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    凛夏 ナツ

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    凛夏 ナツ

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    勝手にイベントの続きを考えているのです。オベロンリリィが主人公。最後はうっすらオベぐだ♀️にしたい。


    アークティックサマーワールド
    『今回も壺にインした状態となった蘆屋道満、七つのエリアにそれぞれ一つずつ呪詛を仕込んだと自白。鬼一法眼は「放っておけ」と言い捨てるも、通りすがりの太公望は「放っておかないほうがいいと思うなァ僕は」とコメント』より。

    #オベロン
    oberon
    #道満
    #fgo
    #夏イベント
    summerEvents

    魔法のツボ in道満「──もし、其処な御方。しばし、お時間頂けませぬか?」
    「……きみ、なに?」

     変テコな声がした。
     日差しに焼けた砂浜。穏やかに打ち寄せる波。さくさくと浜辺を歩いていた少年は、呼び止められて顔を上げた。細くて小柄。年は十歳かそこら。肩で切り揃えた黒髪と澄みきった碧眼が、白い肌を彩っている。背中にはうっすらと透けた虫の羽が生えていた。

    「ンンンソンン。これはこれは、大変お可愛らしい容姿でいらっしゃる。どうやら、『霊基ばぐ』なるものを起こしておられますな?」

     少年の目の前にあったのは、壺だった。もう一度言おう。ツボである。半分砂に埋まった、茶色い素焼きの壺。あと、ちょっと不気味な声でしゃべる。
     なぜか、ツボの口からはくるくるとした白や黒のゼンマイがいくつも這い出している。ゼンマイの先には小さな鈴がいくつもついて、ちりちりと音を立てていた。

    「……きみ、なに?」
    「ンンンンン! なんと、なんと。サーヴァントとしての記憶も曖昧と見ましたぞ! これは大変! 一大事、でございますなあ?」
     
     愉快、愉快!
     同じ問いを繰り返した少年に、ツボはケラケラと笑い声をたてた。話が噛み合わない。どうやらこのしゃべるツボ、言葉が通じないらしい。となれば、少年のとる手段はひとつ。

    「ンンンンンお待ちなされ! 何事も無かったように背をむけて帰るのはお待ちなされ!! 拙僧は、あなたの望みを叶える魔法のツボに御座いまする!!」
    「……魔法の、ツボ?」

     ようやく足をとめた少年に、ツボは慌てて説明しだした。

    「いかにも! 何でもとはいきませぬが、出来る範囲で叶えて差し上げましょう! ささ、何がよろしいですかな?」
    「へえ……」

     怪しい。いかにも怪しい。
     ジト目で少年はツボを見やった。何か、別の狙いがあるに違いない。

    「すぐには思いつかないなあ。考えてからにするよ」

     うにょうにょとゼンマイが触手のように動いて、砂浜の先を指した。

    「では、それまで拙僧も連れて行ってくださいませ!」
    「えー……めんどくさいんだけど」
    「後生、後生に御座いまする!!」

     無表情で呟いた少年に向かって、ガタガタと体を揺するツボ。あんまり必死なので、ため息をついて少年はツボに近づいた。

    「仕方ないなあ」
    「ンンンンンなんと! 連れていって下さるので!? では、ひとまず拙僧を掘り返してくださいませ!」

     周りの砂をどかしてやると、小さなツボが姿を現した。少年が片手で抱えられるくらいの大きさ。よくみると、ツボには白い長方形の札が貼り付けられていた。星のマークとともに、何やら漢字で書かれている。

    「なにこれ」
    「ンンンンン!! どうか、仕上げにこの札をはがして頂きたく!! さすれば、すぐにでも拙僧は貴方の望みを叶えて見せましょうぞ!!」

     少年の問いに異常に食いつくツボ。賢い少年は察した。おそらく、封印の札をはがしてもらうことが、このツボの本来の目的だろうと。こんな甘言で騙そうなどと、なんと雑な計略だろうか。

    「じゃあ、ぼくが願いを思いついたらね」

     言うなり、少年はどこからか取り出した塩をひとつかみ、ツボの中に放り込む。

    「ンンンンンお止めなされ! 拙僧に塩をかけるのはお止めなされ!!」

     拙僧、タコ壺ではごさいませぬ!!
     そんなワケで少年は騒ぐツボを腕に抱え、砂浜を歩き出した。
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    凛夏 ナツ

    MAIKING勝手にイベントの続きを考えているのです。オベロンリリィが主人公。最後はうっすらオベぐだ♀️にしたい。


    アークティックサマーワールド
    『今回も壺にインした状態となった蘆屋道満、七つのエリアにそれぞれ一つずつ呪詛を仕込んだと自白。鬼一法眼は「放っておけ」と言い捨てるも、通りすがりの太公望は「放っておかないほうがいいと思うなァ僕は」とコメント』より。
    魔法のツボ in道満「──もし、其処な御方。しばし、お時間頂けませぬか?」
    「……きみ、なに?」

     変テコな声がした。
     日差しに焼けた砂浜。穏やかに打ち寄せる波。さくさくと浜辺を歩いていた少年は、呼び止められて顔を上げた。細くて小柄。年は十歳かそこら。肩で切り揃えた黒髪と澄みきった碧眼が、白い肌を彩っている。背中にはうっすらと透けた虫の羽が生えていた。

    「ンンンソンン。これはこれは、大変お可愛らしい容姿でいらっしゃる。どうやら、『霊基ばぐ』なるものを起こしておられますな?」

     少年の目の前にあったのは、壺だった。もう一度言おう。ツボである。半分砂に埋まった、茶色い素焼きの壺。あと、ちょっと不気味な声でしゃべる。
     なぜか、ツボの口からはくるくるとした白や黒のゼンマイがいくつも這い出している。ゼンマイの先には小さな鈴がいくつもついて、ちりちりと音を立てていた。
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