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    szk_2206

    @szk_2206
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    szk_2206

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    ナギ綺羅吸血鬼パロ
    思いついたので雑に書き散らし

    ##ナギ綺羅
    ##帝ナギ
    ##皇綺羅
    ##うた腐リ

    理想の使い魔 だから、絶対いるはずなの。
     強くて、余計なこと喋らなくて、綺麗な目の色をした人間!
     そう言うと、いたとして、そんなものを捕まえてどうするのかと仲間は言う。
     もちろん、使い魔にするのだ。
     吸血して吸血鬼として傍に置くのではなくて、使い魔としてボクを守ってくれそうな人間。
     それがほしいのだと、もう何百年も言っているのに。
     それほど難しいことではない筈なのに、ボクの前にはやってこない。
     いっそ、誰かが捕まえてきてくれれば良いのにと、仲間に話したら笑われてしまった。
     ボクよりも永く生きる血族たちは、いつまでもボクを子供扱いするのだから。
     今に見返してやると、森も寝静まった夜中に居城のドアを開いた。
    「………何これ」
     人が倒れていた。
     どう見ても人間で、体格は何となくボクの理想。
    「ねえ、こんなところで倒れてたら死んじゃうよ?」
    「………」
     返事が返ってこない。
     まさか、死んでいるのではと心臓の位置に手を当てる。
     まだ鼓動している。それも、力強く。
    「ねえ、ボクのお城で休んでいきなよ。うん、そうした方が良いって」
     ボクは難なくその男を担ぎ上げると、城の中へ連れ込んだ。
     客間のベッドに投げ込み、少し汚れているので濡れタオルで拭く。
    「冷たい」
    「あ、ちゃんと起きたね」
    「ここは…?」
    「ボクのお城。一人暮らしだけど」
     しっかりと覚醒した男の名前は「綺羅」というらしい。
    「三日も森を!? 何で!?」
    「死のうと…思って」
     どうやら、ボクの城下に広がる森は一種の自殺スポットになっていたらしい。
     ほんの数十年の間に、そんなことになっているなんて。
    「死のうとしたわりには元気だよね」
    「何を…しても…死ねなかった」
     首吊り、入水等の自殺を行ったものの、寸でのところで死ねず、森で死のうと思ったらしい。
     安直だなと思ったが、彼にとっては最後の手段だったのだろう。
    「じゃあとりあえず何か食べなよ」
    「だが…迷惑が…」
    「ボクは退屈が嫌いなの。こんな面白い人が来たら、楽しくなっちゃった」
     食堂で少し待たせ、僕はさっと作れるものを綺羅の前に出した。
     三日も食事を摂っていなかったのなら、雑炊が良いだろう。
     リゾットでも良かったけど、少し時間が掛かってしまうし、綺羅は日本人のようだから雑炊の方が馴染みがあるだろう。
    「いただき…ます」
    「うん、召し上がれ」
     何があったのかはとんと興味がない。
     しかし、綺羅は雑炊を口にすると、少しだけ泣いて、ガツガツと平らげてしまった。
     そんな様子を見て、僕は人間とはやはり素晴らしい生き物だなと思う。
     感情に振り回され過ぎるくせに、しぶとく生きてやろうとしているのだから。
    「ねえ、綺羅はこの後行くあてがあるの?」
    「どこにも…ただ…死ねれば」
    「ボク、吸血鬼なんだよね」
    「は…?」
     下手か。
     あまりの自分の性急さに、下手な自己紹介をしてしまって恥入るばかりだ。
     うん、もっと、違う風に。
    「ボクは吸血鬼のナギ。君に永遠を与えてあげられるんだ」
    「一刻も…早く…死にたいが」
    「まあまあ、そう言わずにさ。この城で一人でいるのも寂しいんだよね」
    「だから…俺を…留め置きたい…?」
     案外話が早くて助かる。
     本物の吸血鬼なんて会ったこともないだろうに。
     もしかすると、考えて言葉を選んでいるのだろうか。
     そう思うと、彼の変な間は納得がいく。
    「俺を…吸血鬼に…するのか?」
     恐る恐るといった様子で、綺羅はボクを見た。
     それは綺麗な、金色の瞳で。
    「違うよ。使い魔になってほしいんだ」
    「使い魔…とは…何だ?」
     意外と冷静。
     そんなところも、ボクの希望に則している。
    「ボクのことを守ってほしいの。それから、身の回りのお世話とかもしてほしいかな」
    「人を…雇えば…良い」
    「吸血鬼が昼型の人間を雇えるわけないでしょ」
     それに、あまり吸血鬼がいるということを公にしたくはない。
     夜の中、ひっそりと生きているくらいが丁度良いということだってある。
    「ボクね、君みたいな人間に会いたかったの」
    「何故…?」
    「ボクは、みんなとは違ってたから」
     みんなより秀でた能力。
     多分、吸血鬼が伝説として残っている能力を全て使えるだろう。
     だから、仲間も血族も、ボクとある程度の距離を置いた。
     そのための城だ。
     そのための、監獄だ。
    「お願い。ボクのことを守って」
     孤独な世界から、ボクのことを守ってほしい。
     そのためなら、何だってするから。
    「わかった…」
    「良いの?」
    「他に…行くあても…ない…」
    「使い魔になると、不老不死になるよ。それでも?」
     それでも良いのだと、綺羅は言う。
     無表情なようだが、少し笑った気がした。
    「使い魔が…死ぬ…方法は?」
    「主であるボクが殺すこと。他には無いよ。太陽の光も平気」
    「なら…俺を殺す…その日まで…」
     綺羅は、会って間もないボクに忠誠を誓った。
     ボクは杯に血を入れ、綺羅に飲ませる。
     これで契約完了だ。
    「ナギを…守ろう」
    「でも、どうして?」
     行くあてが無いにしたって、簡単に人間をやめるだなんて。
    「そうだな…雑炊が…美味しかった…から」
    「明日からは綺羅がご飯作るんだからね」
    「ああ…料理には…自信がある」
     こうしてボクは、理想通りの使い魔を手に入れることが出来た。
     綺羅の仕事ぶりは素晴らしく、放置していた部屋という部屋を綺麗にしていった。
     料理も格別で、ボクも心得があるけれど、それを上回っていた。
     なんと順風満帆な生活。
     ボクは使い魔を見る素質があるに違いない。
    「ナギ…寝る前に…蜂蜜は…ダメ」
    「綺羅のケチー!」
     こんなことはしょっちゅうだけれど。
     綺羅の思いやりはわかっている。
     
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