渋谷デートするゆじゅ供養渋谷、センター街。
雑踏、喧騒、人。様々な情報は嵐のように交差し、消えていく。
時折、道路を横切るヴンとかき鳴らされる豪快なエンジン音に、壁際に立つ虎杖悠仁は肩をぴくりと跳ねさせた。
「音デカすぎだろ……」
少年が思わず零した愚痴は、すぐに都会の喧騒へと飲み込まれた。
(やっぱめちゃくちゃ人いるよなあ、渋谷。)
虎杖は今度こそ大きくため息をつく。
待ち人はちゃんと自分を見つけられるのだろうか、と。
穏やかな田舎から出てきた虎杖はこうした人の多い土地は未だに不慣れである。
どこを歩いてもぶつかりそうになる上に、道も複雑で、位置情報アプリがなければ一瞬で迷子になると断言できた。
待ち合わせ場所について数分、だんだんと華やかな土地に気圧されてきた頃、目の前に人影が2つ近づいてきたことに気がつく。
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