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    大漁とろ

    @toro_seiza

    色々置く予定です

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    大漁とろ

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    『イラストを投げたら文字書きさんが引用rtでssを勝手に添えてくれる』タグで、悦乱子様(@bbbume0215)の素敵なスミイサにSS(チョト ナガイ)を添えさせていただきました。
    ポスト内のセリフも引用させていただいております。
    短時間クオリティですが、書いていてとても楽しかったです!

    #スミイサ
    #ルイイサ

    スミイサ【ハリ〇ッド張りのアクションとラブを添えて】「いいか、イサミ、落ち着いて聞いてくれ。ルルがカジノのマフィアに捕まった。今すぐ助けに行くぞ」
    「いや待てまずお前が落ち着けよ!」
     思わずツッコミを入れるほど、背にはどデカいランチャー、手にはマシンガン、肩に重厚なガンホルスター(もちろん中身入りだ)、腰にはハンドガンとマガジンを大量に搭載したスミスの額へ、どこの重戦車だよという追いツッコミとともに手刀を叩き込んだ。



     あの戦いの後、俺たち三人に与えられたクルーズ旅行。世界中に寄港し、多くの傷を負った国や町、様々なところを見て回った。
     キング司令官たちは、純粋に休暇を与えてくれたのだろう。だが、デスドライブズの攻撃により世界はどうなったのか、どう復興しはじめ、また、傷ついたままなのか。俺たちは知りたかった。
     その折衷案が豪華客船だ。
     そして現在、カジノで有名な都市に寄港した俺たちは、ひとときの雰囲気を楽しむためしっかりと正装し、ネオン輝くカジノホールに立ち寄った。
     ――だけのはずだった。



    「いくらなんでも過剰攻撃だ。リアルでオーバーキルはまずいだろ」
    「オーバーキルだけで済むと思うのか?」
    「済まねぇから言ってんだろが!」
     真顔で答えるスミスに、三揃えのジャケットを脱ぎ叩きつける。銃火器まみれでも律儀に受け取ったスミスは、傍のソファへ丁寧に掛けた。
     クルーズ客向けに用意された小さな休憩室。ひとり掛けのソファがふたつとテーブル、細長いクローゼット。葉巻が入った箱、派手な酒瓶、グラスがサイドボードに乗っている。『いかにも』な部屋だ。
     そこでしばしの休憩をしていたところ、デザートをもらいに行ったまま帰ってこないルルを心配し、様子を見に行ったスミスが、何故か映画の帰還兵さながらの重装備で戻ってきた。それが今の状況だ。
     トンチキな様相だが、スミスは混乱しているようでいて芯は冷静。明るい緑の瞳は、戦場にいたときと変わらない光を湛えている。それがこの男の怖いところだと思う。
     大きく息を吐いて、シャツの袖を捲った。
    「そもそもルルがただ捕まってるわけないだろ?」
    「だけどイサミ! 俺たちのPrincessの危機だぞ!?」
    「んなこたわかってんだよ!」
     ガンホルスターでバンプアップされた胸元を掴んで引き寄せる。畜生、やっぱりいい筋肉してやがるな。
    「ハンドガン一丁寄越せ。マガジンも。お前はマシンガンとホルスターに入ってるやつだけにしろ」
    「そんな! イサミそんな!」
     大袈裟に眉を下げるスミスの身体から、銃火器をポイポイと捨てていく。短時間でどれだけ集めたんだ。
    「折角怪しいやつらの荷物見つけて回収したんだぜ?」
    「Good boy[よくやったな]、だがこいつは見つからないよう隠しとくぞ」
     口をへの字に曲げて、子供のように拗ねるスミスのネクタイを胸ポケットに差し込む。仕上げとばかりに頬へ軽くキスをすれば、わかりやすく喜びの笑顔に変わった。恥ずかしいが、言葉が足りない俺は行動で示さないと伝わらない。
     スミスの腰に挿してあったハンドガンとマガジンをひとつずつ取り、他は全部クローゼットの中へしまい込んだ。
     予備のマガジンを尻ポケットへ突っ込み、銃を確認する。扱ったことがあるものでよかった。
     手早くマガジンを外し装填数を確認する。充分な弾数だ。マガジンを戻し軽く構え、トリガーセーフティが動くことを指先で確認した。
     こちらは客で(立場的に)一般人だ。無駄な発砲は、後の取り調べなどでこちらの不利になるかもしれない。ならば。
    「やるなら一発で確実に仕止める」
    「まったく、何度惚れ直させるんだ、Darling」
     状況にそぐわない甘い声で囁き、スミスが腰に手を回してきた。こめかみにキスを落とされる。柔らかい唇の感触に胸が高鳴った。こういうことを平然とするから困るんだ、こいつは。
     悔しいので噛みつくように唇にキスをして、すぐさま胸を押しやった。
    「イサミ……!」
    「いいから早く行くぞ!」
     瞳をキラキラと輝かせるスミスを置いて、ドア傍の壁に背を張り付ける。満面の笑みを浮かべたスミスが反対側に立ち、マシンガン片手にドアノブを掴んだ。
    「さて、悪党の巣の目星はついてるのか?」
    「そんなの、考えなくてもわかる」
     口許を上げて問いかけるスミスに、銃を構えながら答えた。
    「バカと煙は高いところにいるって相場が決まってんだよ!」
    「違いない!」
     言葉とともに勢いよくドアを開け、腰を低く保ったまま、階段へと通じる廊下を走りだした。




     スミスの長い脚が、岩のようなガードマンの首を狙う。アタックと同時に巨体が横へ吹っ飛んだ。その隙に、驚きの表情を浮かべる隣の男の顎へフルコンタクトで掌底を叩き込む。
     読みは当たっていたらしく、上階へ昇るたびに黒服のいかつい男たちが増えていった。数で圧してくる奴らに手加減などしていられない。殴っても立ち上がってくる輩には、手足目掛けて弾を打ち込んだ。隊で訓練は受けているが、さすがに実戦は思うとおりにはいかないものだ。証人として生かさず殺さず。加減が難しい。
     だがスミスは、徒手空拳とマシンガンだけで流れるように制圧していく。無駄のない動きと判断能力はさすがだ。
     そもそも、マシンガンで数人まとめて生かしたまま倒す芸当は俺には無理だ。
    「そろそろヒントのひとつでも落ちてくるころなんだが」
     空になったマガジンを床に捨て、再装填しながらスミスが辺りを見回す。呻き声を上げる男たちが倒れ伏している、阿鼻叫喚の地獄絵図だ。
    「さっきエレベーターの階数を確認したが、最上階の数字は書いてなかった。外観から考えれば、10階以上はあると思う」
    「OMG...、煙にしても昇りすぎじゃないか?」
    「まったくだな」
     溜め息をついて、気絶している男のジャケットを引っ張る。そろそろ弾数が心許ないので、ホルスターから予備の銃をいただいた。
     そのとき。
    『スミス! イサミ! 応えて!』
    「ルル!?」
     倒れた男のインカムから、聞き慣れた声が聞こえてきた。すぐさま奪い取って耳に当てる。
    「無事か、ルル!」
    「怪我してないか!?」
     焦りが滲む声でインカムへ呼びかけた。
    『ガガピ! ルル無事!』
     笑顔が思い浮かぶ答えに、スミスと顔を合わせ、緩く笑った。
    『今、カジノの裏の控え室、ルル以外にもたくさんいる』
    「この無線はどこから?」
    『控え室の奥、監視室あった。いたのふたりだけ。ルルやっつけた!』
    「さすがだルル」
    「えらいぞ、後でアイスたくさん食べような」
     もう笑うしかない状況に、俺たちは思わず拳を軽く合わせる。
     わかってはいたが、俺たちのお姫様は優秀な戦士だった。
    『モニター、カジノの中と外、見える。どこも、黒い服いっぱい。ルルたち、ドアの前、バリケード張ってこもってる』
    「怪我人はいるか?」
    『殴られたひといる。でも、ひどくない。看護師さんいて、手当してくれた』
    「その監視室は何階にある?」
    『14階! 一番上は、15階って書いてる!』
     完璧な受け答えに、スミスが俺の顔を振り返り、
    「なぁイサミ、うちの子Perfectじゃないか?」
     と真顔で言い放った。
    「親バカか」
     反射的にツッコミを入れたが、同じことを考えていたのは秘密だ。
     インカムの位置を調整しつつ、エレベーターと階段を確認する。エレベーターの階数表示は点灯しているが動きがない。上へ行くにはやはり階段しかないようだ。スミスと視線を合わせ頷く。
     スミスがインカムの先のルルに指示を出す。
    「ルル、監視室は操作できるか?」
    『んっと……、うん、カメラ乗っとれそう』
    「店内外のカメラをできるだけハックするんだ。俺たちは今から上階へ向かう。ナビを頼む」
    『いえっさー!』
     明るい声を合図に、俺たちは再び走りはじめた。



     10階を過ぎたころから、階下とはまた違う豪華なカジノルームが現れた。
     それぞれのルームプレートには、高級感のある筆記体で女神の名前が刻まれている。会員のランクによって、より上階のカジノへ行けるようになるのだろう。悪趣味なことだ。
     二階分が吹き抜けになっている真ん中に、赤いベルベット生地が敷かれた螺旋階段があった。
    「おい、残弾いくつだ」
    「このマガジンと、渡したGlock17入ってるのと、あとは現地調達」
     階段を見上げながら相棒に問いかけると、軽い口調でそう返ってくる。現地調達ならば仕方ない。階段下に転がる輩からまた一丁拝借し、上へ向かうスミスと背中合わせで慎重に昇り始めた。
    『ピーガピー! ルル、監視カメラ全部押さえた。援護する。踊り場まで進んでOK』
     未だあどけなさを残す声がインカムから聞こえる。とはいえその内容は大人顔負けなのだが。
    『監視室、誰も入れない。だからスミス、イサミ、先に上行って』
    「わかった。警察と救急は呼べるか?」
    『さっき呼んだ!』
    「Your work was first class, Princess」
     満足げにスミスが笑い、階段の途中に転がるマガジンを拾い上げる。
    「じゃ、家族旅行に水差した奴らへお仕置きと行こうか」
     片手でマガジンを弄んでいるスミスは、まるで散歩にでも行くような口振りで明るく告げた。



     飴色の重厚な扉に向かい、弾丸の雨を浴びせかける。蜂の巣のように空いた木の向こうに金属の扉が見えた。防犯用の頑丈なものなのだろう。
     しかしそんなものも気にせず、勢いよく走り出したスミスは扉を蹴り飛ばした。砕け散る木片と、大きく拉げた金属の残骸が、騒がしい部屋の中へ爆ぜて舞い上がる。
     間髪入れずにマシンガンを放つスミスの背後から、ライトとスプリンクラー目掛けて撃ち込む。光が消え、天井からスコールのような水が流れだした。
    「Hold up」
     轟音にも負けないスミスの声が響く。俺はボスらしき男に銃口を固定し、顔を動かさず室内を見回した。
     床に倒れている男たち。流れる水が黒く見えるのは、奴らの血も混じっているからだろう。電灯を消しておいてよかった。カメラ越しとはいえルルに見せたくない光景だ。
     夜景の光が差し込む大きな窓。その手前に、防弾ガラスに囲まれたデスクが置いてある。俺が銃口を向けている初老の男は、そこに座ったまま顔を引きつらせていた。
    「お前がここのボスか」
     低い声でスミスが問う。
    「い、いや、違う! 儂じゃない!」
    「嘘はいけないってmamに教わらなかったのか?」
    「違う! 助けてくれ! 金ならいくらでも払う!」
     革張りの椅子から転げ落ちそうな男は、ギラギラ光る指輪を重ねた手を掲げ、無抵抗の意を示した。
    「そのセリフ言ってる時点で確定だろ」
     呆れつつ防弾ガラスに一発射撃する。こちらからは、ちょうど男の眉間に当たる場所だ。
     弾切れになったマシンガンを放り投げたスミスも、ホルスターから銃を取り出し、俺が刻んだ弾痕へ寸分の狂いもなく撃ち込んだ。
     互いに何度も同じ痕に向けて放つ。銃声と男の悲鳴、そして流れる水音が響く室内に、大きくひび割れる音が重なった。いくら防弾とはいえ、同じ場所を穿てばただのガラスだ。
     白く砕け散ったガラスの破片が舞う。その合間をぬって撃った二発の弾丸は、男の頭をかすって窓ガラスにめり込んだ。ギュオ、と潰れた蛙のような息を飲む声が聞こえる。
     口から泡を吹き椅子から転げ落ちた男は、気を失ったのか、そのまま動かなくなった。
    「――さて、俺たちのPrincessを迎えに行くか」
    「そうだな」
     空の銃を水浸しの床に投げ、軽く拳を合わせる。
     捕らわれるどころか進んで戦いに身を投じる小さな姫を迎えに行くため、俺たちは弾と水の雨が降り注いだ部屋を後にした。
     遠くからサイレンの音と、押し入った警察と思しき怒号が聞こえてきたが、今の俺たちには関係のないことだ。



     ルルとの感動の再会もそこそこにバレたら色々まずいということで人混みに紛れて客船へ戻った俺たちは、後日、事態を把握した司令官及び隊長にリモート説教を受ける羽目になったが、山のように始末書を書くよりはマシだと思いつつ神妙なフリをしつつ甘んじて受け入れた。
     が、サタケ隊長にだけは再度説教されたので、今度はバレないようにしようとスミスとルルと話し合ったのだった。
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