ラプソディIN SUMMER BLUE 裏話愛が重い美人なゴリラが好きです。とても好きです。
だからこそ、はじめは魏無羨のお話だったのに、後半藍忘機のお話になったのかもしれません。
ラプソディIN SUMMER BLUE
タイトルの通りクラシックがベースのお話になりましたが、そもそもなんでこうなったのか。
ずっと忘羨には古琴と横笛以外の楽器を弾いてみてほしくて、それを今回書かせていただけたら嬉しいなと思ったからです。
しかし問題は山積みで、
まずキラキラな学生生活のイメージがまったくできない由々しき事態。
学生頃のわたしの夏がバイト三昧時々生徒会(美術室に入り浸ってお茶してました。冷蔵庫もソファもホットプレートもあって、ホットケーキ焼いてました)だからです。
そして、コンクール祭り。
じゃあ、夏といえばコンクール。を中心に何を足そう。
旧校舎という響きが好き。さらに音楽室が好き。
今回「出会い〜恋人になるまで」とのことだったので
まずは出会わなければと、魏無羨には旧校舎を根城にしてもらいました。
いつも明るい彼がどうしてここに籠るのか、なぜ楽器に触れなくなったのか。
それは読んでくださった皆様の想像に委ねます。(投げてる訳じゃないけれど、そうやって妄想してほしい。わたしが楽しいので)
旧校舎の音楽室にあるのがなぜベーゼンドルファーなのか。
オケそし東京公演のピアノがベーゼンドルファーだったからです。
1章で魏嬰が「ここはやはりバラード一番でも弾いてやるのがいいだろう」
という台詞は、実は縁起が悪いもので……笑
ベーゼンドルファーといえば過去ショパンコンクールで使われていたピアノです。(だからバラード一番と言ってもらったのですが)
ただ、政治的関係、金銭的関係により、ベーゼンドルファーはショパンコンクールから姿を消してしまいました。
柔らかく多彩に美しい音を響かせてくれるピアノですが、リストの強靭なタッチにも耐えたといわれるピアノで、だったらゴリラな美人である藍忘機でも美しく白と黒で並んでくれるな! と思ったのでした。
コンクール会場のピアノがスタインウェイなのは、京都公演がスタインウェイだったからです。
昔からモーツァルトが苦手でした。小さな子供の頃から。
明るくて、濁りがなくて、眩しくて痛い。彼の生き方が苦手でした。
哀愁と暗さ、鬱蒼さが滲むベートーヴェンを選ぶ子供でした。そのほうが落ち着くから。
だからわたしの話はどれも微妙に薄暗い部分が必ずあるのかもしれません。素直にイチャイチャちゅっちゅしてくれと思う時もあります笑
でも、魏嬰には『旅に出よう!』と伝えてもらいました。
わたしの、このお話の中での、サビです。
ここから、ラプソディーの藍忘機の音に色が宿ってゆきます。
旅に出ない音楽家は不幸だ、とモーツァルトは残しています。
そのままの言葉はやっぱり苦手なのですが、「旅に出ろ」なら、何もかもにまだ新しい青い若葉な彼らの背中を押してくれるかなと思ったのです。
わかってはいたのですが、本編を追いながらこれを書いていると、裏話がないとわからない台詞が多いな、と思いました。
申し訳ありません。
言葉にできない思いを、どうにかして伝えたい。
それが音楽なのだと思います。
歌もですが、特にクラシックやインストと言われる言葉の乗っていないもの。
自分の中にある言葉にできない、気づくのが怖い、でもわかりたい。そんな色々ごちゃ混ぜになった気持ちを、二人には持て余してもらいました!
夏といえば青い澄んだ綺麗な空だし、(雨女なわたしですが、実はコンクールの日に降られたことがありません)青い空を見ると炭酸水が恋しくてパチパチを透かしたくなる!
ラムネを飲んだことない藍湛に、ラムネを教える魏嬰。
手はベッタベタ。
「藍湛! いいもの見つけた」
「なに?」
「じゃーん! ラムネ! 瓶って最近あんまりみないからさ、ついつい買ってきた」
「二本?」
「うん。俺とお前のと」
「君と、私」
「そう。もしかして、飲んだことない?」
「見たことはある」
「飲んだことはないのか。こうやってさ、玉押しをビー玉にあてて、押すんだ!……うっわ、こんな漏れると思わなかった」
「拭いて」
「用意いいな」
「…………」
「仕方ないだろ。いつもは師姉が貸してくれるんだから」
「それは君にあげる。だから持っていて」
「お前が渡してくれるほうが良いけど」
「私が隣にいないときはそれを使って」
(……こう見えて意外と粘着質なんだよな)
「魏嬰?」
「好きだなって」
「ラムネがか」
「お前がだよ。わかってるくせに」
「うん」
聞きたかったから。という声がとてつもなく甘く、ずるかった。
突然の小話でした。
2章の師姉のご飯は、どのレシピもとても美味しいです。
わたしのお気に入りレシピ。
雲夢江氏兄弟にも、夏を楽しんでほしかったので、2章を入れました。
わたしのお話には度々ご飯が出てきます。
美味しいとわかっているうちは大丈夫。
食は、人を温かく包み、わかりやすい幸せをくれるものだと思っているので、食はよく出てきます。
その人を作るのも食事なので。
魏嬰が藍湛に出した夜のゼリーポンチ!
あれも美味しいです。
お暇があればとても綺麗なのでぜひ!
レシピは、ご希望があれば書きます!
夕方からこのお話が始まり、夜を辿って、朝に。そして一番太陽の輝く夏らしい時間でこのお話を終えるように、書きました。
The darkest hour is just before the dawn.
夜明け前が一番暗い。
という言葉が好きで、そうなればいいな、と夜を迎えた3章最後〜4章に、魏嬰には一度ご退場を願いました。
色々と書き連ねてしまいましたが、夏のパライバトルマリンのような美しい空に、炭酸水が弾ける様子が大好きで、最後は爽やかな甘さが弾ける二人がいてほしいな、そうなればいいなと書きました。
色々迷いつつ筆を進めたお話ですが、あの気だるいクラリネットの大ソロが、残りの夏に響いていたら幸いです。
裏設定のようなものは、よければ
「#忘羨夏の通信簿 」の見せ合いっこver.を見ていただければと思います。
通信簿見せ合いっこしてほしい。と欲のままに作りました。是非こちらもよしなに。
夏の夜は短し。恋せよ忘羨!