フラッグシップの恋だった①side:七海
春の訪れを告げる役目も終わったとばかりに、早々と散り零れる梅花は地面にピンクの絨毯を広げてなお風流なのに、その風下三メートルのきな臭さまでは誤魔化せないでいた。
風に舞うひとひらに誘われるようにして、[[rb:七海昴 > ななみすばる]]は湿った吹き溜まりに人が倒れているのを目に留めた。
昨夜から降りだした花散らしの雨は明け方を前にやみ、小さな電気室横の水はけの悪いコンクリートは、男の金髪とたくさんの花びらを水面に漂わせている。
クライアントへの統計データの開示が予想よりも早めに終わり、直帰に選んだ道だった。
そんな偶然があるものか。
半信半疑ながらそれでも足を向けたのは、深夜の繁華街では珍しくないその光景も帰宅ラッシュを少し過ぎたばかりの都市計画公園では特異に映ったからと、もう一つ。
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