覗く目 太平洋上で台風が発生したらしい。
しかし大阪上空は相変わらずの快晴で、気温は今日もうなぎ上りだ。私はだらしないと思いながらも首周りが伸びたTシャツを着て、昼前からソファの上でごろごろ寝そべっていた。日が高いうちに飲むビールは、ほんの少しの後ろめたさもスパイスとなって、また格別の味がする。何たる堕落、と咎めるなかれ。私はつい先程短編を脱稿したばかりなのだ。締め切り明けの作家のささやかな道楽としてここは見逃して欲しい。
ビールを一本空けたらシャワーを浴びて、約三十時間ぶりにベッドに入るのが今日の予定である。明日のうんと遅くまで惰眠を貪り、それから週末で家にいるであろう京都の友人の所にでも出向くのもいいかもしれない。この二週間、会話を交わした相手は担当一人だけ、更に言うなら二度の電話の合計時間は十分に満たない。私は人に飢えている。
20073