ガンダムSEEDDESTINY(アスキラ)生きて欲しい眠っていたらぐっと締まる感覚がして、アスランは目を開けた。
そこに、キラが居た。
キラが眠っていたアスランの上に馬乗りになりながら、首を絞めていた。
ぎりぎりと力を込めて来る。
暗闇の中で表情が読み取れない。
「き…」
抵抗しよう、として、アスランはふとその手を止めた。
キラにはその権利があると思ったからだ。
彼の友達を殺した自分は、いつか罰せられるべきだと思ったから。
だから、キラを許した。キラの手で死ぬことを受け入れた。
視界が薄れて、アスランは気絶していった。
泣き声が聞こえて、アスランは目を覚ました。
ひっくひっくとしゃくり上げながら、キラが、幼い子供のように泣いていた。
声がなかなか出なかった。
手をゆっくりと伸ばすと、キラはビクリと反応して、心配そうにこちらを覗き込んで来た。
「…アスラン…僕…」
「…いいんだ」
「夢を、見たんだ。あの時の、あの瞬間の夢を。君を殺そうとした夢を……」
「………」
「起きたら、君が、居たから、白い首が見えた、から、……手が勝手に………ゴメンね…ゴメンなさい…」
断罪されるのは、自分も一緒なのに。とキラは言う。
アスランは自嘲気味に嗤った。
「俺は…もう、一度お前を殺したし…、シンがフリーダムを墜とした瞬間に二度お前を失ったし…もう失くしたくない」
「だからって受け入れないでよ!!僕、本当に君の命を………。僕だって君が傷だらけで運ばれて来た時は血の気が引いたんだから………」
キラの瞳から一滴の滴が落ちて。ベッドに染みこんだ。
もう二度と、失いたくない。
もう誰も失いたくない。
カタカタと震えるキラの手を、アスランが握りしめた。
そうして顔を近づけると、そっと額を重ね合わせる。
「生きてる…だろう?お前が死なない限り、俺も死なない」
死なせない。と呟けば、キラの瞳が揺れた。
「僕が生きてる限り、アスランも生きててくれる?先に死んだりしない?」
「…お前を残して死なないよ」
「…ありがとう、アスラン。ゴメンね、痛かったね……」
「お前からの鎖だと思えば、痛くない」
「痕…残っちゃったし……」
首元にキラの手型がまるで首輪のように残っている。キラはそこに唇を落とす、それからアスランの手が頭に回ってゆっくりと唇を重ねた。
「怖くないのアスラン…?いつ錯乱するか判らない僕と一緒で」
「お前が殺してくれるなら、その時はそれでも構わない……と思った。さっきは。…もう、簡単には死なないから」
「………」
「生きよう?キラ。……一緒に」
「ん……アスラン…」
アスランの上でゆっくりと唇を重ね合って、呼吸する。何度も何度も何度も。
繰り返して。
それでもこの手を離さない。