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    palco_WT

    @tsunapal

    ぱるこさんだよー
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    palco_WT

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    それがあなたの願いなら

    遠征といずみんと太刀川隊とさとけんと。

    #出水公平
    waterFairness
    #佐鳥賢
    kenSatori

    それが、先輩の心からの望みなら、佐鳥は喜んで銃口を向けられますよ?


    「柚宇さん、サバイバルホラー系のアクションゲームでなんかいいのある?」
    「いっぱいあるよ~。ラスアスとかデッドスペースとかサイレントヒルとか。TPS寄りのほう?」
    「そうだね。……人の形をしたものを無茶苦茶撃ち殺したい」
    「うんうん、そうかそうか。分かった」
    「軽蔑する?」
    「なんでぇ?」
     甘ったるく舌足らずに答えて、国近はにょ、と首を傾げる。
    「ありがと」
    「なんでお礼言われるのか分からないけどどういたしまして~。え~と、バイオでいい? やってないやつがいいよねえ」
    「ナンバリングないやつは殆ど触ってないです」
    「そっか、だったらリベレーションズがいいかな。クリスとジルが出てくるの。4と5の間だったっけな。最初はプレステじゃなくて3DSでリリースされてたからやってない人多いんだよね」
     switchに移植されたけど、と言いながら、国近は棚からPS4本体とソフトを取り出す。何でもあるな、と感心しながら、それを受け取ってケーブルをモニターに接続する。
    「操作方法は分かる?」
    「触ってるうちに覚えられる、かな。チュートリアルありますよね」
    「どうだったっけなあ」
    「何とかなるでしょ」何であれ。
    「そうだね。なるなる。……頑張ったよねえ」
     柔らかく笑いながら、国近は出水の手にコントローラを手渡す。分かってくれる人が近くにいるだけでほっとするし、他愛ないようにあえて聞こえるように告げる励ましが泣きたくなるくらいに嬉しかった。だから出水は唇を引き結んで、画面へと顔を向けた。
     これからもこういうことは起きる。遠征部隊に選ばれるということはそういうことなのだ。いつまでも白い手ではいられない。分かっていたはずだ。ああ、でも、その前に京介は太刀川隊から外されて良かった、とも思う。
    「あ、俺もやるやる」
     それまで黙って自隊のオペレーターと射手のやりとりを眺めていた隊長が気まぐれのように身を起こした。
    「太刀川さん下手くそじゃん」
    「協力プレイモードあんだろ」
    「あるけどイヤです。馴れてないゲームで初心者と一緒になんか無理ですって」
     でもまだ元気ないね、と国近は出水を覗き込む。
    「あたしのおっぱい貸してあげようか。ふかふかして気持いいぞ~。ほら、来い来い」
    「そういうのがイヤだからゲームすんです」
    「なんで? 減るもんじゃないよ?」
    「減るとか減らないとかじゃなくて~」
    「そうだよ、遠慮することねえじゃん」
    「あのね……」
    「だったらこいつが遠慮して空いたところ、俺がパフパフしていいか?」
     だが国近は萌え袖気味のゆったりしたカーディガンの前をぎゅっと掴んで、ぷるんと首を横に振った。
    「太刀川さんには貸さないよう。太刀川さんはそういうのいらないじゃん」
    「えー。差別だ差別」
     ボーダーでとびきりの弧月の腕を誇るトップランカーの男は、パフパフさせろと抗議の声を上げるが国近の固定シールドはいっこうに解除されないことを確かめて、諦めて出水の隣に身を放り出すように腰かけた。
    「だったら2Pだ2P、ほら、コントローラ寄越せ」
    「あんたが言うと別の意味に聞こえてヤだな~」
    「あら出水きゅんたらエッチですこと」
     どっちがだ!!!!
     叫びたいところをぐっと堪えて、出水はAボタンを押し込むと、見慣れたゲームメーカーのロゴがぼうっと黒い画面に浮かんだ。


    「……てなこともあったねえ、って話」
     出水は投入口に五百円玉を押し込んで、筐体のゲームスタートのボタンに手を置いた。
    「ほら、おまえも手ェ貸せ、A級狙撃手」
     あたりは賑わう人の声とゲーム機のサウンドとゲーセンの店内に流れるアナウンスとで、声を張り上げないと傍らにいる相手にも声が通りにくい。換装体の内部通信がこんな時にも使えたらなどと思う程度には。
    「これとスナイパートリガーじゃ勝手が違いますよ、出水先輩」
    「射手よりマシだろ、射手より」
     そりゃそうですけどぉ、と唇を尖らせ、せっつかれた佐鳥は機体からコードの伸びた模造銃を構えた。ともあれ、スコープがほぼ意味を為さないツインスナイプの使い手はすぐに要領を掴んだのか、画面の中のゾンビに次から次へと標準を定めると同時に引鉄を引いて、生ける屍を死者へとさくさくと強制送還していった。
    「……佐鳥」
    「何ですか」
    「もしもさ、俺がこいつらみたいに」
     言葉がひっかかったように途切れさせた出水に、佐鳥の視線が引っ張られる。その隙に背後から迫っていたゾンビに襲撃され、左画面が赤い血しぶきで染まり、振りほどこうとレバーを左右にガチャガチャ振るがあえなく画面にYOU ARE DEADの文字が表示され、佐鳥はコンティニューにカーソルをロックしてトリガーを引いた。
    「こいつらみたいに何すか」
    「なんでもねーよ。右奥から団体さんがお出ましだ。ちゃんと片付けろよ。俺は0時方向の奴らにかかるから」
    「はいはい。じゃ、こっちは三点バーストに切り替えますね。フレンドリーファイヤしたくないから気をつけてくださいね」
    「おう」
     モードを切り替えて、佐鳥は出水が示したあたりに照準を合わせる。タタタ、タタタと数発の連射をリズミカルに響かせながら佐鳥は横目でちらと出水を伺う。
     ちかちかと光るモニターに向けられた横顔は、色を抜いた金色の長い前髪が影になってどんな表情を浮かべているのかはろくに分からなかった。
     出水達が今回の遠征先の補給地であった緩やかな友邦でもあった都市国家は近隣との紛争の真っ最中で、虜囚となった敵兵の意識を剥奪し、味方を敵と誤認させるトリガーが猛威を振るっていたと佐鳥が聞いたのはそれから少し後の話となる。
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    「いっぱいあるよ~。ラスアスとかデッドスペースとかサイレントヒルとか。TPS寄りのほう?」
    「そうだね。……人の形をしたものを無茶苦茶撃ち殺したい」
    「うんうん、そうかそうか。分かった」
    「軽蔑する?」
    「なんでぇ?」
     甘ったるく舌足らずに答えて、国近はにょ、と首を傾げる。
    「ありがと」
    「なんでお礼言われるのか分からないけどどういたしまして~。え~と、バイオでいい? やってないやつがいいよねえ」
    「ナンバリングないやつは殆ど触ってないです」
    「そっか、だったらリベレーションズがいいかな。クリスとジルが出てくるの。4と5の間だったっけな。最初はプレステじゃなくて3DSでリリースされてたからやってない人多いんだよね」
     switchに移植されたけど、と言いながら、国近は棚からPS4本体とソフトを取り出す。何でもあるな、と感心しながら、それを受け取ってケーブルをモニターに接続する。
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    MAIKING折本にするつもりだったけど流し込んだらはみ出て笑うしかなかった……加減……分量の加減……狭い遠征艇での窮屈な環境と、門による跳躍が影響する三半規管だかトリオン臓器に由来する何かの器官に由来するもののせいなのかは分からないが、いわゆる空間識失調《バーディゴ》っていうのはこんなものなのかもしれない。
     シャバの空気を吸って半日以上経つのに、まだ本復しない体にハッパをかけながら、休暇明けには提出しないといけない仕事に手をつけては、もう無理と倒れ、いややらないといけないと起き上がり、しかし少し経ってはちょっと休むを繰り返していた冬島の携帯端末が着信に震えたのは、そろそろ空腹を胃袋が訴えかけた夕暮れ時だった。
    「おう、何だ、勇」
    「隊長、今からそっち行くけど、なんか買ってくもんあっか? どうせ、遠征から戻ってからぶっ倒れたままだろ」
     ありがてえ、とローテーブルを前に床にひっくり返って天井を見上げたまま、冬島は携帯端末に向かって矢継ぎ早に告げる。
    「弁当なんでも、あと甘い菓子パン何個か。ドーナツでもいい。それとチョコレート味の何か」
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    MOURNING初のイコプリSS。大半が十九歳。関西弁は空気で読んでください。 付き合ってからと言うもの、王子は事あるごとに生駒に好きを伝えたがる。
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    「なんや、王子、どないしたん?」
    「うーん、何でもないよ。ただ言いたいだけ」
    「それなら、ええ」
     にこにこといつもと変わらない笑顔を張り付けて、王子は生駒に言う。生駒は、本当にそうなら問題ないな、と頷いた。
     
    「で、今も続いてる、と」
     生駒から経緯を聞いていた弓場は、片眉を器用に持ち上げて嫌そうな表情をした。
    「そうや」
     生駒はいつもと変わらない表情で弓場の問いに答えた。
     日差しの気持ちよい午後、ボーダーのラウンジの一角に何故か十九歳組が集まり、何故か近況はどうなのかと言う事になり、何故か、王子と付き合っている生駒の悩み相談が開始された。
    「王子も可愛いところあるじゃないか」
     嵐山が、どこが悩みなんだ? と不思議そうに言う。
    「いや、何回も続くと生駒も鬱陶しいんじゃないのか?」
     嵐山の問いに柿崎が答える。
    「いや、そんなんないな」
     生駒は、当たり前だと言うように柿崎の言葉を否定した。
    「ないのかよ」
    1089

    palco_WT

    PROGRESS冬コミ新刊の水王の、水上の過去の捏造設定こんな感じ。
    まあそれでも入会金十万円+月一万余出してくれるんだからありがてえよな……(ワが2013年設定だとたぶんんぐが小学生で奨励会にあがったとしてギリギリこの制度になってるはず。その前はまとめて払ってダメだったら返金されるシステム)
    実際、活躍してるプロ棋士のご両親、弁護士だったり両親ともに大学教授だったり老舗の板前だったりするもんね……
    「ん、これ、天然モンやで」
     黄昏を溶かしこんだような色合いの、ふさふさした髪の毛の先を引っ張りながら告げる。
     A5サイズのその雑誌の、カラーページには長机に並べられた将棋盤を前に、誇らしげに、或いは照れくさそうに賞状を掲げた小学生らしき年頃の少年少女が何人か映っていた。第〇〇回ブルースター杯小学生名人戦、とアオリの文字も晴れやかな特集の、最後の写真には丸めた賞状らしき紙とトロフィーを抱えた三白眼気味の、ひょろりと背の高い男の子と、優勝:みずかみさとしくん(大阪府代表/唐綿小学校・五年生)との注釈があった。
    「でも黒いやん、こん時」と生駒が指摘する。
     彼の言葉通り、もっさりとボリュームたっぷりの髪の毛は今のような赤毛ではなく、この国にあってはまずまずありがちな黒い色をしていた。
    1983