会話に失敗するロド「お暇?」
彼はそう声をかけながら、隣へ腰を下ろす。コーヒーとミルクの香りがする。
「そのワードやめろ、あの人がすっ飛んでくるぞ」
「今は困るなぁ」
笑いながら、肩がぶつかるほど近くへ寄ってくる。機嫌の良さそうな声だ。今はそういう気分なのか。
ロナルド君の方へ顔を向ける。その手には二つのマグカップ。黒い方を私に差し出してきた。湯気の立つミルクが入っている。
ゴリラとバナナの描いてるカップは彼のもの。
「……ありがと」
礼もそこそこに、すぐに前を向き直した。今ここに、マナーがなってないと口うるさくいう人間はいない。私たち二人だけ。運悪く、ジョンはお出かけ中だ。
目を合わせられなかった。そうやって優しくされると困る。
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