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    shi_na_17

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    5/4スパコミ半ロナ無配ペーパー再掲です。

    #半ロナ
    half-lona
    #無配ペーパー
    non-distributedPaper

    朝まで、きみと「ん……」
     隣の気配が動いたような気がして、意識が浮上する。やけに意識がぼやぼやとしている気がするのはさっきまで事に及んでいたからかなのか、それとも純粋に眠いからかなのか。
    「すまん、起こしたか」
     重たい瞼を持ち上げると、身体を起こした半田が金の瞳でこっちを見下ろしている。目がしぱしぱして数回瞬きをしていたら、半田の手のひらが俺の頭をふわりと撫でた。
     普段のあの俺に嫌がらせするのが趣味、みたいな傍若無人を絵に描いたみたいな半田と違って、こうして恋人として過ごす半田は、やけに優しい。いや、恋人に対してまでもああいう態度しか取れなくてベッドでもセロリ振り回す奴だったらドン引きするけど。
    「ん〜…………どこいくの」
     だからこそ、俺もこいつに甘えていいんだな、って思う。いつもなら、こんなこと言いやしねぇけど、今ならきっと良いんだろう。友達としてのこいつじゃなくて、恋人としてのこいつには、そう言うことを言っても良い……ような、気がするから。
     俺のそんな気持ちが通じてるのか、通じていないのか。そのあたりはちょっとよくわからんけど、半田はふわりと表情を和らげて、それから俺の頬をするりと撫でる。こういう事されると、自分で甘えといてなんだけど、なんだか胸の辺りがこそばゆいような気がしてくる。大切にされてる、ような気がして。
    「シャワーを浴びてくる。お前は寝ていろ。無茶をさせたからな、疲れているだろう」
     そう言われて、なんとなくムッとする。まるで半田が一方的に無茶を強いたような言い方するけど、俺だってお前とデートすんのすげぇ楽しみにしてたし、セッ…………だって、気持ち良くて、幸せで、だから。
    「シャワー、後にしろよ」
     俺が疲れてんならお前も疲れてんだよ、多分。いや知らねぇけど。そりゃ、挿れてる側と挿れられてる側とは身体にかかる負荷が違う、って事はわかるし、その点で半田が気を使ってくれてるのも、わかる。だけど、何となく今はそれが面白くない。なんだろ、こういうの、なんて言えば良いんだろう。
     こうやって半田と付き合うようになって、言葉にできない感情がたくさんある事に気が付いた。もしかしたら、本当はもっとありふれて当たり前に口にするような感情なのかもしれないけれど。今の気持ちだって、悔しいとかなんとか、妥協して似たような名前をつければそれで解決するのかもしれない。それをしたくない、だけなのかも。それはまぁ、今はどうでも良いんだけど。
    「しかし、今の俺は汗臭いが」
    「俺も汗臭いから良い」
    「お前は俺がちゃんと拭いたぞ」
    「そういう話じゃねぇ」
     そりゃ俺がキャパオーバーの快感とか何とかでぼやぼやとしてる間に処理してくれんのはありがたいし、その間に寝ちまう事も多いから助かるけど!! そうじゃなくて!!
    「違くて……その…………あれ」
     あれってどれだ。自分で自分にツッコミを入れるけど、それでは何の解決にもなんねぇし、俺も大概だけどこいつもこいつでその辺鈍いからちゃんと言わないと伝んねぇんだけどちゃんと言うにはちょっとだけ、勇気が足んなくて。もごもごと口の中でなんやかんやと口にしては言い直して、を繰り返す事数回。
    「あの…………お前がいないと、寒い、から」
     朝までここで一緒に寝てて。
     漸く喉から搾り出した初夏に似つかわしくない言い訳に、半田は数秒黙り込んで、それから。
    「…………仕方ない。明日の朝、起きたら一緒に入るぞ」
     もう一回隣に潜り込んで来て、その上その胸に抱き込まれるようにぎゅうっと抱きしめられて、顔がやけに熱くなる。恥ずい、けど、なんだろ。これ、きっと、あれだ。
    「おう…………」
     俺、今、多分、すげぇ幸せだ。
     そう思ったら、胸がぎゅうっとなって、なんだか泣きたい気持ちになった。それすらも見透かされいていたのか、俺がわかりやすすぎるだけなのか。
    「泣いてるのか?」
     なんて聞かれて目尻を擦られたのが更に恥ずくて、仕方なく剣を振るうだけの筋肉のある胸に、ごしごしと顔を擦り付けた。それを見た半田は、俺が眠るまで、やけに楽しげに笑ってた、気がする。半田の笑顔が好きだから、その表情が眠くてよくわからなかったのが惜しいと思ったけど、それよりも夜の間、朝まで半田が一緒に眠ってくれるっていうのが嬉しくて、幸せで、明日の朝が楽しみで仕方がなかった。
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