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    563snake

    @563snake

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    563snake

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    壁尻です。ファンタジーです。設定も何もありません。全編ギャグのアホエロです。
    ※レイプではないですが、非合意の性行為があります。ご注意ください。
    ※支部に上げたものと同作品です。

    #腐が如く
    #桐真
    kirima

    壁にハマりし者 むき身で壁にハマった尻がある。何を言っているのかわからないだろうが、実際にそこにはソレはあった。遠目にも引き締まった尻がフルフルと揺れている。男の性であろう。思わず吸い寄せられた。
     いけないと思いつつも、尻を覗き込む。
    「うおっ! 汚ねぇ!」
    僅かに動いた足の間にナニカが揺れた。自身にも同じモノがぶら下がっている。つまりコレは男性の尻であるという事実。
     突如として訪れた絶望と失望。腹の中で毒吐きながら、その場を離れようとした瞬間だった。
    「えっ? 桐生ちゃんなん?」
     微かに聞こえたのは覚えのあり過ぎる声。一瞬振り向くも、厄介事に巻き込まれるのは目に見えている。これもきっとヤツなりの策略なのだろう。
     よし、行こう。
    「ちょ! 何、勝手に行こうとしとんねん! 兄貴分がハマっとったら助けるんが筋やろが!」
    こんな事に筋もクソもない。助ければ何かしらの因縁をつけて喧嘩に持ち込まれるのは目に見えている。
    「今は兄さんの相手をしている暇はないんだ」
    「ホンマに困っとるんやて! 今日はなんもせぇへんから!」
     声に焦りを感じる。これは本当に非常事態なのかもしれない。

    ▽▽▽▽▽

     まずは事情を聞いてみた。真島曰く、風呂に入ろうと服を脱ぎかけた瞬間に目の前に空洞が見えた。そこを覗き込んだら暗闇に上半身を吸い込まれたらしい。
    「それで何で下半身だけがここにあるんだ?」
    「お前はホンマにせっかちさんやなぁ」
     すると、暗闇の向こうに光が見えた。開いた空間には見慣れた光景。元いた脱衣場が見えた。しかし、その景色は狭まっていく。必死に手を伸ばし、身体をねじ込んだ。すると、
    「上半身は抜け出せて下半身だけが残った、と」
     話の中で時折、不安そうに呼びかける声。それもそうだろう。姿の見えない相手に話をすれば、そこに本当に相手がいる保証もない。だから桐生は相槌を打った。
     しかし、本当は話半分にしか聞いてはいなかった。話の信憑性云々ではない。目の前で動くモノから目が離せなかったのだ。
    「ところで桐生ちゃん、そろそろズボン上げてくれへんか?」
     確かにコレは引き締まっている。しかし、女のようにツルリとした見た目ではない。ところどころ毛の生えたソレは、決して綺麗とは言えないモノだった。
     にも関わらず、目が離せない。
    「桐生ちゃん……?」
    真島の声色は不安を隠しきれぬものだった。
    「大丈夫だ。俺に任せておけ」
    ズボンを上げ、下半身を押し込めばいいだけだ。力自慢の桐生にとって、それは容易いことだった。
    「桐生ちゃん⁉」
     真島の声が焦りを伴った。それもそうだろう。桐生の両手が掴んだのはズボンではなく、真島の尻タブだったのだから。
    「ちょ、おまっ、何しとんねん!」
     束の間の安堵により弛緩した筋肉は、柔らかなハリをもっていた。真島の反応も速かったが、桐生の力には敵わなかった。
     掴んだ双丘を割り開く。薄っすらと生えた毛の中に鎮座する菊門。ソレは真島の力みに合わせてヒクリと動いた。
    「痛っ!」
    「うぐぉ……!」
     真島の渾身の蹴りが桐生の鳩尾にクリーンヒットした。
    「何するんだ、兄さん……!」
    「こっちの台詞じゃ! 濡らしもせんと指突っ込んだらケツ裂けるやろが!」
    「ほぅ、そうなのか」
     桐生は何やらブツクサと呟いている。嫌な予感しかしない。
    「兄さん、ちょっと待っててくれ。その場から動くんじゃねぇぞ」
    「動きたくても動かれへんわ! て、えっ? どこ行く気なん?」
    「黙って待ってろ」
     桐生遠ざかる足音が聞こえる。せめてもの救いは桐生のジャケットと思われる何かを尻に掛けてくれた事だ。
    「……ズボン上げてってくれたら良かったんちゃうの?」
    ──嫌な予感しかしない。

    「すまねぇ、遅くなった。チンピラに絡まれちまってな」
     呆れて言葉も出ない。時間にしては十五分かそこらだろう。だが、真島にとっては絶望的な永遠に思えた。
    「ドンキに行く途中でな。まぁ、手持ちも少なかったから助かったんだが」
    「そんなんどーでもええねん! 兄貴分が困っとる時にドンキでお買い物するアホがどこにおんねん!」
     ガサガサとビニール袋を漁る音が聞こえる。
    「ローションだ」
    その姿は真島からは見えない。だが、わかる。ボトルを片手に『どうだ!』と言わんばかりのドヤ顔仁王立ちをしているのが。
     気を取り直す。
    「そ、そうか! ローションぶっ掛けて押し込むっちゅー寸法やな!」
    「そうだ」
    見えない後方からカチリと小さな音がする。ようやく終わる。そう思って力が抜けた瞬間だった。
    「ヒッ⁉ ちゃう! そっちやない!」
    「何言ってるんだ。兄さんがそう言ったんだろ?」
     ひやりとしたのは尻。真島が望んだ部位ではない。そんな場所に掛けても、効果は無いだろう。
     開かれた尻たぶ。その谷間をゆっくりと流れるとろみを桐生は眺めていた。どこからどう見ても男の尻。にも関わらず、己の昂りは留まる事を知らない。
     男との経験は無い。だが、この排泄器官に自身を収めるにはそれなりの準備を要するであろう事は察する。垂れる寸前のローションを指に絡め、桐生は後孔の皺を撫で回した。
     尻に力が籠もる。しかし、桐生も負ける訳にはいかない。繰り広げられる攻防。暴れ馬のように、文字通り足蹴にされる。このままでは思うようにはいかない。ならば、手は一つ。
     それまで縦横無尽に暴れまくっていた足の動きを、突如として真島は止めた。いや、正確には止めざるをえなかった。桐生の左手は真島の陰茎を捉えていたのだから。
     急所の一つを握り締められれば、誰でも身動きは取れなくなるだろう。ましてや、相手は堂島の龍。下半身しか動かせない身としては、分が悪すぎる。
     真島は悔しさから歯軋りをした。この表情を見られずに済んだのは、不幸中の幸いだ。諦めるのは本望ではない。負けは認めたくない。
    ──これは、ただの酔狂。

     真島が助かる手は他にもあっただろう。いや、絶対にあったはずだ。しかし、今となってはそんな事はどうでもいい。
     脱衣場に自身の息遣いが響く。それはまるで喧嘩の最中のようで。そう思うと腰の辺りがゾワリとする。
     別に桐生の手技によるものではない。これは喧嘩狂と呼ばれる己の性。それ以外にはあり得ない。
    「ひぅ……⁉」
     一本、また一本と増やされた指。今は一体何本入っているのかもわからない。バラバラと動かされた指がナニカを掠めた。
    「んぁあっ!」
     目の前に閃光が走る。何だコレは? こんなモノは知らない。知らない。知らない……
     そんな思考も束の間。唐突に引き抜かれた指。安堵感と喪失感。燻りかけた熱のやり場は……何とかなるだろう。ようやくこの狂った時間が終わりを迎える。
     ……わけもなく。あてがわれたのは、固いナニカ。それが何なのかは、分からないはずもない。自身にも同じモノがぶら下がっているのだから。
    「桐生ちゃん、それはホンマにあかん。今なら何も無かった事にしたるから──ッ!」
     なんだ、これは。息が、できない。とんでもない圧迫感。きつい。くるしい。しんでしまう。
     じわりじわりと捩じ込まれる。どれ程のモノが自身を犯しているのか、想像もしたくなかった。そこに快楽はない。地獄の金棒ですら、ここまで凶悪ではないかもしれない。
     快楽はない。はずなのに。足された潤滑剤が不快感をもたらす。はずなのに。ぬめりを帯びたソレは、緩やかな抽挿を繰り返す。背筋にぞわりとした感覚が走る。恐怖ではないナニカ。
     追ってはいけない。そう、わかっている。わかってはいるのに、身体は言うことを聞かない。速まる抽挿に抑えきれない声が漏れ出す。しかし、この程度ならば“壁”の向こうには聞こえないだろう。
    「……っん、ふ……っ」
     必死で噛み殺した声。飲み込む事も、抑え込む事もできない。それは声だけではない。抑圧に耐えきれないのは、快楽。眼前に広がる大きな鏡に映る自身の顔は、きっと見られたものではないだろう。
     顔を反らしても、目の端に映る赤い顔。耐えきれず固く目を瞑る。しかし、それが間違いだった。姿こそ見えずとも、尻を掴む手は幾度も戦いの中で合わせたその感触。散々追いかけ回したその背中が、顔が瞼の裏に浮かぶ。
     そう思えば、無意識にナカを締め付けてしまう。内壁を擦るその形に、龍の気配を感じてしまう。年下であり、自分を『兄さん』と呼ぶ男。執着するに値する強さを持つ漢。

     その対象が異性であったならば、“恋”と呼ばれるかもしれない。しかし、相手は同性。この感情に名前は付くのだろうか。いや、きっと付けてはいけない。
     余計なことは考えず、とにかく時間が経つのを待とう。“読めない”と言われる自分をもってしても読めないこの男の気が済むまで。
     と、そこまで考えて一つ気付く。この男のスタミナは尋常ではない。もしもゲームのようにスタミナゲージというものがあったならば、常人のそれとは比べ物にならないだろう。戦闘時であれば文句なしの好条件が、今は恐怖すらも感じる。杞憂であれ。
     ……なんて思いを嘲笑うかのように、その時間は長く続いた。終わりなどあるのだろうか。永遠に続くのではなかろうか。幸運な事に、目の前には洗面シンクがあった。そのおかげで身体を支える事ができた。いくら体力に自信のある身であっても、壁から投げ出された体勢のままで長時間過ごすのはしんどい。
     だが、そのせいであられもない姿を写し出す鏡が視線に入る。ならば、と目を瞑れば不思議なことに桐生の声が近くなる。実際には距離は変わっていないのに、まるで耳元で囁かれているかのようだった。
    「な、んで、そない、えぇ声、やね、ん……ッふ……」
    「ん? 何か言ったか?」
    「うっさい、わ! はよ、イけや! この……遅漏が‼」
    「ふ……それは褒め言葉と取っておくぜ」
     良い声で誤魔化されそうにもなるが、言っていることは見当違いにも程がある。そんな桐生の余裕が恨めしい。正直、こっちは限界が近い。
     しかし、決定打には欠ける。それもそうだろう。与えられる刺激は“後ろ”のみ。日常的にそれで慣らされた身でなければ、簡単には“終わり”を迎えられない。

    「……ッは……くっ」
    わかっている。自分がどれ程までの過ちをおかしているか。だが、そんなものはとうに超えていたのだから、今更なにを考えるまでもなかった。
     上半身を支えていた右手は今、自身の乳首に触れている。運良く、この行為は桐生には見えていない。流石にこんな情けない姿を弟分であるこの男には見せられない。いや、見られてたまるか。
     と思ったが、すでに途轍もなく恥ずかしい状態であることに気付く。……顔を見られていないからセーフだ。そういうことにしよう。とにかく今は一刻も早くこの状況から抜け出そう。
    「なあ、兄さん……なんだか急にナカが締まりだしたんだが──」
    「黙れ。それ以上、何か言う、たら……殺す、で……ッ」
     話しかけるな。気が散る。耳元で囁くな。
    「あ、かん……ぅくっ」
    「なんだ? 物凄くうねり出たぞ」
    何故コイツは実況をしているのだろう。閃光が散る白い世界で、不思議とそんなことを思っていた。

    「出すぞ、兄さん…………う……ッ!」

    ◇◇◇◇◇

     桐生の渾身のひと押しにより、真島の下半身は謎の空洞から抜け出せた。どこからか桐生の声が聞こえる。未だ自由のきかない身体を捻り、空洞のあった辺りを眺めた。
     真島の爆笑は止まらなかった。それもそのはず、中空には大きなイチモツが浮いていた。
    「兄さん、笑ってないで何とかしてくれ!」
    「す、すまん……せやけど、コレは、アカン……」
    息も絶え絶えに真島は言った。
    「こない出してもギンギンなんがアカンのとちゃうか?」
    真島は先端が大きく膨らみ垂れ下がったコンドームを抜き去った。
    「ぐっ……しょうがねぇだろ。どうにも治まらねぇ……」
     桐生は方法はどうにせよ、真島を助けてくれた。ならば次は自分の番だろう。一瞬の逡巡。
    「兄さん、そこにいるのか? ……兄さん⁉ アンタ、何して……ッ」
     桐生からは何も見えない。黙られてしまえば相手がそこにいるのかもわからない。不安を覚えた瞬間、桐生の股間は温かなぬめりに包まれた。
    「やめっ……アンタ、自分が何してるかわかってるのか⁉」
     冷静に考えれば、方法はいくらでもあっただろう。例えば、氷で冷やしてみたり。だが、この時の真島は桐生と同様にどうかしていた。この行為に意味など無い。

    ──これはただの、興味本位。

     口腔内に滑り込む陰茎からは、先ほど放出された精子の苦味を感じた。しかし、不思議と不快感は無かった。中程まで口に含み、根元に舌を伸ばす。ここが本当に根元なのかは定かではない。見えている部分で全てなのか、確証はない。それにしても……
    「デッカ……」
     先端まで舌を這わせズルリと口から抜け出た陰茎は、日本人の平均サイズを優に超えていた。唾液で濡れそぼったその先端は、赤黒く怒張している。これがつい今しがたまで自分の中に押し込まれていた。その事実に真島は愕然とした。
    「これが一番の凶器やろ」
    警官に扮した際はこれをネタに喧嘩に持ち込もうと閃いた。

     真島宅の脱衣場には水音が響いていた。一方では僅かな吐息すらも漏らさぬよう、必死に声を殺す桐生がいた。
     神室町でもあまり人の立ち入らない路地裏の更に奥。とはいえ、誰も来ない保証は無い。では先程までの行いはどうなのか、と言われれば答えに詰まってしまう。
     だが、そんな事はどうでもいい。今はどうにかして早くこの状況を抜け出したい。この絶対に有り得てはならない状況を打破したい。
     見えない空間の先で自身の陰茎を咥えているのは、兄貴分である真島だ。それを意識すれば、即座に昂りも治まるだろうと踏んだ。
     ……こんなはずじゃなかった。
    「ンッ……まだデカなるんか……」
    僅かに聞こえた真島の声が全てを物語っていた。壁の向こうにいるのは真島。今、こうして自身を舐めしゃぶっているのは真島。そう意識しているのに。
     何故だろう。意識すればする程、昂りは増していく。その事実を深追いしようとすれば、脳内に警鐘が鳴る。何も考えるな。今はただ、身を委ねればいい。
     不思議なのは己の感情だけでなく、真島の技巧の高さだった。時に速く、時にゆっくりと。全てをコントロールし、的確にこちらの射精を促す。
    ──どこでこんな事を覚えた?
     真島が“嶋野のイロ”だという噂はよく耳にした。組内の序列を飛ばして嶋野組若頭になった事は、東城会に属していれば知らぬ者などおらぬ程に有名な話だ。真島についての情報がそれだけであれば、この絶技も納得がいく。
     だが、桐生は知っていた。真島という男の本質を。真島はそんなくだらぬのし上がり方は絶対に良しとしない。それどころか、根本的にのし上がる事自体に興味がないだろう。
     それでも自分の居場所を確保する為に無理矢理に暴かれていたとしたら? むしろ、真島自身の性癖として望んだものだとしたら?
     ……何故こんなにも苛つくのだろう。考えるな。答えなど、どこにも無い。気付いてはいけない。今はとにかく快楽に溺れよう。

    「……クッ……っふ」
    みっちりと埋まった穴から、真島の声は殆ど聞こえない。感じるのは息遣いだけだ。それでも桐生の劣情を煽るには充分だった。
     この時間は間もなく終わりを迎える。その瞬間に訪れるのは安堵か、それとも焦燥か。心の奥底に生まれた形のわからぬ感情の欠片を拾い集めれば“ナニカ”に変わるのだろうか。
     きっと真島は再び“ソレ”を壊すだろう。ならば、初めから集める必要なんてない。広げた手のひら。その指の隙間からこぼしていけばいい。ただ、それだけだ。
     だが、何故か惜しくなって最後の一粒だけを握りしめた。原型を留めていない“ソレ”からは何の情報も得られない。自分には不必要であろう。それでも手放してはならない気がした。
     なんて、叙情的な状況ではなかった。非現実的な現実。今、目の前に真島がいなくて良かった。いや、いるのかもしれないが。顔が見えないことが、せめてもの救いだ。顔を突き合わせていたら、きっとこんな事にはなっていなかったのだろうから。
     いつまでもこうしてはいられない。確かに真島の口技はたいしたものだ。だが、それだけでは決定打に欠ける。そうだ。馴染みのキャバ嬢の顔でも浮かべよう。
     目を瞑った桐生は愕然とした。真っ暗な世界に浮かび上がったのは、桜の舞う……尻。何故だ。何故それで、股間に血液が集まるんだ。直前まで与えられていた別の快感がそうさせているのだろうか。目の前の壁から離した右手で両目を覆った。
     それが間違いだった。再び訪れた暗闇に浮かぶのは、先程は見えていなかったはずの般若の顔。しなやかに動くその姿は、きっと本気の喧嘩の際に見たものだろう。
     確かに美しい絵柄ではあるが、そこに性的な興奮を覚える要素はない。それなのに──
    「なんでまたデカくなんねん! どんだけや!」
     ああ、そこに真島がいる。自身のイチモツを咥えているのは、間違いなく真島だ。そう思った瞬間に、爆ぜた。壁の向こうからむせる声が聞こえる。きっと怒られるだろう。だが、後悔はない。とても清々しい気分だった。

    △△△△△

     三十分後、神室町のとある路地裏にて──

    「何、急に出しとんねん!」
    「アンタ、よくここがわかったな」
    紫煙を揺らしながら桐生は言った。大きなため息を吐き、脱力する真島に桐生は煙草を差し出す。
     噛み合わない会話に怒りを覚えさせないのは、この男の人徳だろうか。いや、きっと図太すぎる神経に皆、諦めているのだろう。コイツの生涯の伴侶は余程できた人間でなければ務まらないはずだ。ご愁傷さんです。
     肩を並べて吐き出された二本の細い煙は中空に消えた。それはまるで突然、ポッカリと開いた穴に吸い込まれるようだった。
    「しかし、一体何だったんだろうな」
    「何やろな? さっぱり見当もつかんわ」
     狐につままれたのか。はたまた、ただのイカれた夢だったのか。どれだけ考えても、きっと正解は出ないだろう。今のこの時間ですらも現実なのかはわからないのだから。
    「何はともあれ、興味本位でよくわからねぇモンに顔を突っ込むべきじゃねぇな」
    「興味本位で人のケツに突っ込んだヤツに言われとうないわ……」
    神室町の夜はまだ明けない。
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