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    bumilesson

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    bumilesson

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    まみやさん遅れたけどお誕生日おめでとうございます!
    久々にちょっとえちちでロナドラ送ります!
    また遊んでやってください~。

    【羞恥×実況=死】「という事でやり方を教わりにきた」

     などと唐突にやって来たギリギリさんこと元辻斬りナギリさんは私に閨での作法を教わりに来た。何でも彼のパートナーの声量デカ・爆音君こと元警官君(本名もケイ・カンタロウだから間違っていない)が満足させているかどうか分からず不安になったので、その様子を実況してもらいたい、というとんでもな要求に対して『やり方が分からない』という理由でうちに来る辺り、あのカップルはどこかズレている気がする。仕方がないか、色々と。

    「何かお前動画でやってただろう」
    「ギリギリさん、確かに私はゲームの実況はしてるけど、その、ねえ、閨の中の実況なんてやった事……やった事」
     

    ―――そうだ、思い出した。

    「いや、あるわ」
    「あるのか!」 
     
     と言うかこんな話は月の煌々と輝く闇の中で話せるものではない。人間に例えるなら白昼堂々と白いパラソルの出た屋外のカフェでアイスラテを飲みながら互いの性的志向と対策について話すようなものであるが、ギリギリさんはその辺り全く気にしていないらしい。幼い頃に吸血鬼化した経緯がある為、どこか常識を欠いてしまっているところがあるがおそらく性知識はほぼまっさらな状態だろう。そんな彼に性知識を植え付けるのは、誰一人足を踏み入れた事のない銀色の砂地を裸足で踏みしめるような背徳感と心地良さがあるはずだ。パートナー氏はその心地を毎日味わっているとして、私は私で自分を頼りにしているというギリギリさんの様子に畏怖欲が満たされているのが分る。
     
    「で、どうするんだ」

     ギリギリさんが身を乗り出してくる。爆音君の思いに羞恥はあっても応えたいという姿勢の表れだ。成る程、これは愛が深い。
     
    「その身に起きた事全てを口に出せばいい。目で見たもの、触れたもの、感じたもの、全部ね」
    「最中にそんな事言えるわけがあるか」
    「うーん、それを言われると弱い」

     ギリギリさんが首を傾げている。確かに行為に夢中になってる時に冷静な状況状況など出来るはずもないが。
     
    「まあナニがどうこうでアレがどうだの、というのはまあ置いといて。とりあえず自分の身体感覚を口にすればいいんじゃないかね」「身体感覚」
     
     初めて聞く外国語を復唱する小学生のような顔をしてギリギリさんがオウム返しをする。

    「つまりどう感じてキモチがよろしい状態になっているかをだね」
    「よろしい状態」
    「そう、よろしい状態」
    「俺がカンタロウでキモチよくなっているという事を言えと」
    「あー――!!私もうこれ以上無理ぃぃぃ!!!!真夜中―――!!」

     おまけに空気を読めるジョンまで姿を消している。鈍いと言うか純粋すぎて何がFワードになるか絶対分かってない。窓の背後で小惑星がゴトンゴトンとぶつかる音が響いているから、これは我が家のゴリラも爆音君も暗いうちは帰れないだろう。でも悪いのは私じゃないので文句を言われる筋合いはないけれど。
     無垢と無知に勝てる者なし。話を聞いてるだけで砂になる。こうしてやっと何をすれば爆音君が喜んでもらえるか(少し早いが誕生日祝いにするらしい)が決まったギリギリさんはジョンの頭を名残惜しそうに何度も撫でてから帰っていった。お土産にドラドラちゃん特製ジンジャースパイスクッキーを持たせてあげたのは私なりの気遣いでもある。(竜の一族の私と串刺し公を親に持つ彼と私は親戚のようなものだ)
     
     
     さて、思い返せば。うちの若造である。同じ道をたどるものなのか、と人気のない予備室に続くドアに視線を向けてため息を一つつく。爆音君も自信がなくなり、言葉でどうか快楽を覚えているかどうかを知りたいと言う話であるがこの流れ、実は私が過去にほぼ同じ経験を辿ってきている。という事は爆音君も初めてがギリギリさんなんだろうねえ。少々どころではない難儀な相手のような気もするけれど。
     
     
    「ドラ公、俺本当に大丈夫なのか?」
     
     あれは心を通わせ合い、紆余曲折の果てにセックスするようになって何回目になるか。少なくともロナルド君が私の中で射精したのがその時で65回というまだ3桁になる前の話だからおそらく身体の関係になって20日くらい経過した頃だろう。
     最初は足を持ち上げるだけで大惨事になるような行為だった。私も初体験で15回は死んでいる。それでもあの必死な美しい青い瞳が潤んで熱っぽく私を見つめ、更に銀色に輝く髪に汗を纏わせて腰を振る姿は、正直下半身を直撃する。品のない言葉で表現するなら実に私の性欲を煽るだけ煽るのだ。彼に会うまでは性欲というものは享楽主義者でありながら最も遠いところに居たはずが、今や簡単に腕に引き寄せられるものになってしまった。彼の腕、匂い、自分を貫く太く硬い幹、全てが私を血の味以上に酔わせる。
     
    「何が大丈夫というんだね。もう大分死ななくなっただろうが」
    「それは嬉しいけどさ。でも、俺ばっかりキモチいいんじゃないかって。ちゃんと俺、ドラ公満足させてる?」

     柳のように美しい弧を描く眉を下げるだけ下げて私を見下ろす。とうに私は全身を剥かれて貧相な身体を晒しているが、ロナルド君の視線は飛び散った白い飛沫に汚れ切った私の肋骨の浮いた胸に向かっている。今日はまだそこは攻められていないから、次はそこをうんと抓って、舐めて、舌で溶かすような甘い愛撫を施す事だろう。
     
    「私が良くない事を我慢しているような男に見えるか?」
    「それは分かる。ドラ公だもんな。我慢はさせてないかもしれないけど、でも、それだけなんじゃないかって」
    「ロナルド君。私はね、」

     こうして自信を失っている時の彼に言葉を尽くしてみても伝わらない事はもう分かっている。砂になって灰になっても君を私は求めているというのに、千の言葉も万の罵倒も届かない時がある。私の手は期待に次の愛撫を待ってひそやかに色づいている小さな胸の粒へロナルド君の腕を引き寄せる。早く次を続けて欲しいのに、こんな禅問答は私たちにまだ必要?
     
    「ここを早く舐めて吸って噛まれて君の少し先の尖った天然の犬歯で愛されたいんだよ。ここは私をキモチよくさせてくれる事を君は知ってるだろ?私だって君に会うまでそんな事知らなかった。自分の身体で自分で触れる時以上にキモチよくなってはしたない声を上げて背中に爪を立ててしまうような場所があるなんて。私をメチャクチャで恥知らずにさせたのは誰なんだい」

     品も何もあったもんじゃない。新横浜に来てロナルド君たちに出会って私は変わった。取り繕った自分を予備室のベッドは見せる場所じゃない。痺れて脚が震えて、灰になる暇もない程の快楽に焼け焦げる私と、普段が子ども騙しに見える程に剥き出しで荒々しい魂を熱い精液と共に私の中に注ぎ込み流し尽くす獣の君がいる場所だ。荒れ狂う波にもまれて、互いを高めあう事しかないこの世の果てのような仮の寝室で私たちは愛し合う。縺れて、溶けて輪郭を失う程に互いを求めあう。人間と吸血鬼の埋められない時間と種族の溝を埋めるただ一つの手段がその太すぎる生身の杭で貫かれる事なのだから。
     
    「ドラ公、俺もお前が欲しい。チンチン痛くてイライラしますぅ。二回イかせてもらいましたけど、もっとしたいでえええす」

     しまいに泣き顔になって私を抱きしめる。普段ならその腕の力で触れられた瞬間砂になるが、今は違う。私は自らの死を快楽と期待によって乗り越えられる事も彼によって知った。目の前には物欲しげにたらたらと透明な滴が先端から覗いたモノがある。とろりとしたその感触が私の硬い腿の裏に塗り付けられるだけで私は気を遣ってしまい、ささやかにぴゅく、と精を零してしまう。そしてそれが私の身体の中で一番熱を帯びた箇所に入ってしまうともうダメだ。先端を飲み込んだだけで腰がはしたなく揺れて、もっと奥まで咥え込もうと無意識に動いてしまう。

    「私もだよ。ほうら、見たまえ。先ほど君は大量の精液を私の中に遠慮なく注ぎ込んでいったが、乾く事なく私の中でもっとお仲間を呼ぶように残っているよ。全部君が吐き出すまで飲み込まないで我慢しているんだ」

     足を開いて割れた赤い口を晒してみせる。私の目の色と同じ肉の色の入り口は綺麗に広がり、まだそこに残滓があるのを見せつける。途方もなく淫猥で汚れきった欲望がまだ足りないと訴えている。
     
    「どれだけ私が君によって身体も心も作り変えられてしまったか分かるかい?こんな―――若造に。私の200数十年を塗り替えた男に。真祖にして最強の吸血鬼、偉大なる古き血の正当なる吸血鬼、この私が生涯ただ一人君だけだ。君のその肉棒を早く私の中に突き立てるんだ。遠慮はいらない。でも胸が寂しいからこっちも愛してくれ」

     肉のない胸を精一杯寄せてみる。赤く熟れた乳首は尖って指先が弾くだけでキモチ良さに震えてベッドの上で盛りのついた雌猫のような声を上げる事だろう。
     
    「ドラ公、好きだ、お前の事全部、ぜんぶ、」

     足を大きく割られて熱が入り込む。その瞬間、痩せたこの身体のどこにそんなものが残っているのかいまだに分からないが、私は薄い精を吐き出して腹を汚す。率直に今は言葉を告げよう。この美しい若造が望む心からの叫びを。
     
    「ああ、私もだ。こんなに君がキモチいい事を教えてくれて、与えてくれて、満たされていく事を。こんなに幸せな事はない」

     だから早く動け、早漏と罵りが私から入る前にだ。
     
     ようやく私の意図を知る事が出来た男は深く腰を私の狭い中に穿つ。ほとんど何も用がないまま人の身体を借りていた名残になっていた孔へ向かって。銀色の被毛に似た下生えが私の尻を撫でる。そんな感覚でさえ。
     
    「ああ、全部、イイよ、ロナルド君、あ、あ、」

     閨の中で名を呼ぶ私の声は音階を失った小鳥のように調子が外れてゆく。縺れた舌先がキスを求めてひらひらと宙を浮くが、それを捕まえて唇が絡む。上も下も溢れる水音で耳元で洪水が起きたようだ。逞しい背に十字を切るように爪を立てる。これは私の祈り。愛する男と時間が許す限り共にある事を願っての。
     
     
     
     
     私も結局若造に甘い。実況中継さながらに自分がいかに快楽を拾い上げているのかを身も世もなく叫ぶように喘ぎ音と共に伝えれば、何度達してもすぐに戻る回復力で文字通り一晩中愛された。そう昔の話でもない。未だにロナルド君は私に愛されている実感を得る為に無理を承知でベッドの中でしか聞けない願い事を言い続ける。時に愚かな美しい若者を私はそうして受け入れ、また善がり狂って啼く。
     
     
    「さて、今日は遅くなるだろうから」

     さっき落ちた流星がまた大きな音を立てて古いこのビルの横を掠めていく。へとへとになった身体を引きずってこの部屋に戻ってきても私がねだれば彼は答えてくれるだろう。その前に腹を空かせて空腹を訴えるのを何とかするか、と私はキッチンへと向かっていった。
     
     後日、丁寧な手紙と共に爆音君から新横浜駅ビルで購入したという高級和菓子が届いた。結果は上々だった、という事か。次にギリギリさんにあったら詳しく話を聞かせてもらうとしよう。何より吸血鬼は退屈が大嫌いなのだから。
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