ルーク・ウィリアムズは二重人格者である。 ルーク・ウィリアムズは二重人格である。
俺がそのことを知ったのはあろうことにベッドの上だった。俺とドギーの名誉のためにも最初に言っておく。同意だった。完全なる同意だった。ルーク自身、拒否する姿勢は皆無で、何なら直前まで俺の首筋に口付けして甘い顔をしていた。
しかしながらだ。俺がどれだけベッドの上でも、今からこの世で最も無防備になろうという瞬間でも、肌がヒリつく感覚を覚えれば無意識に飛び退いてしまう。それがハスマリーで育った俺という存在な訳だ。常に爆撃と飢餓と貧困と騒乱の中に身を置いていた結果だ。
それはそれとして、ルークである。その時の俺の本能が告げていた。『違う』と。いや、何が違うかと聞かれると答えにくい。だがしかし、それはルーク・ウィリアムズであって、ルーク・ウィリアムズではなかった。
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