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    #鍾甘
    zhongGan

    手鞠ある日、玉京台で先生と甘雨ちゃんが来年の行事について相談をしているとご近所の屋敷で何か騒がしく人が集まっていることに気づく。
    客たちの身形や様子から祝い事だと察しは付くので気がかりではなかったものの、ちょっとだけ様子を見に行くことに
    人だかりで様子が見えず、首を傾げていると何だか頭上の方からいい匂いがして思わず手を伸ばす甘雨。
    察して、先生が慎重さで悠々と飛んできた"それ"を受け止めると可愛らしい手鞠。ただ、霓裳花の布で縫われ生花もあしらわれた子供が遊ぶ物とは明らかに違うもの。
    「清心も縫い込まれているな」と、先生は笑って手鞠を甘雨に手渡してくれるけれど、何故か周囲から歓声が聞こえてくる。

    ──その日、玉京台では婚儀の申請があったと甘雨が思い出す。そして花の"手鞠"は璃月の伝統行事で、花嫁の手から賓客へ投げられ、受け取った者は幸運に恵まれるという。商人ならば金運、貧しい人ならば富、未婚の男女なら良縁に結ばれる。(※璃月風土記/第1巻/手鞠)

    未婚の男性から女性へ手渡されたので一際盛り上がってしまったわけだけれど、あわあわする甘雨の横で涼しい顔をしている先生。
    彼がその伝統を知らないはずもないのだが。
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    oz_on_e

    MEMO #鍾甘ワンドロ に先日投稿したものです。
    800年程度前、ちょいちょい璃月で宴会をしていたという初代七神エピソードより。
    明らかになっていない時系列も多いので捏造を含みます。いずれはもう少し長い話として書き直したい。
    「──来年、ですか? おそれながら四回目の宴では皆様より、百年前には通達がほしいと仰られておりました。あまりに急なのでは……」
    「あの時は忘れていたが、もうじき絶雲の千年桃花が咲く時期になる。これを逃す手はあるまい」
     厳密に言えば岩王帝君が『忘れる』ことはそれこそ摩耗でもなければありえないが、単純に一時的な失念をしていることはあるらしい。
     よい宴になるだろう、と、すでに楽しげな顔で酒の手配についてなどを語りはじめた主君を前に、甘雨は思いとどまらせることを諦めた。──またいくつかの国からは文句が届くだろうが、こうなっては早めに日取りを決めて各国に知らせを出すしかないだろう。

     ──時は、璃月港に不思議な旅人が訪れるより千年足らずを遡った、岩王帝君が健在であった時代。魔神戦争が終結し、国の姿も現在の形をあらわしはじめた頃。初代・俗世の七執政──七柱の神々は璃月の地に時折集っては語らう慣習が出来ていた。
    1055

    oz_on_e

    MEMO浮世の錠フレーバーに関連する月海亭秘書さんの半回想モノローグ。恋にもなりきれない思慕。セリフらしいセリフもありません。雰囲気で読んでください。※以前にTwitter連投したものの微調整になります。
    独白かつてより、その姿は余りに目にする機会が多かったものだから──天神像ですら"其れ"を模すものとなっている。石錠を眺め、諦めることなく解析を試みようとするあの方の肖像。”忘れていいのだと言われたのだがな”と、あの方は昔呟くと、自嘲の様に笑ったことを覚えている。
    私の記憶の始まりでは、まだその姿を見ることはなく……あの方は敵だらけの大陸で弱く脆い人々の守護者として、恐るべき力を震い続けた。それこそがあの時代に求められた神の強さだったけれど、山岳の奥で静かに暮らしていた幼い私は畏怖を抱いてしまい、訪れる彼に自ら声を掛けることなど、しばらく出来なかった。
    留雲真君の足もとに隠れ、震えている私を困った顔で見下ろすあの方の姿を忘れられない。──今のように、何気ない言葉を口に微笑み頭を撫でてくれるような所作はあの頃には身に付けておられなかった。勿論、終わりの見えない戦いに身を投じ槍を握るあの時期に、穏やかさを得る余裕などなかったはず。
    982

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    oz_on_e

    MEMO #鍾甘ワンドロ に先日投稿したものです。
    800年程度前、ちょいちょい璃月で宴会をしていたという初代七神エピソードより。
    明らかになっていない時系列も多いので捏造を含みます。いずれはもう少し長い話として書き直したい。
    「──来年、ですか? おそれながら四回目の宴では皆様より、百年前には通達がほしいと仰られておりました。あまりに急なのでは……」
    「あの時は忘れていたが、もうじき絶雲の千年桃花が咲く時期になる。これを逃す手はあるまい」
     厳密に言えば岩王帝君が『忘れる』ことはそれこそ摩耗でもなければありえないが、単純に一時的な失念をしていることはあるらしい。
     よい宴になるだろう、と、すでに楽しげな顔で酒の手配についてなどを語りはじめた主君を前に、甘雨は思いとどまらせることを諦めた。──またいくつかの国からは文句が届くだろうが、こうなっては早めに日取りを決めて各国に知らせを出すしかないだろう。

     ──時は、璃月港に不思議な旅人が訪れるより千年足らずを遡った、岩王帝君が健在であった時代。魔神戦争が終結し、国の姿も現在の形をあらわしはじめた頃。初代・俗世の七執政──七柱の神々は璃月の地に時折集っては語らう慣習が出来ていた。
    1055

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    MEMO浮世の錠フレーバーに関連する月海亭秘書さんの半回想モノローグ。恋にもなりきれない思慕。セリフらしいセリフもありません。雰囲気で読んでください。※以前にTwitter連投したものの微調整になります。
    独白かつてより、その姿は余りに目にする機会が多かったものだから──天神像ですら"其れ"を模すものとなっている。石錠を眺め、諦めることなく解析を試みようとするあの方の肖像。”忘れていいのだと言われたのだがな”と、あの方は昔呟くと、自嘲の様に笑ったことを覚えている。
    私の記憶の始まりでは、まだその姿を見ることはなく……あの方は敵だらけの大陸で弱く脆い人々の守護者として、恐るべき力を震い続けた。それこそがあの時代に求められた神の強さだったけれど、山岳の奥で静かに暮らしていた幼い私は畏怖を抱いてしまい、訪れる彼に自ら声を掛けることなど、しばらく出来なかった。
    留雲真君の足もとに隠れ、震えている私を困った顔で見下ろすあの方の姿を忘れられない。──今のように、何気ない言葉を口に微笑み頭を撫でてくれるような所作はあの頃には身に付けておられなかった。勿論、終わりの見えない戦いに身を投じ槍を握るあの時期に、穏やかさを得る余裕などなかったはず。
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