手おい、といってもこいつは手を退けない。だからといってそれ以上何かをしてくるでもなさそうで、じっと俺の手を掴んでそこを見つめている。普段ケラケラとしている奴がこうも黙っているとなんだか怖い。流石に数分が過ぎて、かなり精神を削り取られている気がする。何をしでかすか分からないので頭がいっぱいだった。ついにはこっちも我慢できなくなって、また同じようにおい、と声をかけようとしたその時、麦わら屋の体は傾きそのまま胸の中にぽすりと収まってしまった。太陽で天日干しされたみたいな暖かさをもつそいつに、俺は胸の高鳴りが収まりそうになく、胸の中で俺の片手を掴みながら昼寝をしだしたそいつから目を逸らし、俺は風景の中に微睡んでいった。