戻る 第61回お題【子ども】
肩を揺らす。前に抱えたややこをあやす、母の背中。
何日ぶりかの自宅。雲取山ではない、竈門炭治郎の新しい帰る家——日柱邸。
妹も人間に戻った。あとは鬼を総て滅するのみ。鬼の始祖を、仇を、倒すのみ。
それがどうして、こんなにも遠くに来たのだろうと思う。
血をたくさん浴びて、鉄の匂いに包まれて、自分よりもずうっと年下の若い隊士を何人も見送って、それでも鬼はいなくならない。
心がすり減って、悲しみと怒りが憎しみに変わって募る。
それがよくない兆候であることに気づいていたけれど、自分が足を止めればまた人が死ぬ。
そんなふうに、がむしゃらに戦っていたらいつの間にか、半年経っていたらしい。
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