「ケープ振り合うも多生の縁」 トロ君の採取訓練融合「今日から独りで行ってこい、お題はこれだ」
小さな実がついた枝をみせてやる。
すんすんと匂いと見た目を一生懸命おぼえようろするトロ
トロ「わかった!いってくる!!」
どたどたと工房から走り出ていく。
融合「勢い余ってるなぁ」
ドカリとソファに腰掛け、天井を仰ぐほど背をもたれる。
レヴ「…ここで待つ気か?」
ひらひらと手をゆらしそのつもりだと示す
レヴ「ダビウムの店じゃないんだが」
融合「かたいこと言うなよぉ、何個か吸うからさぁ」
ずるずると座高をさげてだらけはじめる融合
レヴ「割増しで払ってもらうぞ」
融合「なんか試作してるのでいいよぉ、味見するぜぇ」
キャンドルを適当に渡す。
レヴ「はぁ…未調整だからえぐいぞ」
融合「…戻ってきたら、お前がほめてやれよ。」
そちらも納得していない顔で試作品をとりにくレヴ
草原を駆け、お題の実をさがす。
見つけるのは得意だ、今だってもう見つけた。
トロ「あった!!…う゛ぅ」
勢いよく掴もうとしたが、今までの事が頭をよぎりだした手を引っ込めた。
褒めてもらいたくて、でも失敗した日々を思い出す。
融合「っばっか、お前握りつぶしてどうするんだよ!」
レヴ「…すり鉢いらずだな」
自信満々に突き出された植物だったものを覗き見る二人と、その様子を見て失敗したのだと肩を落とすトロ。
融合「まぁ、物はあってるよ。嗅覚は鋭いんだよなこいつ。」
融合がしょうがねーなぁと頭を乱暴に撫でる。
レヴ「よくみてろ。」
レヴがみやすいよう、おぼえやすいようにゆっくりと手本をしめす。
やわりやわりと動く指先を食い入るように見る。
頭をかぶり、意気込む。
トロ「ゆっくり…優しく、潰さない!」
慣れない手を震わせながら、小さな実をとろうとする。
最初の何個は潰してしまった、それでも時間をかけて籠に実をおさめる事ができた。
すっかり陽が落ち、空に精霊の輝きが謳歌する時間になってしまった。
融合「ふぁぁ…ようやっと帰ってきたか」
寝ていた融合がトロの気配を察知して目を覚ます。
レヴ「…場所代、追加でもらおうか」
融合「え、時間制です??」
扉が勢いよく開かれる。
トロ「レヴ、オレ、優しくした!どうだ!!」
潰れた実で染まった手が突き出してきた籠を受けとる。
融合「うーん、まぁ形は残ってるな。次の課題は運び方だなぁ」
レヴ「…手を洗って来い。」
籠を置いた机の上に、好物の魚料理が並んでいた。
トロ「!!洗ってくる!!」
ばたばたと水場に走っていくトロ
融合「へぇ、お前料理できるんだ」
レヴ「調合と似てるからな、真似事程度だが。…お前は帰れよ」
融合「帰りますよぉ、これはあいつの褒美だもんな」
茶化す融合を玄関に押しやる。
レヴ「早く帰れ」
融合「はいはーい、薬できたら連絡してくれ。」
融合を追い出し、料理を温め直してやる。