Recent Search
    Sign in to register your favorite tags
    Sign Up, Sign In

    クシャナ@切り裂きの嫁が好き

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 8

    もひとつ書きかけ見つけたので投下
    こっちはもろ書き途中で続きをどうしたかったのかすら忘れたもの
    たぶんバボキュラにしたかったんだと思う
    けどバボ好きに怒られそうだから途中放棄した奴なんじゃないかなぁ……たぶん…

    #バーボン
    bourbon
    #キュラソー
    curacao

    手の届くところひゅうひゅうと空気の漏れるような音でキュラソーは目が覚めた。
    それが己の咽から発せられる音だと認識すると同時に、意識を失う直前まで何をしようとしていたかを思い出す。
    慌てて飛び起きるも、くらりと足の力が抜ける。踏み留まろうとすれどもそれは叶わず、ぐらりと視界が回った。
    仰向けに崩れおれる。
    身体が痺れたように痙攣して、腹部を中心に灼熱と激痛が襲い来た。
    散々被弾して、ついでに腹を貫通する鉄骨が今だ刺さったままである事も思い出して、溜め息と共に食い縛った歯の隙間から呻き声が漏れた。
    苦い鉄錆の味がする。
    さて、どうしたものか……と、そこで何かの視線を感じて不明瞭になりつつある視界を巡らすと、反転した世界でパチリと視線がかち合った。
    スマホを片手に驚いた表情でこちらを見ている。
    あれは………バーボン…いや、公安の降谷零だったか。
    嫌なタイミングで見つかったなと思うが、もう動く事も出来ないので目を閉じて身体の力を抜く。
    捕まえるなり殺すなり好きにしてくれ。
    ばたばたとバーボンが駆け寄ってきて腹の傷に手を触れる。
    どうやら意外にも止血しようとしているらしい。
    馬鹿な男だなと思う。
    こんな死にかけの組織の人間に構っている暇があるのなら、本職の任務へと赴けば良いのに……公安と言えど一応は国民を守る公務員なのだから、一般人の避難誘導など他にもやるべき事など星の数ほどにあるだろうと言いたくなる。
    慌てふためきながらバーボンが誰かと通話しながら時折キュラソーに向けて耳元でぎゃーぎゃー騒ぐので、億劫だが再び目を開ける。
    普段の張り倒したくなるほどのムカつく自信はどこに落としてきたのかと言いたい。
    口の動きからして「しっかりしろ」だの「寝るな」だのと言ってるのだろう。
    とは言え、そう言われてももう目を開けているのも辛いし、何より酷く怠くて眠い。耳鳴りがひび割れてろくに音も聞き取れない。
    キュラソーはもう一度溜め息をついた。
    それをバーボンはどう受けとったのか「少しの間、我慢してくださいよ」と言うなり、キュラソーの身体を抱えて立ち上がった。
    身体を抱き上げられた事で突き刺さっていた鉄骨がずれて再び激痛が走る。
    その痛みに思わず身体が仰け反り、眉根を寄せて呻き声をあげると己の事のようにバーボンが泣きそうな顔をした。
    いったい何だと言うのか……
    キュラソーを何処へ連れていくつもりなのかは分からない。
    バーボンが何を思ってのこの行動なのか全く分からず、彼の不可解な行動にキュラソーは更に己の眉根が寄るのが分かった。
    バーボンの走る足音とは別の足音が駆け寄ってくる。
    同時にキュラソーの意識が遠退いていく。

    「風見!こっちだ!」
    「降谷さん、ご無事で何よりです」
    「彼女を頼む。まだ監視の目があるだろうから、くれぐれも気を付けろ。手筈は先に伝えた通りだ。違うなよ」
    「任せてください」

    靄の掛かる頭上で交わされる会話。
    バーボンに抱き抱えられていたキュラソーの身体は、風見と呼ばれた眼鏡の男の手に渡る。
    安室に「行け」と命じられ、風見は頷いてから走り出した。
    何処へと向かっているのか確認しようにも、キュラソーの視界は既に滲んでしまって使い物にならない。血液不足で手足は痺れて脳の処理能力もハングアップしてしまっている。
    考え事をするのも億劫だった。

    (……………疲れた…な……酷く、疲、れた……、………も…う、休んでも良、いかしら、ね………)

    逃げる事も抵抗する事も出来ない。
    いつもキュラソーの命の行方はキュラソー本人以外が握っている。組織に拾われる前も、組織に拾われてからも、ベルモットに銃を向けられラムに引き取られてからも……いつもキュラソーに選択権など無く、誰かに指し示された道を歩くしかなかった。
    どうせなるようにしかならないのだ。
    そう思うと眠気が一気に襲いかかってきた。
    風見が走る一定のリズムと荒い息遣いを聞きながら、キュラソーは意識を手放した。


    +++++


    バーボンこと降谷零はガラス越しに寝台に横たわる真っ白な女を見つめた。ガーゼや包帯、固定具で身体のあちらこちらを覆われ、点滴や心電図、血圧測定器、濃度測定器、呼吸器などあらゆる最新の医療器具に繋がれてキュラソーは眠る。
    医療機器の博覧会のようだと思う。
    今だ予断を赦さない状態だと先ほど説明を受けたところだった。
    後は本人の生命力に賭けるしかない。
    そして自然に目覚めるのを待つだけだ。

    「……やっぱり、まずかったかなぁ…」

    バーボンは一人呟いた。
    警察庁に侵入者があったなど、況してやたった一人の侵入者にノックの情報を奪われたなどと言う事はあってはならない事だ。そんな事を誰かに知られるわけにはいかない。
    日本警察の日本の信用が地に落ちるどころの話ではない。
    全世界が混乱に叩き落される。
    警察庁に侵入者は無かった。そんな事実は存在しない。ノックリストは存在しないし、キュラソーは警察庁に忍び込んでいない。故にキュラソーは何もしていない。
    存在しないノックリストなど盗めないし、何もしていないのだから罪にも問えませんよね?と、屁理屈と勢いで半ば上司を脅すような形で彼女に手を出さないように仕向けたのだ。
    何故、上司を脅すような真似をしてまで彼女を助けたのか、バーボンは自分でもよく分からなかった。
    何となく予想はできているけれど……溜め息を一つついて、脳内を整理する。

    (………組織の人間とは言え、子供達だけでなく多くの一般人を助けた彼女は、既に僕の中では守るべき対象という事なんだろうな…我ながら面倒臭い性格だ……)

    自己分析を済ませたバーボンは自嘲するように肩を軽くすくめた。
    もうやらかしてしまったのだ。ならばとことんやってやろうではないか。そう決心と言うより、若干投げやり自棄っぱち気味に気合いを入れて、ICUと書かれた部屋の前から首すを返した。


    +++++


    「ねぇバァボン、貴方最近付き合い悪いわよ」

    バーボンが運転する車の助手席に座ったベルモットがつまらなさそうに言った。

    「そうですか?」
    「ここ最近、飲みに誘ってもずっとお断りじゃない。彼女でも出来たのかしら?」
    「いえ、そう言うわけではないんですが……すみません」

    バーボンがそう言って言葉を濁すのをベルモットは横目で見ていた。
    これは言い訳を考えているな、とベルモットは口角を上げる。どう言って誤魔化そうか、どうやってはぐらかし話題を逸らそうか、そう言った事を考えている顔だ。
    全く…可愛くない。
    彼がベルモットの誘いを断り、何をしているのか既に知っている。

    「別に良いのよ。ところでシンデレラはまだ眠ったままなのかしら?」

    ベルモットはさらりと言放ち、バーボンはドアポケットに忍ばせた銃に手を伸ばした。

    「…どう言う意味でしょう?キュラソーなら先月、東都水族館で」
    「そういうのは良いから。警察病院のICU室……あの方やラムに伝えるつもりもないから、その銃下ろしてくれる?」

    ベルモットは言って安室側のドアポケットを指差す。







    Tap to full screen .Repost is prohibited
    ❤❤😭💯👍💗😍🙏☺💖💖💖👏💘
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works

    recommended works