なんだこれ。チセは目を覚ました。時計を見ると午後六時だった。随分と長く眠っていたらしい
体がだるい、眠れば寝るほどお腹が空いてしまう。
「お腹空いた……」と呟きながら布団から出てキッチンへ向かう。冷蔵庫を開けるが何も無い、牛乳はあるがそれだけだ。チセはため息をつくと出かける準備を始めた。特にどこに行くというあてがあるわけでもないけど、家に居てもすることが無いし一人でいるより誰かと一緒に居た方が気が紛れると思ったからだ。
適当に着替えて外に出ると冷たい空気が肌を刺した、もう秋も終わりに近づき冬の気配が近づいてきたせいか、風が冷たく感じる。チセはコートの襟を寄せて歩き出した。
どこに行く当てもなく歩いている、お腹は空いてる、でも人間の食べ物は食べたいと思わない、じゃあ何が食べたいかと考えると、自己嫌悪が襲ってくる。
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