ドーナツホールの続きから食べる⑧店先だけ案内されていた、月島の働く料亭の料理は、美味しかった。
厨房に立つかと大将が誘うと、月島が普通に断っていたので笑ってしまった。
そんな軽口が許されるのだと安心する気持ちと、厨房に立つ月島がどんな恰好なのか、似合っているのか、似合わないと自分は思うのか、見てみたいと思う。
晩ご飯を食べ終わると、レンタカーまで連れていかれた。荷物を持てということらしい。二人とも軽く飲んだので、月島もハンドルを握る様子はない。
「この村、宿がなくて。俺の部屋本当に狭いので。みんな準備で朝からうるさいし。明日、日が出てから案内します」
月島は珍しく言い訳がましくもごもご言っていたが、とりあえずその理由では部屋に泊めないのも尤もだと思ったので、素直に従う。
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