「うお!?」
「あれ」
「ミスラか?」
平和で静かな朝の中庭に、突如空間の扉が現れる。姿は見えないが、こんな事が出来るのはミスラくらいだ。扉の方へと腕を伸ばすと、パチンと手が触れる感触があった。目の前に、不思議そうに首を傾げるミスラが現れた。つられて俺も首を傾げる。
「珍しいな、ミスラも鍛錬してくか?」
「するわけないでしょう。それより、あなただけですか。ブラッドリーは?」
「ブラッドリー?ここにはいないが…」
おかしいな、と首の後ろをかきながら辺りをきょろきょろと見回している。俺も合わせて周りを見渡してみたが、それらしい気配は無い。
「おかしいですね、ここに居るはずなんですが」
「そう言われても…わ、どうしたんだ?!」
1937