人曦×人魚澄⑤ 魏無羨から話を聞くところ、彼や江澄が怪我をしたのは邪崇のせいらしい。
ある日突然現れたその邪崇は嵐を起こし、暴れ始めたという。江澄の両親をはじめとする人魚達の犠牲によって今は大人しくしているらしいが、その際多くの人魚が犠牲となった。江澄、魏無羨、そしてその姉江厭離は負傷し、魏無羨と江厭離は邪崇の起こした水流によって流され離れ離れとなった。蓮花湖に残った江澄が呪いを受けているのはおそらく犠牲となった人魚を取り込んだ邪崇が呪を放っているからではないかという。
呪い自体は大したものではないが、傷の再生の妨げと部分的に記憶を奪うものらしい。それも、あと数日程で効果が切れるのでほっといても大丈夫だという。ただ、呪いの元凶である邪崇が蓮花湖にいるため姑蘇に来たことで距離を置いたのは正解だという。
江澄はふーんと聞きながら、奪われた記憶のすり合わせをしたいと言った。
「…さっきも話したから大まかにいうけど蓮花湖に邪崇が現れた。そいつと同時に起こった嵐によって傷を負った俺とお前と師姉は流されたんだ」
魏無羨に現状を聞いた江澄は、
「じゃあ当面は姉上を探し、俺の怪我を癒しつつその邪崇を討伐するということでいいんだな?」
と返す。それに魏無羨は頷き、そゆこと。と言う。
「じゃ、そういうことだから俺が藍湛と師姉を探しに行くから江澄はゆっくり療養してろよ!藍湛行くぞ!!」
「わかった。兄上、行ってまいります」
「気をつけるんだよ」
「え、あっ、ちょっ、ま、まて魏無羨!!」
慌てて手を伸ばすも魏無羨は泳ぎさってしまったし、藍忘機もそれを追って御剣の術とやらを使って行ってしまったのでどうしようもなかった。
「あ…その、これからよろしく頼む藍曦臣」
伸ばした手を戻し、少し気まずそうにしている江澄に安心させるように微笑む。
「ええ、こちらこそよろしくお願い致します江澄」