ、時々、矢の雨です。仲間が咄嗟についた冗談じみた予言は、どうやら当たってしまったらしい。
     朝飯を食べる前に1回。外に買い出しを出る前に1回。外に出てから少なくとも3回以上、雨の襲撃に見舞われた。
     雨を降らしてくる犯人は分かっている。仲間の1人で、寡黙な弓使いの女性だ。密林に住むアマゾネス然とした格好の彼女とはまだパーティーを組んだばかりだ。
     そういえば、正確無比な弓矢の腕前は今身を持って体感しているが、実のところ彼女の素性をよくは知らない。
    「何故逃げる?」
     矢から逃れて、壁を背に昼飯のサンドイッチを嗜んでいると、彼女からそんな一言が飛んできた。当たり前だ、攻撃されているんだから。今の気持ちを率直に答えると、壁向こうから出てきた彼女は、さっきまで放っていた矢を見せてきた。矢の細長いシャフト部分に、白い紙が括り付けられている。
    「仲間になってくれてありがとう」
     紙の中身はなんとも拙い一文。つまり、さっきまでこの言葉を伝えたいが為に……。すっかり拍子抜けした俺は、どういたしましてと返して、その場で床に崩れ落ちた。
     いやいや、不器用にも程があるだろ。
     どうやら彼 536

    アサツキ

    PAST去年書いたNovelber 花のある宿屋(11/1:窓辺)(2020/10/26)私の家、宿屋である建物のバルコニーには、ゼラニウムを植えた木箱が置いてある。2階に上がってすぐ見える小窓を開けば、箱1つ分の空間に赤い花弁の花々が所狭しと咲いていた。彼女たちに毎日水をやるのが、私の日課だ。
    「よお」
     ぶっきらぼうに声を掛けられて、石畳の地面を見下ろす。声の主である男は真新しいレザーアーマーを着込み、荷袋を背に抱えていた。
     見たところ、まだ新米の冒険者のようだ。
    「それが歓迎の印なのかい」
     歓迎の印。そう言われてくすりと笑いながら、ええそうよと答えた。
    「なあ、毎日水をやってくれよ。その花を頼りに、必ず帰ってくるから」
     いいわよ、約束ね。
     快く了承すれば、冒険者は意気揚々と外に繰り出して行った。どうして彼はそんなことを言ったのかしらと疑問に思いながらも、私は花たちに水を与えた。

     どうして私も、快く答えてしまったのかしら。
     
     あれから何年経ったことだろう。私は約束通りに、毎日水をやっている。暖かい日差しを受け、ゼラニウムの花は今日も元気そうな姿を見せている。
     目の前の大通りは賑わいに満ちていた。今日は私たちの国を救った英雄を祝う、凱旋パレードが行われる 618