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    呉葉さんとの合同誌の話。
    倫理とかない。
    オリ主(17)×五条(28)
    なんでも楽しめる人だけ。
    「人に落ちる恋」

    ##恋俉い

    「悟君」
     ずっと聞きたかった声がしたのに、五条はゆっくりと目を開けた。寝るときは目隠しは外しており、薄暗い部屋はまだ夜の気配が漂っていて静かだ。声の主を探して見上げた先で、誰かが自分を見下ろしているのを見上げる。警戒しないのは、それがもう誰かわかっているからだ。
    「……いつ帰ってきたの?」
    「ついさっきだよ。駄目だよ悟君。こんなところで寝たら風邪ひくから」
     言いながら、自分の背中と足の裏に手を差し入れられて五条はぎょっとした。身長は自分のほうが10センチ近く高いのに、気にした様子もなく軽々と五条を抱き上げた一瀬が、器用に呪力を扱っているのが分かる。五条は、この身長と年で、こんなシチュエーションにときめくなんて思いもしなかったと一瀬の首に抱き着きながら思う。危なげない一瀬がベッドにそっと五条をおろしたのに、五条は腕を離さずに一瀬を捕まえたまま自分に引き寄せる。五条の力に倒れこみそうになった一瀬が、両手をシーツについて五条にかぶさるようになったのに、五条は唇に笑みを浮かべた。
    「ね。色。悪いこと教えてあげようか」
    「駄目。悟君、疲れてるでしょ」
    「疲れててもしたいの」
     一瀬が青くてちょっと煽ってやれば乗っかってくるのを五条は知っている。身を起こして首を傾け、唇を重ねると一瀬はおとなしくなった。伸びてきた腕が五条の背を抱き、キスは深くなっていく。一度離れた唇を追いかけてまたキスをする五条に、こら、と言うように頭を撫でられた。
    「……あのね、僕のほうが年上なんだけど」
    「そうだね。可愛いよ」
    「可愛いのは君だよ君」
     かっこいいと言われることが好きな一瀬は否定するかと思えば、一瀬はこんなことを言った。
    「可愛いもよく言われるよ」
    「僕意外の誰に可愛がってもらってんの?」
     即座に口から出た言葉に、一瀬が笑う。
    「拗ねないで」
    「拗ねてません~~~~」
     明らかに拗ねた声音の五条に、一瀬はベッドの隣に転がってきた。今日は月が明るいのか、近づくと五条のお気に入りの紫の瞳の色が分かる。
    「寂しい思いをさせてごめんね、悟君」
     五条の手を取って、指にキスをした一瀬は完璧に五条の満足を引き出していたが、そんなことは表には出さずに五条は、どうしよっかな、なんて答える。これで一回り年下なのだから恐ろしい。海外生活が長く、スキンシップも恋人に対する扱いも自分より成熟しているくらいだ。そう感じるたびに、一瀬をそうさせた人間がいるのではないか、と勘ぐって意地悪をしたくなるのだが、一瀬はそんな五条を大事にしてくれようと頑張っていた。
     一瀬色は恋人を作らない。
     それを覆したのは、つい最近のことだ。
     それまでは一瀬は一瀬に課せられた縛りによって、恋人どころか友人も作ろうとしなかった。すぐに死ぬ人間に、心を移しては残された人が可愛そうである。そんな自分の痛みよりも他人の心を思う一瀬の在り方に、五条が怒ったのは記憶に新しい。
     一瀬色はとある特級呪霊を封じるための供物だった。
     祓除は難しい呪霊で、一瀬が死ぬ未来は確定していたような状況を考えると、一瀬が選んだその態度は間違いではないと五条はわかっている。それでも──、諦めてほしくなかった。そして諦めたくもなかった。手に入れたかった。この青年を呪霊にくれてやるつもりはなかった。手放すには、五条はあまりに情を……呪いじみた愛を彼に抱いてしまったのだ。
     五条の執念と、仲間たちの協力もあり、呪霊を祓うことに成功した今、五条の強引なムーブにより、一瀬は五条の恋人になっている。
     今のところはそれで良かったけど、と五条は考える。
     まあ、もっと求めさせたいよねえ。
     人を愛するのが上手な青年だ。でも恋をしたことはないらしい。
     教えてやらなきゃね。と思う。だって、自分は、彼の師なのだから。
    「仕方ないから許してあげるよ。今日の任務頑張ったもんね、色」
     僕ってば優しー。先生の鑑! なんて言った五条に、意外なことに一瀬は少しマイナス寄りの反応で目を細めた。拗ねてる、のだと理解した次の瞬間、上からかぶさるように抱き着かれて一瀬の体重がかかる。それくらいどうってことはないのだが、無下限を解いて五条は一瀬を抱き留めた。
    「なに?色、急に甘えただね」
    「こういう時に『先生』の顔するのはずるいよ」
     駆け引きというよりは素直な感情で五条を揺るがしてくる一瀬は、素直に拗ねている理由を口にする。こういう時、が夜のプライベートな時間を指しているのだと気付いた五条は笑った。
    「可愛いね、色」
     一瀬は目を細めたまま、ゆっくりと返事をする。
    「それはちょっと嬉しくないかな」
    「僕が言ってるのに?」
     恋人の誉め言葉が嬉しくないの? と問いかけると、一瀬は首を横に振った。
    「悟君、今の可愛いは『子供』に対しての可愛いでしょ?」
    「色、もしかして年齢差気にしてたの?」
     まったく気にした様子もなかった目を見張って身を起こした五条に、一瀬も素直に身を起こす。五条の腰をまたいで膝立ちになりながら、顔が近いままの一瀬は、拗ねた声音で言った。
    「気にしてないよ。でも悟君が俺を子ども扱いするときは、少し悔しいかな」
     そんな一瀬に笑ってその体を抱きしめると、一瀬が拗ねてると言わんばかりに頭を首筋に埋めてくる。甘える仕草に幼さを感じているわけじゃない。でも恋人で生徒である以上、それは五条にとっては仕方がないことだ。覆すならもっと先の未来。
    「すぐ追いつくから待ってて」
    「君はもう十分強いでしょ」
    「最強は何人いてもいいから」
    「それはそうだね」
     押し倒されて五条は自分を見下ろす一瀬の瞳を見つめた。
    「悟君のせいで、俺はもう前の俺じゃないんだよ」
    「へえ。どういう意味で?」
    「俺を『供物』から『人間』に引きずり戻したのは悟君でしょ? 責任を取ってくれなきゃ困るよ」
     弱り切った声で、子供みたいにそう言った一瀬に手を伸ばしその頬をなぞる。
    「責任、取っていいの? そうしたらずっと色を離してあげないけど」
    「こんなに俺を好きさせておいて、逃げないで。お願いだから」
     潤むように紫色の瞳が揺れる。普段は見えない一瀬に絡みついた恋情の強さが見えるようで、五条は満足とばかりに唇に笑みを乗せる。
    「なんだ。十分教えられてるじゃない」
    「え?」
     首の後ろに手を回して、五条は一瀬を引き寄せる。
    「恋を教えてあげないとって思ってたんだよ」
    「恋」
     繰り返して一瀬は視線を伏せる。自分の感情に名前が与えられたかのような反応に、五条は良くない感情が満たされていくのを感じる。この誰にでも優しく愛を振りまく青年に、唯一の感情を仕込んだのはどうやら自分のようだ。ずっとくすぶっていた独占欲が報われてしまったことに、五条はひどく気を良くした。
    「やっぱりシようよ。色。今すっごく欲しい」
     色は? と聞くと、低くかすれた声で返事が返ってくる。
    「俺も、悟君が欲しいよ」
     重ねた唇に、すぐに深くなるキスのせいで、それ以上の言葉が必要なくなっていく。そしてふと、一瀬のその恋が初恋だったことに気付き、悪い大人だと自覚しながらも最高に上がった気分のままに、五条は一瀬を求めようと、強く引き寄せた。
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